第5話 絞殺る(しめる)火の玉の謎と完全なる密室殺人

昭和に建てられた古いホテルの一室で密室殺人が起こる。
首を絞めら窒息死した男性・矢島。
現場を検証するとコーヒーカップが2組有ったことから来客が
有ったことを臭わすが、その日、矢島が止まる807号室の
近くで配線の工事が行われており、死亡推定時刻の前後に
矢島以外の人間が部屋に入るところを誰一人目撃していない。
首は擦過傷の様に切れた跡。床には焦げ跡。部屋中の指紋は
拭き取られている。向かいのビルの人間の証言によると
死亡推定時刻の頃、部屋に火の玉が見えたというのだが..。

CSIなんか見ていると日本のドラマの細部の詰めの甘さが
目立つわけだが、そんな中でも主人公とヒロインの会話は、
海外ドラマに劣らず見ていて楽しいモノが有る。

湯川先生が自分の事を決して偏屈な人間だとは思っていないと
いうオチ。
薫との掛け合いの中で、"早とちり"と"卑怯呼ばわり"の応酬
によって互いを皮肉る展開は面白い。湯川先生という人物像を
考慮すれば、"卑怯呼ばわり"されれば根に持つタイプ
で有ることは一目瞭然だ。

他殺ではなく自殺であったという証拠固めは、このドラマの
中で確かに良くできている。意図的に他殺であることを演出
した為に、コーヒーカップがポイントとして使われたり
睡眠薬とベッドで殺されていた位置関係は確かに説明されると
納得するものが有る。

ただこのドラマで強引なのは、数少ない証拠で自殺した
方法論を完璧に解き明かしてしまうという段取りが明らかに
不自然なのだ。
CSIでもこんな無理強いな展開はない。

逆説的に展開を見てみれば、この方法論によって人が亡くなった
いう確証が何一つ無く証明する事が出来ない事。ドラマでは
水野美紀演じる矢島貴子の証言だけでこの方法論を証明する
形を取っているが、彼女が黙秘すれば確かに裏付けるもの
が何一つ無いのだ。

そういえば娘役に大後寿々花に起用された。
日本の業界では今イチオシの存在なのだろう。
クレジットを見るとなんと一番最後に名前が出てくるのだから
驚くほか無い。
最後に湯川先生と絡むシーンは、普通の脇役ならばこの様な
シーンは決して無いと思う。ハリウッド映画に出演した
だけの効果が有ったと言うことか。

guest
水野美紀、大後寿々花、利重剛、岡本光太郎、弓削智久

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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