パンドラ

脚本/井上由美子

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第7話


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鈴木を殴る的場。
しかし鈴木は涼しい顔で答える。"怒ったところで何も変わら
ない"という。国が認めた研究だという鈴木に対して、そんな
薄汚れた薬なんかで患者は助かりたくないハズだという。
死の恐怖に怯えた患者ならば何万人の犠牲者を出して生まれた
薬でも欲しがるはずだというが、的場は自分を引き合いに出し
俺自身が癌患者であるため、だからこそどんな殺人事件も見逃
せないものだという。そして政府に不当に開発をさせられた事
について訴えようと鈴木を誘う。表にさえ出れば警察も動かざ
るを得ないはずだと。
しかし鈴木は、告白しても現実は変わらず、何処に行っても
独り占めしようとするもの、金儲けしようとする奴は後を絶た
ないだろうと告げる。人間は自分さえよければ良い生き物で
有ると。そして理想だけでは薬の開発など出来はしない事を
告げる。

愛美から鈴木の元に電話がなる。
厚生省の人間が来て退院することになった事を告げる。もう
鈴木には逢えないと言われたのでバイバイを言っておくという
彼女。治験者だったことも決して口には出してはいけないこと
を言われたという。最初に先生を信じたのは私であり紛れも
無い共犯者である事を告げるが、鈴木はキミの役割は終わった
と突き放した。

愛美は沼辺から口封じのための金を手渡される。
しかし治験の事だけでなく、森村の件についても黙らせるつも
りならばこれでは足りないという愛美。アンタの差し金でやっ
た事は分かったという愛美に対して懐から更に金を出した。

外に出しても大丈夫なのかと大田黒は心配するも、沼辺は何か
有ったら責任は私が取ると語る。

一方鈴木は春夫と共に警視庁に行く事を告げる。
港東大学病院に対する捜査令状を正式に出してもらうための
もの。しかし公安が動いているとなれば、国の一大事という事
であり、その訴えももみ消されるのではないかという。
そして国にとって裏側を知る愛美は殺されてしまうかも知れない
事を告げた。
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研究者である港東大学病院の研究グループの鈴木と大田黒は
政府と最終的な打ち合わせのために技術説明をするために
官邸を訪れる。その時に必要な抗ガン剤の為の塩基配列の
データが必要だという大田黒に対して、データは何処にも
無く私の頭の中に有るという鈴木。彼も同行し、自分が説明
すると告げるのだが・・・

とても面白い流れだし引き込まれること間違いないのだが、
不自然に思う流れも多数に存在する。
その中でも筆頭なのは、この新薬の事をあまりにも大げさに
悪いモノのように扱う的場らの流れだ。そんなに彼が主張する
程汚いことをして開発したものなのだろうか。人々の醜さは
確かに存在したが、薬を開発するまでの流れはそんなに不純さ
は感じない。確かにオヤジ狩りをしていた愛美に罰を与える
必要は有ると思うが・・。

一つの殺人事件を追う流れとボニッパル薬害事件の被害者である
森村の件が合流した流れはとても面白い。
その共通項である愛美こそが、この訴えに対して最も必要な
人物であるが、意外とぞんざいに扱われている辺り、ドラマと
して妙なスリル感を生んでいる。
愛美の存在、態度の去就によって右にも左にも動きそうなもの
なのに、なんでこれだけ放置していられるのか不思議でならな
い。

鈴木が途中で小夜子のことも欲に目が眩む同類として扱う
シーンが有るが、鈴木って小夜子がデータを持ち逃げした
事実を知っていたのでしたっけ?

ドラマではやられっぱなしだった鈴木が大田黒に反撃する流れ
も実に面白い。
彼は新薬開発に辺り3つの条件を提示する。

1) 私が開発者であることの公示。
2) 大田黒を研究チームから外すこと。
3) 薬の治療患者の選定を自分にやらせること。

情けないのが時の総理の対応だ。
これも自分の事しか考えないという鈴木の主張を裏付ける為の
要素なのかも知れないけど、なんか妙に笑えた。

ただよく分からないのが新薬の開発から製薬会社へと移行する
までの流れだ。
解析が済んでいるのならば、量産化出来るのも訳ないし、いち
いち鈴木が治療患者を選定しなくてもすぐに薬など出回ると思う。
自分自身の主張の中でどの製薬会社でも作れるような事を語って
いるのだし、一連の流れからしてみれば、量産化出来るまでに
は多少の時間が掛かるので、それまでの間に誰を治すのかを
自分が決めさせて欲しいというのが正しい主張ではないか。
一日何千人とガンで命が失われている訳だから、一刻も早く
治さないといけない患者が居るのも確かだろう。
総理の前立腺癌なんてそんなに進行が早いモノでも無いんだし
末期癌を一瞬で治した薬ならば、そんなに焦る必要はないと
思う。

鈴木に会いに来た元妻・桂ひとみの態度が分かりやすくて
笑える。これまでの陰謀に比べれば、ひとみの行動なんて
実に可愛らしく映るんだよね。

残りは最終話。どんなオチが待っているのか期待して
見ましょう。

鈴木秀樹 ……… 三上博史 (港東大学病院・内科医)
的場真一 ……… 柳葉敏郎 (刑事)
飯田小夜子 ……… 小西真奈美 (港東大学病院・外科医)
水野愛美 ……… 谷村美月 (ガン患者)

大田黒茂行 ……… 國村隼 (港東大学病院・医学部長)
太刀川春夫 ……… 山本耕史 (新聞記者)
深見甚一郎 ……… 小野武彦 (厚生労働大臣)
朋田省吾 ……… 平田満 (朋栄ホスピス・理事長)
沼部義広 ……… 相島一之 (厚生労働大臣・秘書)
緑川富士夫 ……… 山本圭 (緑川病院・医師)
門脇ちか ……… 上原美佐 (医学部長の秘書)
桂ひとみ ……… 吉瀬美智子 (鈴木秀樹の元妻)

ワタセ・マモル ……… 山根和馬 (愛美の男友達)
竹下 ……… 宮城健太郎 (的場の部下)
総理大臣 ……… 有川博
森村静夫 ……… 田窪一世 (被害者)
平石徳子 ……… 余貴美子 (長官)

児玉頼信、中村圭佑

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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