眠れる森
(フジ・1998年度10月期・木曜22時枠)

原作・著者 - 野沢尚
プロデューサー - 喜多麗子
企画 - 亀山千広
演出 - 中江功、澤田鎌作


第5話 暴行

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中之森の"眠れる森"へと向かう実那子と輝一郎。
彼女にはあの森に真実が眠っているという予感が有った。
二人で森の中を歩き回る。孤独の時を過去に励まされて生きて
きた実那子だが本当にそんな記憶でのことが有ったのか。森の
思い出などウソではないのかと感じる。
そんな中薪を切る音に誘われ森の奥へと踏み込むと、一人の
男性・伊藤直巳の姿があった。実那子は彼が自分のことを知っ
ていると一瞬で見極め、唐突に私は誰ですか?と問いかける。
直巳は15年前の患者さんだとして、自己紹介する。伊藤という
性を知り、直季の事を思い浮かべると案の定彼は息子である
という。直季は二人が父親の家に入っていくのを遠巻きに眺め
ていた。

直巳からはここで行われた全てのことが語られることになる。
実那子がここに来たときには惨殺な事件によってそれまでの
記憶を失っていたこと。更にふさぎ込んでいたために叔父の
大庭善三が治療を依頼されたという。全世界史健忘症という
一種の心理的自殺の状況だった彼女のために新しい記憶を植え
込んだ事。
1984年2月4日に撮影された実那子の治療の様子をビデオで見な
がら解説する直巳。治療が終わるまでに2ヶ月を要したこと。
森という記憶の共通項を利用して記憶を埋め込んだことを知る。
記憶の全ては息子の直季のものだという。息子が話したのは
恐らく彼自身の夢であり母親を亡くしたばかりで寂しかったの
だろうとの事だった。

しかしどうして15年待たねばならなかったのか?
直季に治療のことを全て話した際に、催眠療法の耐久性の限界
が15年であること。記憶が戻った際に再び恐怖の体験をすること
になるので協力したいと思ったのではないかという。また一家
惨殺犯の国府吉春が仮出所されるのが15年であり、彼から身を
守ろうとして近づいたのかも知れない事を告げる。
しかし息子からはこれは治療ではなく実験ではないのかと言われ
た事を告げ、それでも私は実那子にしたことを後悔していない
と告げる。

東京に戻った輝一郎は敬太に面会する。
彼は輝一郎の事を新聞社に情報をリークしていたのが彼だと
言うことを別の調査会社に調べさせて分かっていた。俺はただ
依頼主に頼まれてしたことだという敬太。敬太はそんな事より
も、国府吉春と輝一郎が同じ大学の同級生で下宿先も同じだった
事を実那子は知っているのかと問いかける。この不思議な巡り
合わせの事を何時知ったのかと問うと、彼女と知り合う頃には
既に知っていた事を語る。敬太に対して君を雇いたい旨を語り
吉春に関する情報を直季に伝える前に流して欲しいと語る。
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記憶がすり替えられた事実の全てを知る。

展開的には最終話みたいな感じで、今後物語がどう発展してい
くのか分からないところがある。
まさかこんなにもあっさりと記憶がすり替えられた事が判明する
とは思わなかった。絶対に隠し通すと思ったのだけどね。

キモイ男・直季は、一気に彼女を守るヒーローへ。

直季が彼女に真実を話せなかったことが意地悪ではなく優しさ
だと一転して感じる思いがとても面白く、シナリオとしての
巧みさを感じる。
実那子にしても不気味だった彼に対して離れられない思いの正体
が分かったことで一気に彼を見る目が変わったのでは無かろうか。

全ては親の居ない子供たちの心の傷がドラマを生む。

韓国ドラマみたいなものだね。韓国ドラマでは殆どの主人公は
両親が居なかったりする。ホント馬鹿の一つ覚えのような展開
だけどそれでも面白味が生まれる為にそうしている措置なんだ
ろうね。

実那子と輝一郎の繋がり

包容力が有って優しい輝一郎が一気に不気味な存在へと突き落と
された。これは直季とは全くの逆の感情へと推移。
しかし年齢差とは残酷なもので、大学時代にあんなに幼かった
実那子と結婚しようとしている現実はちょっとゾッとする感じが
しないでもない。

思わせぶりな吉春の行動。

"あいつに相応しい地獄を・・"
あいつとは誰のことなのか。輝一郎のことではないのかという
気がするが、実那子に近づく理由の一人に彼女自身が事件の
目撃者という事があるのかな。彼女が事件当日に見た者が何なの
か。それが最後に明らかにされるのだろうけど、ドラマでは
まだ5話が終わった段階なのでどうやって物語を膨らませていく
のか楽しみ。

輝一郎の心の傷

彼の母親は生きて居るんじゃないか?という思わせぶりな演出の
数々。少なからず輝一郎には母の件が心の何処かに引っかかって
いる。その辺の真相も気になるね。

大庭実那子 …… 中山美穂 (27・植物園「オーキッド・スクエア」)
(幼少時代 …… 井端珠里)
伊藤直季 …… 木村拓哉 (25・ライティング演出)
(幼少時代 …… 長谷川純)
濱崎輝一郎 …… 仲村トオル (35・九条物産)
中嶋敬太 …… ユースケ・サンタマリア (25・直季の幼馴染み)
(幼少時代 …… 風間俊介)
佐久間由理 …… 本上まなみ (23・直季の恋人(期限付き))
玉置春絵 …… 横山めぐみ (33・中華街)
伊藤直巳 …… 夏八木勲 (55・直季の父)
濱崎正輝 …… 岡田眞澄 (66・画家)
濱崎麻紀子 …… 原田美枝子 (失踪当時33)
国府吉春 …… 陣内孝則 (35・仮出所中)
玉置和良 …… 山路和弘 (春絵の兄。現在は中華料理屋)
中村 …… 田山涼成 (植物園の園長)
森田明仁 …… 牧村泉三郎 (実那子の親)
祥子 …… 長嶺尚子 (植物園・実那子の同僚)
芹沢 …… 本間憲一 (直季の上司)
武藤 …… 佐々木勝彦 (輝一郎の上司)
大庭善三 …… 信実一徳 (実那子の育ての父親)
森田加寿子 …… 井上夏葉 (実那子の実母)
森田貴美子 …… 南美穂 (実那子の姉)
康子 …… 泉晶子 (群馬県・中之森の教師・車椅子)

坂西良太

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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