大奥 〜華の乱〜
(2005年度10月期・フジテレビ)

企画:保原賢一郎
プロデュース:林徹・手塚治・樋口徹・金丸哲也
脚本:浅野妙子・尾崎将也
演出:林徹
音楽:石田勝範

http://www.fujitv.co.jp/oh-oku/index2.html


第5話 逆襲

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お伝は湯殿で安子を湯船に沈ませ、扉の栓を封じて出て行って
しまう。なんとか湯船から這い出て、扉を叩いて助けを求めるが
誰も通る気配がない。安子は無き母や成住、そして父親の言葉
を思い出しながらなんとか陣痛に耐えて母の形見のかんざしを
手に取る。それを使って上手く外鍵を外して外へと出た途端に
彼女は崩れ落ちる。その姿を音羽が見つけすぐに布団に寝かせ
る。陣痛と熱にうなされる彼女だったが、無事男子を出産する。

男子の名は長丸。暫くは平穏な日々が続いた。
長丸の事を可愛がる綱吉に、子供が姫であっても愛おしく思っ
たであろうか?と尋ねる。そんな親子での仲良い姿を見て、
御台所の信子は怒りに奮わせる。

安子は長丸を引き連れて散歩していた時に、たまたま子供達と
散歩に出ていたお伝と鉢合わせする。湯殿の出来事は誰にも
言わないことを告げる安子。何故言わないのか分かるか?と
問いかけ、安子はお伝が二児の母親だからだと告げる。大奥を
追われた子供たちの行く末を心配しての事だった。吹上の石段
での鼻緒の件、そして今回の湯殿の件、二度に渡る粗相は許す
が三度目は見逃すことは無いとして、自制を求める。
その事に関してお伝は忠告を受けるとしながらも、徳松の世継ぎ
の件では一切譲る事はないと宣言する。

安子は右衛門佐にだけは湯殿件などを含めてお伝との確執の
事を話す。そして安子は世継ぎの件は譲っても良いと彼女に
語るのだった。

お伝は久しぶりに綱吉と布団を共にする機会に恵まれる。
お伝は孟子の言葉を引用し、殿の傍にいるために知性を磨く事
の必要性を訴える。綱吉が気をよくしたところで、彼女は世継
ぎの件で徳松を認知するよう一筆欲しいと頼む。しかし再三
に渡って世継ぎの件で迫る彼女に、"くどい"と一蹴し、主君に
教え諭そうなどもっての他だとして綱吉を怒らせてしまう。
それを見て信子は高笑いする。安子に今こそ、お伝の地位を
奪えと迫るが、長男を差し置いて次男を押せば恨みを買うとし
て、自分にはその気がない事を告げる。右衛門佐も安子に同調
し、それは道理に反するとして、いたずらに恨みを買うのは
得策ではないと告げる。
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今まで信子と柳沢の存在が随分と小さいものだったが、ここに
来て存在感が大きくなってきた。
ただ信子の場合、子供が居ないので優位に立つのは永遠と難し
いものだと思う。その点柳沢の存在は、一気に上に立つだけの
要素を持っている。

安子とお伝の関係が随分興味深く描かれた。
お伝の事を飼い慣らしていくだけの安子の中に慈悲の心が存在
したり、母親としての強さと寛容さが上手く描かれている。
そんな安子に安らぎを覚えるとする綱吉の気持ちもよく分かる
もので、上に立つ者として幼い頃から人を蹴落とすための
教育をされてきたであろう綱吉にとって、権力争いなど我関せず
の態度を取る安子にある種の魅力を感じるのは当然のことなの
かも知れない。

お伝に更生するだけの要素を与える。
刃向かってくるお伝に対してその都度許しを与えていく内に、
相手には敵意が無くなってくる。中国の故事なんかにも有るけど、
まさに安子の寛容さが上手くお伝の心から毒気を抜いていく。
最後に仕掛けた青梅の件も、結局最大のチャンスだったが、既に
心の中には安子に対して敵わないとする思いがあったのかも知れ
ない。ただ毒気の抜けた小池栄子の姿なんてみたくないな。
眉をつり上げ嫉妬に狂う彼女こそ最高のキャラクターだったね。

さて最後に染子が身籠もったようだ。ただ柳沢とも関係が有った
様だし、子の親に関してはかなりグレーゾーンではないのか。
しかも染子の精神状態は一度自害までしようとした行動を見ると
柳沢と引き離して側室に入るのはちょっと可哀想な感じだね。

安子(綱吉側室、牧野成貞の娘):内山理名
徳川綱吉(第5代将軍):谷原章介
お伝の方(綱吉側室):小池栄子
右衛門佐(信子付上臈御年寄のちの大奥総取締):高岡早紀
柳沢吉保(綱吉側用人):北村一輝
大典侍(綱吉側室):中山忍
染子(吉保側室):貫地谷しほり
葛原(奥女中):鷲尾真知子
美吉野(〃):山口香緒里
秀尾(〃):久保田磨希
小山(安子付中臈):かとうあつき
萩乃(お伝付中臈):岩橋道子
草庵(医者):山田明郷
阿久里(安子の母):萬田久子
牧野成住(安子の元夫):田辺誠一

牧野成貞(綱吉側用人、安子の父):平泉成
柳沢吉里(吉保の子):野間斗晴→佐藤涼平
隆光(僧侶):火野正平
小谷権太郎(お伝の兄):木下ほうか
曲芸師:海老一染之助
清閑寺大納言(大典侍の父):二瓶鮫一
菊江(安子付部屋方):遊井亮子
徳松(綱吉の子):加藤翼→吉川史樹
鶴姫(綱吉の娘):梅原真子
徳川家宣(綱吉の甥、のち第6代将軍):柴田善行
徳川光圀(水戸藩主):大杉漣
音羽(桂昌院付中臈)・ナレーション:余貴美子
桂昌院(家光側室、綱吉生母):江波杏子
信子(綱吉正室):藤原紀香

高橋静香、鈴川法子、高野由味子、あきやまりこ
富永佳世子、山本晶子、上鶴良子、澤田今日子
林舞水、後藤琉心、井上優吏

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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