第11話 新たな旅立ち

医者が人である限り絶対はない。
患者が身内であり、それも特別な存在である人の手術を果たして
無事行うことが出来るのかという、ちょっとしたスリルな感じを
臭わせつつドラマが構成された話しだった。

しかしこれはあくまで今回のテーマの一部分。
ここから派生したドラマは、医師としての器量や宿命について
色々と投げかけた話しだった。

果たして患者が身内であることによって、医師は判断力を失う
ことは有るのだろうか。そういう意味では、手術シーンで緊迫
感を得るよりも、リンパを温存しようと決断に至る失策の方が
現実としては恐い問題のような気がする。

そんな中、ドラマとして面白いのは医者は医師としての器量を
十二分発揮する為には患者との距離を置いた付き合いをして
行かねばならない事を示唆しているにも関わらず、この島
の患者たちは、寧ろ逆の形を求めている。
臨時に赴任してきた医者には自分の診療を任せようとはしない
ところは、医師の心、患者知らずと行った感じに皮肉に映る。

鳴海先生は平静を装い人間関係に冷たそうにしている態度とは
裏腹に、手術での自分の責任を感じて植物状態の妻の容体を
見守る意外な一面も見せていた。

人の人生を背負うことの重く苦しい事を否定しつつも、自分も
医師としての宿命を全うしている現実を見れば、やっぱり
悪い人ではなかったなという感じで、実に深い役どころだった
と思う。

最後にこんな医師としての宿命がクローズアップされるのは
意外だった。そんな宿命を思えばコトー先生も容易にはタケヒロ
にこの道を歩ませる事が出来なくなるのではないかと思ったり
もする。

写真をめくりながら島民の姿を映し出す映像なんかが最後に
ゆっくりと流れたが、ドラマ自体は1時間枠に収まりそうな感じ
だった。

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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