第11話 さらば愛しき人

瀕死だったハズの東野が生きており、高木に付き添われて
梯二郎の前に現れる。外資を呼び込んでまで東野に反旗を翻した
梯二郎だったが、東野が生きていたことによりカジノ計画は
国営を押す東野側に風は吹き始める。

なんとも微妙なドラマだった。
その辺はしっかり視聴率にも表れているので今更説明する事も
無いだろう。
ドラマとしてはまさに人間不信に陥るような終わり方で、夢とか
野望から脆くも崩れ去る一人の男の寂しい末路を演出したドラマ
だった。

勿論不条理なままドラマが終わるのは一向に構わない。
今の日本の政治家を見れば、地元の基盤を引き継ぐことの出来る
二世議員の存在無くして語れないことだし、このドラマに有る
様な、生まれながらにして全てを持つモノしか生き残ることが
出来ないという主張にも有る意味納得の出来る物だからね。

ただ残念な事に桃子というキャラクターに対する描き方があまり
にも不自然な為に、ドラマには全く感情移入できるモノが無かっ
た。

対等な関係を持つという事は、結局相手を転覆させる事なのか。

大層な信念を並べ立てた割には、他人の金で成功を収めただけ
で、そののし上がり方は彼女が否定する梯二郎の成功の方程式を
そのまま譲り受けただけの感じがしてしまう。

更に最後の結末に於いて重要に関わりを見せる氷室の存在も
実に弱々しい。
展開はまるでドラマ「振り返れば奴がいる」の織田裕二と西村
雅彦の再現だが、殺すほどの憎しみがこのドラマの展開の中に
隠されていたとは到底思えない。氷室は氷室で自分勝手な野望
の元で動いていた感じに見えたし、今更梯二郎に怒りをぶつけて
何の得が有るのか全く分からなかった。

外資を否定する割に中国企業と手を組む東野の動きも不自然
そのもの。アメリカ企業が撤退すれば、そんな煙たさを覆すだけの
インパクトが中国企業に有るとは思えない。

結局京子が一時的にも戻ってきた事だけが良かったな。
この辺にだけ純粋なものが有った気がする。

あと男性視点で見ているからかも知れないが、主人公を男性と
女性で入れ替えた方が有る意味感情移入しやすいと思う。
梯二郎のポジションに女性を配置し、桃子のポジションに男性
を配置する。どうもこのドラマを見ていると最後に女性が男性
に手を差し伸べようとする描写があまりにも惨めすぎて見て
いられなかった。そして桃子というキャラクターの成功が
高飛車な態度にも見えて、どうも収まり処が悪い。

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆ (4.0)

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