相棒11 (2012年10月期・テレ朝・水曜21時枠) 脚本・輿水泰弘(1)(9)、戸田山雅司(2)、太田愛(3)、櫻井武晴(4)(7) ハセベバクシンオー(5)、守口悠介(5・協力)、徳永富彦(6)、金井 寛(8) 監督・和泉聖治(1)(3)(6)、近藤俊明(2)(7)(8)、東伸児(4) 田村孝蔵(5)、安養寺工(9) プロデュース・伊東仁、西戸敦郎、土田真通 音楽・池頼広 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第9話 森の中
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匿名の女性からの通報を受けた救命士は、吹上街道沿いに有る
車道の脇で暴行され意識不明の重症患者を搬送する。
なんと非番でキノコ狩りに来ていたトオルである事が判明する。
なんとか一命を取り留めるも、トオルは記憶喪失になっており、
相棒の右京も彼女の笛吹の事も全く思い出せずにいた。
刑事が襲われたことで、捜査一課の職員も躍起になるが、運悪く
一課の精鋭部隊は他の事件で出払っていて、トリオザ捜一に
捜査が托されることになるが・・・

シナリオとしては前後半に分かれるもので、今回は序章だったけど、
これだけ面白く感じられる導入部というのも凄い。
事件捜査のシナリオの妙を感じさせるものではなく、相棒の中の
人間関係の妙を感じさせる内容だった為に、捜査に深く切り込ま
ずとも興味深さを感じられる所に繋がったのだろう。

今回程右京が頼もしく感じられる案件というのも珍しいものが
有るし、トオルでさえボコられ(実際には車で轢かれたものだろう)、
相手がナイフを所持していることに対して、右京の単独の
捜査では心細いものが有るものの、トリオザ捜一の三人が同行
すれば、これ程頼もしいこともない。
いわば共存共栄の上手いバランスの元で描かれた内容だなと
感じさせる話だった。

トオルが急速に受け入れられた事を証明するかのように病院に
集う仲間達の姿に微笑ましいものが有る。
月本の使い方も面白かったし、事件の顛末は後半部に托す意味
合いも有って、時間的使い方をトオルと笛吹の出会いを語らせたり
トオルと父親の関係やトオルを眺める警視庁の中園・内村のやりとり
に繋がったのだと思う。ブルース・ウィリス・角田、ジョニー・
デップ・大木、ロバート・デ・ニーロ・小松という下りも面白かっ
たけど、体格的特徴を皮肉として描いている関係である事を
勘案すれば、角田のブルース・ウィリスは良いとしても
小松はビンセント・ドノフリオ、大木はジョー・ペシかダニー・
デヴィートだと名乗るくらいの捻りが欲しかった。

トオルと笛吹がマイアミ発ニューヨーク行きのバスの中で出会った
という下りを見ると、「古畑任三郎」でも初のアメリカ編が
描かれた時の事をフト思い出すな。

事件の着眼点としてはそう悪くは無いのだけど、一番近いキノコ
狩りの場所での犯行、そして公衆電話という下りは果たして説得
力が有るのか否かというものが有った。犯罪者心理からすれば、
出来るだけ遠くに被害者を連れて行きたいハズだし、逆に助けたい
側の人間からすれば、一刻も早く医者に診せたい心理が働いてい
るのも事実なので、そう間違っては居ないと思うけどね。

壁に貼り付けられた新聞記事を見る限り、まろく庵(馬鹿庵)に集
まっているものたちの意図がうっすらと感じさせるものが有る
反面、若者達がひっそりとコミュニティを作って暮らしている
姿に、色んな意味で複雑なものを感じさせるものがあった。