相棒9
(2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠)

脚本:戸田山雅司(1)(2)(9)(12)、太田愛(3)(5)(13)
櫻井武晴(4)(6)(8)
徳永富彦(7)、古沢良太(10)、ブラジリィー・アン・山田(11)
監督:和泉聖治

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/



第13話 通報者
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市役所の福祉課の細野忠雄は、藤吉家を訪問する。
藤吉家は母・
美奈子が一人で二人の子供・長男・祐太と長女の
祐芽を育てており、美奈子が鬱病で寝込みがちなために生活保護
を受けている家庭だった。細野は中学生のの祐太に対して、
高校にも行ったらどうか?という。しかし彼は遠慮がちに生活
保護を受けている身だからとして、それを断る。

夜、祐太はアルバイトの為に証明写真を撮りにスピード写真
へ足を運ぶとそこで、女性・
笠井俊子が何者かに首を絞められて
いるのを見かける。すぐに近くの電話ボックスから警察に通報
するが、住所と氏名を聞かれると、彼はそれを言うことが出来ず
電話を切る。

被害者の笠井俊子は
北野川市民ホール前で殺害される。
鈍器で殴られた後にひも状のもので首を絞められた事が死因
だった。犯人は所持品を全て持ち去ったらしく、手ぶらの状態。
祐太は騒ぎの為に証明写真を取り忘れている事に気がつき、
取りに戻ると既に無くなっていた。

笠井俊子について調べると、彼女には恐喝の前科が有ることが
分かる。現在は
生け花教室の講師として活動しており、前科を
隠すためにネームロンダリングをしているという。
警察に通報のあった録画テープを聞くと、午後23時20分に子供
の声で通報された事を知る。子供が一体そんな時間に何をして
いたのか。

右京たちは現場である北野川市民ホール前へ足を運ぶ。
するとスピード写真のボックスが近くにあるのを知る。
中を覗くと
コンビニのレシートが有り、レジの日時は23時5分
となっていた。
被害者の自宅を家宅捜索すると、通帳やカード、宝石類には一切
手を付けておらず、パソコンだけが無くなっている事が分かる。
ホシは俊子に恐喝されていたものではないか?と疑う。

右京たちは祐太の家にいく。
すると母が病気なので自宅ではなく近くの公園で話すことに。
祐太はどうして自分が通報主だと知ったのか疑問に感じる。
右京はその経緯を語ると、祐太はそれを認め、年齢を偽り
アルバイトをするために履歴書と写真を買いに行ったことを
語る。夕べみたのは、
黒っぽいダウンコートを来た人物が被害者
の首をひも状の物で絞めていたこと
。フードで顔を覆っていた
ので顔は見ていないこと。面倒なことに関わりたくなかった
ので名前を名乗らなかった事を告げる。被害者の俊子の関係を
聞くも知らないと告げる。しかし右京も神戸も関わりたくない
人の通報ではないと考える。

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一人の女性が殺害される。
その時現場を目撃して通報した人物が居るが、何故か身分を
明らかにせずに電話を切ったことで違和感を覚えていく。
被害者は繰り返し恐喝を繰り返している女性故に、彼女に
強請られている人物だろうと想定するが・・

今回は太田愛さんらしく、事件そのものの顛末以上に登場人物
たちの生活に上手く主眼を置いた作品だった。

目撃者の不自然な行動の意図に隠された真実の姿とは一体
何なのか。
今回は随分神戸がこの少年に肩入れする話で、神戸の少年時代
の事情が気になるような描き方。時々神戸はセリフの中で、自ら
の成長過程に於ける寂しい一面が有ることを吐露する事が有るよね。

目撃者が何処まで犯人のことを掴んでいるのか。そして被害者
の俊子との関係は何なのか。
殺人事件だけでなく、俊子の過去には多岐に渡って焦臭い事件
との関わりが有るために、祐太が何処までその事情に関わって
いるのか気になるもの。
祐太が容疑者の一人・宗方綾乃とも精通していたことで、
視聴者を完全にパニックに陥れるシナリオだったと思う。

貧しい物たちは金持ちから金を摂取しようとするものではなく、
貧しいものから絞り出させようとする辺りの非道さ加減が
世の中の世知辛さを上手く表現していると共に、金のないもの
たちへの偏見さを上手く事件の容疑者の側面として浮かび上が
らせていると思う。

一瞬盗撮事件はこの少年が生活費を稼ぐために荷担していたり
するのかと思ったけど、妹思いの純粋な少年で良かった。

人から発せられる嘘と本当の見極めがドラマとして重要なものと
なった。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)


藤吉祐太 …… 溝口琢矢 (息子)
藤吉美奈子 …… 内田量子 (母親)
藤吉祐芽 …… 山岡愛姫 (娘)
藤吉美里 …… 阿南敦子 (美奈子の姉、キャバ嬢)
笠井俊子 …… 益田ひろ子 (生け花師範、実は恐喝の常連)
細野忠雄 …… 上田茂 (福祉課)
下山巧 …… 八幡朋昭 (狛江市立北野川中学教師)
高橋明子 …… 松本舞 (華道部の顧問)
宗方綾乃 …… 堀ひろこ (旧家の女主人)
赤松肇 …… 建蔵 (今井造園社員)
今井孝雄 …… 岡田正 (今井造園社長)
宗方剛史 …… 中脇樹人 (駆け落ちの大学教授)

山崎海童、夏川加奈子


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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