木更津キャッツアイ
(2002年度1月期・TBS金曜22時枠)

脚本:宮藤官九郎
プロデューサー:磯山晶
演出:金子文紀、片山修、宮藤官九郎
音楽:仲西匡 / 山川恵津子


第9話 俺まだ死ねねえや

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バンビたちはぶっさんに東京に行こうと誘う。俺達がしてやれ
る事はこんな位だという。しかしアニは選抜まで二週間だし、
バンビは男になったし、マスターは4人目が出来無いようにゴム
付けろと告げ、オレに気を使う暇が有れば大人になれとみんな
に告げてマスターの店を出て行く。
しかしぶっさんは海辺で一人泣いていた。モー子がやってきて
それに気がつくが気の利いた言葉も掛けられず。

ぶっさんは美礼先生の元へ。
最近白衣を着ていない先生に尋ねる。元々何故古文の先生が
白衣を着ていたのか。すると美礼は白衣は大学の先輩の形見で
あるという。7年かかって教師になった途端病気で亡くなって
しまったとの事。生きている人間が死んだ人間になんとかして
貰おうなんて傲慢だった事を反省する美礼。美礼は公平のお陰
で立ち直ったことに感謝を示す。美礼と一緒にキャッチボール
をすると、ぶっさんは一人告げる。オレは木更津のセックス
ピストルズになると。

キャッツの仲間達はぶっさんを拉致してでも東京に行こうとして
いたが、アニがその計画の中止を訴える。今度の日曜日にキャ
ッツアイとして試合をすることになったという。相手は純たち
の選抜で選ばれた高校と。そこにはプロのスカウトたちも来る
との事だった。しかし今日はまだ木曜日だから十分に東京に
いける時間があるという。

一方ぶっさんは亡くなった時のことを考えて父・公助の為に
髪型のノートを作っていた。そこに父がやってきてローズの
事を母ちゃんだと呼んで欲しいと頼まれる。

ぶっさんはマスターの店に行くと店が閉まっている事に気がつ
き海岸を探すと落とし穴に落ちる。すべてはキャッツが仕掛け
た罠だった。ぶっさんは強引に車に乗せられいざ東京に行く
事になる。東京に行って自分が変わるのが恐いという。

東京で見る景色はぶっさんには刺激的だった。
そんな中、飲み屋に女性と入るリトル山田の姿を目撃する。
中学時代、キャッチャーの補欠だった男だが、今では大阪に
引っ越し高校時代に活躍してプロ野球にドラフト入団した男性
だった。山田の方が気がつき声を掛けてくると一緒に飲むこと
になる。千葉には良い思い出がないという山田はこれまでの
事をみんなに語る。すると今度オーナーの孫娘と結婚する事に
なり、その際頼み事が有るという。数々のスキャンダルを起こ
したツケを全て清算したいという。女性と撮られた写真の回収
を依頼してくると、キャッツアイとして活動をすることになる。
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冒頭から3回忌の話

いきなりそんな話から入るので死がいよいよ現実の物として
描かれる。これまでのドラマからすると死を予期していても
死なないオチへと強引に持ち込むドラマも多かったからね。
そういう意味ではどういう形でドラマを締めるのか興味深い
ものだった。

東京での顛末

まさかの大活躍。
キャッツアイとしての能力の高さを見せるもので、名古屋まで
出張に行ったり、時に新宿アルタ前で恥ずかしそうにしている
キャッツアイたちの姿があった。
山田との因縁の関係の描き方も見事で、山田からの無理なお願
いに対して、それをあっさりと引き受けている事への色んな
可能性がふと思い浮かぶ。
幼い時の約束を履行したのか、それとも使いパシリにしていた
事への懺悔の気持ちからなのか、それとも両者の間に厚い友情が
有ったのか。

まさかの安住アナとの絡みも面白かったな。

ぶっさんがいよいよ倒れる。

マスターの嫁の妊娠をここまで引き延ばして理由もこの最終話
の為にあったのかと思うととても良くできた話だった。

生と死の関係が巧みに交錯し、マスターが産まれてくる子に
ぶっさんの名前を授ける所などちょっとした感動物の演出。

死を前にして実にくだらないことを最後に残してなかなか
死なせない様な状況を作ったこと。暗いはずの場面にうまく
コメディチックな演出を入れることで、このドラマらしさを
演出する辺りは流石だった。

結局病院では死なない

死ぬシーンを描かず、さらりとテロップで済ませる辺りも面白く
出来ていたと思う。実際に本当に死んだのか良く解らず、
それだけこの関係性が永遠の物であるとの印象を付けた所は
見事ではないかな。

美礼先生とシジミ

時々このドラマ、キーワードとしてシジミが有ったよな。
木更津という土地柄故のことなのか。

ぶっさん(田淵公平) …… 岡田准一 (末期癌、実家は床屋)
バンビ(中込フトシ) …… 櫻井翔 (大学生)
うっちー(内山はじめ) …… 岡田義徳 (モヒカン頭)
マスター(岡林シンゴ) …… 佐藤隆太 ("野球狂の詩"マスター)
アニ(佐々木兆) …… 塚本高史 (実家は佐々木写真館)
山口 …… 山口智充 (ニューエイジファイナンス)
猫田(猫田カヲル) …… 阿部サダヲ (野球部監督)
オジー(小津裕次郎) …… 古田新太
犬島くん …… 中村獅童 (猫田の後輩)
森山 …… 森山直樹
リトル山田 …… 妻夫木聡

モー子 …… 酒井若菜 (バンビの彼女)
美礼先生(浅田美礼) …… 薬師丸ひろ子 (教師)
教頭 …… 緋田康人 (美礼先生が好き)
ミー子 …… 平岩紙 (風俗嬢、うっちーの彼女)
男の勲章・店長(帯谷) …… 嶋大輔 (喫茶店のマスター)
純 …… 成宮寛貴 (アニの弟)
セツ子 …… 須之内美帆子 (マスターの妻)
ナオミ …… 増田恵子 (セツ子の姉)
巡査(竹田イチロウ) …… 三宅弘城
五十嵐イチコ …… 細野佑美子 (女子高生)
ひとみ …… あじゃ (女子高生)
ちはる …… 柴山香織 (女子高生)
二代目・木更津ローズ …… 森下愛子 (風俗嬢)
田渕公助 …… 小日向文世 (父・床屋)

安住アナ …… 安住紳一郎
リトル山田 …… 妻夫木聡

尾上康代、浮田久恵、甲斐田聡美、松下愛乃、神谷なほ


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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