パンドラ

脚本/井上由美子

http://www.wowow.co.jp/dramaw/pandora/top.html


第8話


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愛美が朋田の運転する車に轢かれて病院に運ばれる。
小夜子が新薬を奪われたと聞いてその場から離れた隙に彼女が
事故にあった。
医師によると肝臓が損傷しており危ない状態だという。
あの薬さえなければこんな事は起こらなかったのに・・・

朋田は父親に電話する。愛美は危険な存在。私は役に立てた
のですよねと尋ねるも、お前は手段を間違えたという父。
自分のことは自分で何とかしろという父は、息子に決して警察
には捕まるなと命令する。

一連の顛末を官邸で静観していた平石徳子は、愛美が事故に
合うタイミング良すぎるとして、その場にいた関係者をにらみ
つける。既に適切な処理を行っている沼辺の段取りに、徳子は
皮肉混じりに関心する。

一方アメリカの製薬会社に新薬を持ち込んだ大田黒。
しかし分析の結果新薬ではなく単なる風邪のウイルスである
事が判明。鈴木によって偽物とすり替えられたと大田黒は
落胆する。

病室に愛美の母親そして弟たちがやってくる。
昨日突然帰ってきて、病気が治ったといったり大金を持って
きたりして愛美の行動が変だったという彼女。一体何をした
のかと鈴木達に詰め寄る。そしている間にも愛美の容体が
急変し心拍が停止。蘇生を試みる医師の姿を見て鈴木は
癌で亡くなった母親のことを思い出していた。
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いよいよ最終回。
抗ガン剤ウィルスを世に出すことは出来るのか。
一連の顛末に於いて一番特を得るのは誰なのか。
この事件に関わった真相は的場や太刀川によって暴かれ、
世間に公表されるのか。

ドラマとしては有る意味想定できるモノだった。
画期的な抗ガン剤がこの世の中に出回るという展開が用意
されると、現実との整合性に於いて不都合になる部分が多く、
新薬は作られないだろうと思っていた。

ドラマとして良くできている点は、愛美が結局癌を治した
所で運命は変えられなかったという事実ではないか。
結局一連の話が夢物語で有ったように、運命も結局変わる事
が無かったという結末。このは愛美だけでなく他の人物に於いて
もこの傾向が言えるのだと思う。

特に運命に逆らって亡くなった人は居ないと思う。
亡くなるべくして亡くなった人ばかりで、特に新薬の件が
特別に人の生死を分けたとは考えられない部分も多い。

今回は沼辺と深見の関係が深く掘り下げられたり、沼辺に
すり寄っていた森村の話が描かれた。
この人たちもボニッパル事件に於いては責任の一端が有ったの
か。治験をしたのは大田黒だけど、政府主導で行われていた
ものだったのか。
大田黒が結局学長に居座ってしまうという辺り、世の中の
妙を上手く取り入れていると思う。汚いことをしても世間を
上手く生き抜く人こそ得をえていくんだよな。

正義である的場の中にある悪も描かれたし、世の中の汚さ
を描きつつも、それを演じる人間の愛おしさについて論じる
ところも現実的なオチだったな。

ただドラマを見るとやっぱり抗ガン剤の存在が、悪い方向に
大げさに取り上げられている気がした。
例え新薬開発までに不幸な歴史が有ったとしても、それを適用
していく人にまで責任を押しつけるべき展開でもあるまいし
ちょっと神経質に成りすぎている。最後に的場が人を生かす
のも殺すのも神の仕事と言うけれど、医者の存在というものを
完全に無視した発言だと思う。
まぁ年金制度の崩壊という面に於いては面白い切り口な
ドラマなのだがその辺は全く言及が無かった所は残念。

鈴木秀樹 ……… 三上博史 (港東大学病院・内科医)
的場真一 ……… 柳葉敏郎 (刑事)
飯田小夜子 ……… 小西真奈美 (港東大学病院・外科医)
水野愛美 ……… 谷村美月 (ガン患者)

大田黒茂行 ……… 國村隼 (港東大学病院・医学部長)
太刀川春夫 ……… 山本耕史 (新聞記者)
深見甚一郎 ……… 小野武彦 (厚生労働大臣)
朋田省吾 ……… 平田満 (朋栄ホスピス・理事長)
沼部義広 ……… 相島一之 (厚生労働大臣・秘書)
緑川富士夫 ……… 山本圭 (緑川病院・医師)
門脇ちか ……… 上原美佐 (医学部長の秘書)
桂ひとみ ……… 吉瀬美智子 (鈴木秀樹の元妻)

ワタセ・マモル ……… 山根和馬 (愛美の男友達)
竹下 ……… 宮城健太郎 (的場の部下)
総理大臣 ……… 有川博
森村静夫 ……… 田窪一世 (被害者)
平石徳子 ……… 余貴美子 (長官)

児玉頼信、中村圭佑、武田義晴、榊英雄、斧アツシ、北見誠
王汀、田中昌宏、足立学、鈴木貴乃、西崎果音、牧原颯也

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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