ロングバケーション 〜Long Vacation〜 (1996年4月期・フジテレビ) 脚本：北川悦吏子 演出：永山耕三、鈴木雅之、臼井裕詞 プロデュース：亀山千広、杉尾敦弘

第1話 なんだよ!この女
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1996年春、花嫁衣裳に身を包んだ女性・葉山南はこの日、裾を
たくし上げて街中を疾走し、アパートの一室へと向かいドアの
戸を叩く。
そこは婚約者である朝倉コウヘイが住んでいた部屋だった。
中からはルームメイトの瀬名秀俊が対応に出る。南は今日、
10時から結婚式が有り家族や友人・親戚は既に集まっているに
も係わらず彼だけが来ないという。既に朝倉は荷物をまとめて
出て行ったことを告げる。混乱している南はどうすれば良いの
かと。瀬名は彼のプライベートには立ち入っていなかった為に
何も知らなかった。そこで部屋の中を捜索すると、南宛てに
一通の手紙が残されている。南に渡すとそれを読んで欲しいと
頼まれる。そこには別の女性に惚れた事が書かれており、彼女
は僕無しでは生きられないタイプであること。南に関しては
僕無しでも100万年でも生きられるタイプの人間だとして別れ
を告げるものだった。
南はどうして良いのか分からず、ソファーでタバコを吹かせる。
そして考えた策は、瀬戸に結婚して欲しいと唐突にお願いする。
瀬名は取りあえず式場に戻れば彼が帰ってきているかも知れな
いとして、彼女を式場に戻そうとする。その際タクシー代を
貸すことになる。南は慌てながらも瀬名が何処かに出掛けよう
として居ることが気になり尋ねると、今日はピアノのコンクール
が有る事を知る。コンクール、頑張ってと声を掛けて彼女は
式場に戻る。

4年に一度行われる第15回芸秀院新人コンクールに出場する瀬戸。

一方その頃、葉山真二とルミ子は雪が残る東北地方にいた。
金もガソリンも失い欠けた二人は一発勝負とばかりになけなしの
金を使ってパチンコで勝負。500円はあっと言う間に無くなるが
ルミ子が拾った玉を使って確変を引き当て、見事5万円を手に入
れる。その五万円を使って競艇場に行き、50万円にするのだった。

瀬名が帰宅するとアパート近くには南が居た。
初めは誰だか分からなかった瀬名だが、昼間は衣装を着ていた
からと告げるとようやく気がつく。式場に戻ったら彼氏も戻っ
ていたという。自分はこの近くに住んでいるというが、別れを
告げる瀬名の後を何故かついてくる彼女。部屋に入った後、
チャイムを鳴らす南の行動に不審を覚える。彼女はタクシー代
を返却し、一生のお願いだとしてここの引っ越しさせてくれと
頼む。せめて事情だけでも聞いてくれないかとして強引にドア
をこじ開け部屋の中に入る彼女。結婚するに際して、マンショ
ンを引き払い全ての貯金を結婚式のために朝倉に手渡して
しまった事で住む場所が無くなったという。そんな話をしている
最中に引っ越し屋がやってきて、有無を言わさず荷物を部屋に
運び入れられてしまう。
私は年下には1mmも興味がないので大丈夫だという南に対して
自分も年上には興味が言い返した上で、ただし風吹ジュンの様な
女性ならばとアリだと語るのだった

瀬名は普段はヤマハ音楽学校でピアノ教室の講師を開いていた。
この日も生意気な子供・笹野龍之介の手を焼く。
一方南はこの日コンパニオンとしてCM撮影の現場にいた。
親友で後輩の小石川桃子から、災難でしたねと結婚のことを同情
される。どんな人と逃げたのだろうかと想像する桃子。

瀬名は倉田から南が突然舞い込んできた事に対して、どうして
そんな無茶な事を承諾したのか尋ねられる。朝倉が逃げること
に至る女性・ゆかりを紹介したのは自分であることで負い目を
感じていたのだった。
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懐かしいドラマが再放送されますね。再放送に力を入れている
のってフジテレビだけだな。

突然ルームメイトになった男女。
一人は他人との関係に於いて壁を作ってしまい、何処か自分の
感情を表立って見せることが出来ない男性・瀬名。
一方はとにかくよくしゃべり、相手のデリケートな部分にも
遠慮無く塩を塗ってくる女性・南。

結婚式の日に突然ドタキャンされるという展開は、今日では
珍しくないシチュエーションだが、流石に惨すぎるような仕打ち
で有り、同情すべきものが有った。

永遠に続くと思われていた関係が突然終焉を迎えた南。
出会いから今まで誕生日の日には必ず午前0時に電話がかかって
くるというムーディな彼氏像も、金を持ってトンズラしてしまう
という事で幻滅する。

ドラマとしてはやはり息の有った二人のトークバトルが面白く、
いつの間にか相手のペースに巻き込まれていく葉山南のキャラク
ターにはインパクトが有った。
彼氏に逃げられても平気な顔をして瀬名に突っかかってくるかと
思えば、ふとした瞬間に彼氏との関係に思いを馳せてシンミリ
としてしまう所に引きつけられるものがある。

瀬名には好きな女性・奥沢涼子の存在があり、如何にも南との
関係で綱引きが行われそうな人物配置だが、今にして思うと
凄く豪華な配役で構成されているなと思う。

スーパーボールでじゃれ合う姿。一つの窓のフレーム内に納まる
二人の姿を見れば、今後の行く末が見えて来るというもの。

瀬名の部屋に居候する変わりに電話に出ない約束をしていたのに
何故か南は電話に出てしまう。ただの電話ならばまだしも、それ
が涼子からのものであったり、コンクールからの落選の連絡で
あったりと、瀬名の感に触れるものばかり。
それを発端に互いに爆弾を投げ合い、地雷を踏み合う中で、その
行動の意図が分かったときに、見せる瀬名の演出が素晴らしく、
怒って出て行く彼女を引き留めるだけの上手いシーンだったと
思う。
南が27歳の時に男性と別れた際、誕生日の日にメッセージをくれ
た朝倉。今度は瀬名が別れて傷心する彼女にそんなメッセージを
送るのだから良い感じだよね。

瀬名秀俊 …… 木村拓哉（SMAP）
葉山南 …… 山口智子
葉山真二 …… 竹野内豊
奥沢涼子 …… 松たか子
小石川桃子 …… 稲森いずみ
氷室ルミ子 …… りょう
斉藤貴子 …… 広末涼子

杉崎哲也 …… 豊原功補
斉藤哲也 …… 小林すすむ
佐々木教授 …… 森本レオ
椎名いづみ …… 建みさと
小田島和久 …… 津嘉山正種

角田よしこ、井上豪、高橋寛、西丸タロウ、北川たか子、田山大介

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)