眠れる森
(フジ・1998年度10月期・木曜22時枠)

原作・著者 - 野沢尚
プロデューサー - 喜多麗子
企画 - 亀山千広
演出 - 中江功、澤田鎌作


第12話 聖夜の結婚式

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実那子は封印した記憶を取り戻すために中乃森に戻り、直巳から
治療を受ける。徐々に記憶が蘇り、包丁を持った吉春が近づい
て実那子に呟く。オレのことを喋ったら殺しに来るぞと。
その時同時に玄関から人が入ってくるのを実那子は見ていた。
直巳達は吉春は犯人だったのか?それとも家に駆けつけた人なの
かを実那子に問う。
更に実那子は将人と埋めたタイムカプセルの事を思い出す。
それぞれ大切にしているモノを埋め有った事。実那子は自分の
本当の父親の写真の入ったロケットを埋めたという。中を開く
とそこには直巳の写真が入っていた。ロケットを開けた瞬間、
時間の旅行は終わりだという直巳の合図で実那子は現実に戻っ
てくるのだった。
直巳はそれを受け、実那子になんとか助けたかったことを語る。
事件の記憶、父親からの虐待の記憶、そして本当の父親の記憶
を消したこと。しかし結局苦しめるだけであったことを謝罪す
る。
直季は実那子と一緒にいると懐かしかった理由がここにあった
として繋がりを強調すると共に、彼女に幸せになれと告げる。

実那子と輝一郎の結婚式がいよいよ始まる。
二人は今夜24時の鐘と共に結婚の誓いをすること。
船上の結婚式に来る客は120名。スタッフたちは気を引き締める。
スタッフに紛れ込んでいた吉春は春絵に電話し、約束を守れそう
に無いことを謝罪する。オレのことは忘れてくれと。
直巳は東京にまで出てきたが、船には乗らずただ過ぎ去る船を
見つめて実那子の幸せを祈る。

いよいよ余興として輝一郎の父・正輝が描いた実那子の肖像画
が披露される。
その頃刑事の恩田は直季に電話する。敬太の携帯の着信履歴を
調べていく内に不思議な事が見つかったという。最後に電話
されたのはなんと東京湾上・・つまり船上からのものであると
いう。
直季はデッキで携帯を捨てる正輝の姿を目撃する。
どういう事か問い詰めると彼女が亡くなった日に由理から電話
が鳴り、その後アトリエには敬太がやってきたという。報酬を
10倍払うのでやって欲しい事があるとして由理の持つ写真の回収
を依頼したとのこと。サンタは誰なのかと問い詰めると、そこに
輝一郎がやってくる。輝一郎は以前から敬太を雇っていたこと
を告げ、サンタは自分であることを告げる。吉春の事を刑務所
に戻す最後のチャンスだと思ったという彼。直季を殺すつもりは
無かったという。吉春が指名手配になりさえすれば良かった事
を語る。父親は輝一郎に自首する様告げる。すると突然彼は
時効までは30分を切っている事を語る。直季は輝一郎が15年前
の事件についても何か知っているのではないかとして問い詰める。
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なんと実那子が冒頭で見た記憶は、曖昧な記憶だった。

数話前から、例え記憶を取り戻しても混乱によってすり替わる
ような事は言っていた。やはりこれまでの展開の中で強烈な
印象を植え付けられた吉春が犯人として描かれた。

結婚式は近づく中、果たして吉春は何をそんなに恨んでいるのか?

