大奥 〜華の乱〜
(2005年度10月期・フジテレビ)

企画:保原賢一郎
プロデュース:林徹・手塚治・樋口徹・金丸哲也
脚本:浅野妙子・尾崎将也
演出:林徹
音楽:石田勝範

http://www.fujitv.co.jp/oh-oku/index2.html


第7話 真の敵

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長丸を殺したのはお伝では無いと直感した安子。
一連の顛末を影で見ていた信子に不審な点を感じた安子は信子
に尋ねる。信子に呼ばれた際に部屋にはいなかったが、私の
居ぬ間に長丸に会っていたのではないかと。しかし信子はそれ
を否定し、なぜそんな質問をするのかとふてぶてしく返してく
る。それに私が長丸に手をかけて何の得が有ると逆に切り返し
てくるのだった。

そんな中、看病を続けていた徳松は、医者の草庵よりご臨終の
声を聞く。桂昌院は泣き伏せているお伝を呼び出し、鶴姫の事
を紀州の綱教の元にご縁組みさせないかという。綱教は時期
将軍の有力な人物の一人だという。徳松を亡くしたばかりなの
に鶴姫まで手放すのは嫌だと否定するが理解を求める。
お伝は放心状態で庭を眺めていると徳松が居たときの事を思い
出す。そして庭に青梅が落ちているのを見ると、お伝はそれを
口にむさぼり喰う。苦しんで倒れている姿を萩乃や松波が見つ
けて一命は取り留める。その事実を聞きつけ安子は病室へと
足を運ぶ。中臈らは今はナーバスな時期である為にお引き取り
を願うが、お伝自らが許可し安子を部屋に入れる。
そして自らがした事を悔やみ許しを請うと共に、なぜ私が負う
べき罪が息子へ向いてしまったのかと悔やむことになる。

その頃大典侍は桂昌院の前で、徳松が木材の下敷きになった際
柱を倒したのは安子であると告げる。それをふまえて、安子に
は落飾されて大奥から去られた方が良いのではないかと進言す
る。綱吉は猛反発し、彼女はそのような事が出来る女ではない
と告げる。

傷心する綱吉は柳沢と共に釣りをしながら昔のことを語り合う。
そこに犬がやってきて人間達を襲おうとやってくる。柳沢らは
切り捨てようとするが、現在は喪に服している時であり無用な
殺生はすべきではないと止める。綱吉はそなたたちよりも犬
の方がマシだとして、餌を分け与えて犬(竹丸)をかわいがる。
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綱吉の血を継ぐ男児が連続して亡くなったことで再び後継者
争いは白紙に戻る。
大奥のおんな達はなんとかライバルを蹴落とそうとする中で、
その争いの被害者であるお伝と安子が心を通わせる辺りが
なかなか興味深く描かれていた。

さて今回は"生類憐れみの令"という災禍の元が発令される。
全ては隆光の一言で決まったものだが、子供を失ったことで
完全に骨抜きにされた馬鹿殿・綱吉の心の哀しみにも触れる
展開だった。
幼き頃から言い付け通りの生活をしてきた事で自らの考えを
失ってしまった感の有る将軍の姿。終いには安子からも非難
されて倒れてしまう辺り、とても繊細な人だね。

既に彼を取り巻く人々の間では、次なる後継者の話になり、
右衛門佐にしても信子にしても、綱吉政権を終わらせようとする。
その終止符を安子に打たせようとするところが実に酷なもので
敵とはいえ、情が入らぬはずはないであろう彼女にその決断を
迫ることでの非情な感じがとても面白く演出された。

しかしあの毒が目の前に差し出されたときに、安子は息子を殺し
たもので有るとは感じなかったのだろうか。
右衛門佐のキャラクターは、自らの権力だけを求めるのではなく、
パランスの舵取り役を担い、世の中を良くしようとしている
所が面白いね。信子は積極的に手を貸そうとしているけど、
御台所としての位置から解き放たれたいと思っているのであろう
か。綱吉が亡くなれば彼女の地位も益々小さくなっていくのでは
無いのか。

安子(綱吉側室、牧野成貞の娘):内山理名
徳川綱吉(第5代将軍):谷原章介
お伝の方(綱吉側室):小池栄子
右衛門佐(信子付上臈御年寄のちの大奥総取締):高岡早紀
柳沢吉保(綱吉側用人):北村一輝
大典侍(綱吉側室):中山忍
染子(吉保側室):貫地谷しほり
葛原(奥女中):鷲尾真知子
美吉野(〃):山口香緒里
秀尾(〃):久保田磨希
小山(安子付中臈):かとうあつき
萩乃(お伝付中臈):岩橋道子
草庵(医者):山田明郷
阿久里(安子の母):萬田久子
牧野成住(安子の元夫):田辺誠一

牧野成貞(綱吉側用人、安子の父):平泉成
柳沢吉里(吉保の子):野間斗晴→佐藤涼平
隆光(僧侶):火野正平
小谷権太郎(お伝の兄):木下ほうか
曲芸師:海老一染之助
清閑寺大納言(大典侍の父):二瓶鮫一
菊江(安子付部屋方):遊井亮子
徳松(綱吉の子):加藤翼→吉川史樹
鶴姫(綱吉の娘):梅原真子
徳川家宣(綱吉の甥、のち第6代将軍):柴田善行
徳川光圀(水戸藩主):大杉漣
音羽(桂昌院付中臈)・ナレーション:余貴美子
桂昌院(家光側室、綱吉生母):江波杏子
信子(綱吉正室):藤原紀香

高橋静香、鈴川法子、高野由味子、あきやまりこ
富永佳世子、山本晶子、上鶴良子、澤田今日子
上田こずえ、新村あゆみ、笹木俊志、峰蘭太郎、吉田輝生
山川晃輝

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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