第11話 僕は歩き続ける。

草なぎ剛は念願であったロードレースに出場する。

最終回。
ドラマとしてはこれまでの丁寧に築き上げてきたモノを一気に
放出しすぎた感じで、かなり飛躍的でも有り、段取りよくやって
きたドラマとしてはかなり省略した内容にも思えたけど、伝える
べきテーマは上手く伝わってきた。

ドラマとして一貫して上手く描かれているのは、未来に対する
漠然とした恐怖心や新しい事にチャレンジする事への不安感に
有ると思う。
これは何も自閉症患者に限って有るモノではなく、一般の人たち
誰もが感じるもの。
ドラマの中のテルは自分の見識以外の事には耳をふさいだり、
気を紛らわすために別のことに集中する姿が見えたりした
が、こんな行動の一つ一つを上手く成長の過程の人生のエピソ
ードに例えて描いていたのではないかな。

自分のテリトリーから一歩踏み出たところに何があるのか。
飼い慣らされた鳥の事を例に挙げたり、ロードレースに於ける
価値観の中で描かれていたが、そこにはその人だけにしか
分からない心地よい世界があり、臆するだけでは何の進展も
しないことが上手く伝わってきた。

最終的にはグループホームを通じて自立心は描くべきところだと
思うが、11話の中では窮屈すぎる話しだね。
都古ちゃんがグループホームについて熱弁してみたり、
レース後に彼がグループホームに行くと語るシーンはかなり
唐突感があったし、飛躍した表現にも繋がったと思う。
この辺は大事なところだったので、もう少し丁寧に作って
欲しかった。

しかしこのドラマ、この世界で息づく人々、取り分けテル
の回りに住む人々の人間的な温かさが伝わってきたところは
良かった。テルが人々を開発していった向きもあるが、人生
出会う人によって人間的な成長に温度差を生じることが
よく分かる話だった。

橋部敦子さんに人生とは何かを訪ねたら、相当雄弁な答えが
戻ってきそうだ。それくらいこの方のドラマの中の人生観は
しっかりとしたものが有りますね。

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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