吉春が犯人だとすると、実那子は何故狙われているのか。
吉春は冤罪だとしても15年の刑期は迎えているので、今更実那子
に犯人だと言われても実際にはそれ程の実害は無いような感じ。
それでも執着している理由は何処にあるのかが、ドラマとしては
ポイントだろうか。

意外な繋がり。

最後になって正輝の存在が浮かび上がる。
敬太との繋がりがあったことで一気に容疑者としての可能性が
出てきた。しかし意外とあっさり告白する事で一気に犯人と
しての可能性は失われた。

サンタクロースの正体。

実際にはこの正体が分かったとしてもサンタクロース=15年前の
犯人という繋がりは全く無い。輝一郎が吉春の事を全国指名手配
にしたかったという理由も説得力が有る。

最後は口を滑らせたことから発覚していく。

正直、輝一郎が告白しなければ依然として事件は闇の中だった。
輝一郎の父・正輝も15年前の事件については何処まで知って
いたのかは分からない。ただサンタクロースに関して顔を知って
いただけだ。
勿論全ては実那子の記憶の中に有るので、時間さえ掛ければ
全ては発覚する流れだったが・・・

吉春に嫉妬していた輝一郎。

吉春に嫉妬していた事と母親が失踪したことで、何処か輝一郎
がおかしくなってしまった。
ドラマでは親が居なくなると言う心の傷・トラウマが全ての発端
だと主張している様だ。結局母親が失踪した理由は何だったの
かな。

気難しい輝一郎の心理状態。

輝一郎は何故実那子に憎んで欲しいと思ったのだろうか。
最後に来て難しい精神世界に入り込んでしまったかのようだ。
実那子の心の傷は全て自分が作った物だとして愛おしさを感じ
たのか。それとも実那子は愛した貴美子の妹である事でその
面影を引きずってのことなのか。

戦いに疲れたものたちの末路。

直季も実那子も最後は眠って終わるという展開だった。
直季に至っては突然転んでしまう展開が事前に描かれていた
為に病気で倒れた可能性も有る。
視聴者の中に余韻を残す作りはとても上手いものだったね。
大抵の日本の作者ならばハッピーエンドを用意してしまうからね。

大庭実那子 …… 中山美穂 (27・植物園「オーキッド・スクエア」)
(幼少時代 …… 井端珠里)
伊藤直季 …… 木村拓哉 (25・ライティング演出)
(幼少時代 …… 長谷川純)
濱崎輝一郎 …… 仲村トオル (35・九条物産)
中嶋敬太 …… ユースケ・サンタマリア (25・直季の幼馴染み)
(幼少時代 …… 風間俊介)
佐久間由理 …… 本上まなみ (23・直季の恋人(期限付き))
玉置春絵 …… 横山めぐみ (33・中華街)
伊藤直巳 …… 夏八木勲 (55・直季の父)
濱崎正輝 …… 岡田眞澄 (66・画家)
濱崎麻紀子 …… 原田美枝子 (失踪当時33)
国府吉春 …… 陣内孝則 (35・仮出所中)
玉置和良 …… 山路和弘 (春絵の兄。現在は中華料理屋"ニーハオ")
中村 …… 田山涼成 (植物園の園長)
森田明仁 …… 牧村泉三郎 (実那子の親)
祥子 …… 長嶺尚子 (植物園・実那子の同僚)
芹沢 …… 本間憲一 (直季の上司)
武藤 …… 佐々木勝彦 (輝一郎の上司)
大庭善三 …… 信実一徳 (実那子の育ての父親)
森田加寿子 …… 井上夏葉 (実那子の実母)
森田貴美子 …… 南美穂 (実那子の姉)
康子 …… 泉晶子 (群馬県・中之森の教師・車椅子)
国府和彦 …… 坂西良太 (吉春の親戚)
沖田幸子 …… 寺田路恵 (将人の母親)
佐江 …… 中島ひろ子 (実那子の親友)
沖田将人 …… 森田雄治 (実那子の小学時代のボーイフレンド)
佐倉 …… 森下哲夫 (議員、元森田明仁の秘書)
フランク …… フランク・オコーナー (旧森田家前の教会の神父)
小椋 …… 佐川満男 (森田家惨殺事件の担当刑事)
菊地 …… 平賀雅臣 (カメラ現像店)
恩田 …… 石橋凌 (刑事)

小松正一、あづみれいか、山田百貴、杉本凌二、森田雄治

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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