砂の器

脚本/龍居由佳里

http://www.tbs.co.jp/utsuwa/


第2話 目撃者


--------------------------------------------------------
蒲田操車場殺人事件の発生から二週間が経つ。
未だに捜査で掴めた情報と言えば「カメダ」「東北訛り」
そして「白いタートルネックの男」だけであった。ワイドショー
でも警察の初動捜査にミスが有ったと激しく非難されている。
その報道を見て英良はタートルネックを切り刻み、元彼女で
ある玲子に処分をお願いする。

女優・あさみの元に一本の電話が鳴る。丹後に住む母の妹・
安藤からのもの。20年近く会っていない母が亡くなったという
知らせ。複雑な心境。更に麻生から呼び出され、決まっていた
ハズの春の講演の主役の座から降ろされてしまう。理由は
若い女優を使うとの知らせにショックを受ける。

一方秀良は先日であった川辺で再びあさみと出会う。
あさみは蒲田で彼に会った事を思い出すが、彼は否定する。
しかし彼の中で彼女に対する殺意が生まれ始めていた。
--------------------------------------------------------

ご当地ドラマ色の強い内容だね。
秋田県・羽後亀田にカメダ繋がりで捜査。
黒ずくめの男が彷徨いていたという情報を得るが、犯人とは
無関係であると判断。
更に今回は成瀬あさみの生まれ育った故郷である丹後の伊根
も舞台となる。

宿命という名の人生の柵。
運命とは違い生まれながらにして差のある境遇のことで、自分
ではどうする事の出来ないものとして運命より残酷であると
する英良の心の中の傷。
今回はそんな傷を背負った女性の存在に自分をダブらせ、
殺したくても殺せない切ない状況を描いた。

ドラマとして上手い点は、あさみの人生を描くことで、英良
の境遇を上手くあぶり出している点だ。
今回のあさみは不幸に次ぐ不幸の連続。
特に義父と母親の間に、幸せそうに育つ娘が居たという現実は
相当ショックだったようで、自殺しようとする所にまで追い
込んだ。

殺したい相手を助けてしまうという相反する行動が実に切なく
描かれている。

和賀英良は幼い頃はずっと流浪の旅に出ていたのだろうか。
この場所にも来ていたかのような描き方だ。

事件の方は色んな所でその足跡を描いた話だった。
表面的には捜査は難航しているかのようにも見える。
しかし何と言っても被害者の返り血を浴びたセーターが
評論家である関川に見つかってしまった点。勿論本人はそれを
認識していないが、英良の元彼女である玲子の行動如何に
よってはすぐに事件解決の方向へと導かれる。
また英良と宮田誠との間に接点が有った点も見逃せない。
彼から借りたコートに血が付着している点が不吉だ。

更に身元不明の死体だった三木謙一の遺体が三木博の登場に
よって随分と進展した点。東北ではなく岡山の出身だったという
事実は事件解決に於いてどのように結びついていくのか。

しかし展開上の違和感も大いにある。
普通元彼女にゴミの処理を依頼するか?
宮田誠との接点も有る意味微妙な感じで、コートなど借りて
殺人を犯すだろうか。
色々と論議はありそうだが、なかなか雰囲気は良くできている
ね。

和賀英良 ……… 中居正広 (ピアニスト)
吉村雅哉 ……… 永井大 (蒲田西署巡査)
関川雄介 ……… 武田真治 (評論家)
田所綾香 ……… 京野ことみ (英良の婚約者)
本浦房 ……… かとうかずこ
本浦秀夫 ……… 斎藤隆成
唐木イサム ……… 松岡俊介 (演出助手)
宮田誠 ……… 岡田義徳 (衣装係)
扇原玲子 ……… 佐藤仁美 (英良の元彼女)
桐野カヲル ……… 佐藤めぐみ (女優)
三木謙一 ……… 赤井英和
三木博 ……… 佐藤二朗 (謙一の弟)
桐原小十郎 ……… 織本順吉
麻生譲 ……… 市村正親 (劇団響・主宰者)
今西純子 ……… 森口瑤子
クラブのママ ……… 根本りつ子
佐々木健次 ……… 石丸謙二郎 (捜査一課)
野口信吾 ……… 芹澤名人 (西署巡査部長)
黒木肇 ……… 辻萬長 (捜査一課・管理官)
大崎医師 ……… 江藤漢済
田所重喜 ……… 夏八木勲 (元農林水産省大臣)
本浦千代吉 ……… 原田芳雄
成瀬あさみ ……… 松雪泰子 (女優)
今西修一郎 ……… 渡辺謙 (警視庁・捜査一課・警部補)

大高洋夫、田窪一世、和泉ちぬ、井上浩、小熊恭子、宮崎彩子
芦沢孝子、戸村美智子、小山田里奈、横山三菜子、堤信子
いせゆみこ、榎徳太郎、菅原正和、森喜行、小林愛里香

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

inserted by FC2 system