相棒 シーズン3

脚本、監督:近藤俊明
脚本協力:輿水泰弘

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_03/



第18話 大統領の陰謀
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薫はかつての親友で殺人鬼として6人の売春婦を殺害した浅倉
禄郎
と会う。今度は違う。オレが殺したのではないという彼。
しかしそれは薫の夢だった。一体何故今頃そんな夢を見たのか。

埼玉県の造成地でトランクに入った女性の遺体が発見される。
死後一年は経過したと思われる遺体。遺体は
桜木静香(28歳)
だと判明する。

朝、角田が特命係にやってきて、昨日発見された
埼玉県の田所
で見つかった遺体は、どうやら浅倉禄郎が殺害したみたいだと
告げに来る。
トランクからは浅倉の指紋が出てきたし、何より
遺体の死亡時期である頃、浅倉がトランクを運んでいるのを
多数の住民が目撃しているとの事だった。被害者は
高級コール
ガール
として働いていたのだという。

浅倉は6人の売春婦を殺害したことで
"平成の切り裂きジャック"
とされていた。拘置所から一年半前に脱走し、半年後捕まえる
が、捕まえたときには記憶を失っていた。検察庁の次長検事の
指示によって拘置所内で殺害されたものである。

薫は右京に、彼は殺害を自供した際に、自分の母を殺害した事
を悔いて涙していたとし、6人の売春婦殺害以降は殺害していな
いと訴える。そもそも記憶喪失の彼に殺人が出来る物なのか。
右京は、記憶を失う前に殺した可能性は有ると告げる。

田所市にいき、薫は後輩の芹沢から
田所警察署から事件の調書
を取ってくるよう指示する。
記憶を失っていた浅倉は、田所市を流れる
音巻川沿いのホーム
レスが集う場所で暮らしていた事が分かる。
右京らはホームレスから話を聞くと、
大統領と呼ばれている男
から、この場所は
自由共和国というコミュニティを作って暮ら
しており、みんなで働いた金を蓄えておいて必要な物を買って
いたという。
国務大臣と呼ばれる男は、基本的にはこの国では
自由と不干渉だが、共同体的要素も備えている事を聞かされる。
浅倉について尋ねると彼はこの国の国民にはなろうとしていな
かった事を知る。
この辺りは、
平本修治市長が再開発を公約に掲げて当選して
おり、グラウンドにする計画が唱えられていたが、一年前に
ぱったりと立ち退きの要請が無くなった事を聞く。
大統領は、首からカンガルーの金玉だという袋をお守りだと
して大事そうに手にしていた。

右京らは町中で浅倉の目撃証言を探ると、タクシー運転手、
コンビニ前にたむろする若者、ジーンズ店の店員から同様の
目撃証言を得る。浅倉がトランクを引きずって歩いていたという
のは本当のことだった。目撃証言をつなぎ合わせていくと、
田所グラウンドホテルから来ていたことを知る。

ホテルに12月13日に浅倉らしき人物が宿泊していないか?と
尋ねると、その日は市長のパーティーが有ったという。市長の
為にスィートルームを取っていた事を知る。
コック長に話を聞くと、内密の事だが大統領はよくホテルに
顔を出して残飯などを食べていたという。

薫は例え浅倉がトランクを運んでいても殺しをしたとは限らない
と最後まで信じていた。そして市長が公約を辞めたのは何故
なのか。二人は美和子も巻き込み市長から話を聞きに行く。

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埼玉県の河川敷でトランクに入った女性の遺体が発見される。
なんとそのトランクには、平成の切り裂きジャックとの異名
を持つ浅倉禄郎の指紋が残されていたことから、7人目の殺害が
疑われるが、薫は逮捕されて以降の彼は改心していたと確信し、
この事件に隠されていた真実を探っていく。

浅倉禄郎が関わる最後の事件になるのかな。

プレシーズンの2作目で初めて登場した浅倉。
シーズン2で彼の関連のエピソードが全て描かれ、
シーズン2の1話で身柄を拘束、シーズン2の2話で脱走して投身
自殺を図るも助かり、その後記憶喪失状態でホームレスとなっ
ていたものの、半年後に捕まり、シーズン2の最終話で元上司の
次長検事によって拘置所内で殺害された。

今回はホームレス状態になっていた頃のエピソードが描かれた
形だった。

浅倉がトランクを押していた日の当日にホテルで市長のパーテ
ィーが開かれていた事とそれに関連して、ホームレスが住む
河川敷の開発がストップしている事で、大体の事件の真相が
思い浮かべられる話だった。

問題は殺したのが市長なのか、それともその秘書なのかという点
で、どのようにそれを証明していくのか。
市長にアリバイが有ったという時点で、容疑は秘書に向けられた
し、ホームレスの市を聴取しに行く際に、秘書が"大統領"という
言葉を用いていた事で、相棒にありがちなホームレスとの繋がり
が有った事を示唆する流れだった。

たまきさんの発言によって、捜査の原点に戻ってみたり、
捜査の打開点を見出していく所など、典型的な相棒の基本的
骨子の元で製作された内容で、ストーリー自体も分かりやすい
ものだった。

秘書自ら殺害を犯していくという所に不可解さは有るものの、
このころの相棒には、捜査解明の過程以上に、人情的要素が
存在していて、現在放送している相棒シーズン9よりも味わい
深い物がある。

杉下右京 …… 水谷豊 (特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (特命係)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 高樹沙耶 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦 信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢 守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田 六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策部)
内村 完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田 公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)


浅倉禄郎 …… 生瀬勝久 (元東京地検、殺人鬼、記憶喪失)
田島謙作 …… きたろう ("自由共和国"大統領)
藤厳雄 …… 綾田俊樹 ("自由共和国"国務大臣)
平本昌恵 …… 藤吉久美子 (市長の秘書、妻)
平本修治 …… 新藤栄作 (市長、娘婿)

七森美江、松本公成、小田豊、湯沢勉、竹之内啓喜、緒口幸信
中田敦夫、松下哲、千田敦子、川嵜美佳、依田真一、小田崎諒平
菊地東陽、韓由美

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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