ゴーイング マイ ホーム (2012年10月期・フジ・火曜22時枠) 脚本・監督：是枝裕和 音楽：ゴンチチ 協力プロデューサー：安藤和久 プロデュース：豊福陽子、熊谷喜一 主題歌：槇原敬之「四つ葉のクローバー」 http://www.ktv.jp/goingmyhome/index.html

第1話 小心者の男に訪れた人生のヘンテコな転機突然現れた美女＆伝説の生き物クーナの謎
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娘・萌江が数々の嘘をついて担任からも呼び出しを喰らう坪井
家は、両親共に仕事で多忙な日々を過ごす。そんな中で、突然
女性関係の激しかった良多の父親・栄輔が故郷で倒れたと
聞いて、毎週末看病のために長野と東京を往復する日々を送る。
有る時病室にとても綺麗な女性が父の病室を見舞いしている
事を知って、一体誰なのかと探っていくことになる。

映画監督の是枝裕和さんのドラマ作品。
近年NHK以外ではあまりドラマ出演しなくなった宮崎あおい
さんや、久しぶりのドラマ復帰作の山口智子さんが出演する
など、話題には事欠かない感じのドラマ。

細かい言葉のやりとりの中にも全てが計算づくとばかりに
言葉尻を拾い取っていくところが良く出来ているのだけど、
ドラマ全体を通して見ると、そんな繊細さは皆無かのようなホン
ワカとしたのっぺり感のある雰囲気のやりとりが都会の喧噪
と離れた長野で展開されている事も有り、不思議な感覚を生んで
いた。ただそれでいて決してつまらないという訳ではないし、
なんともつかみ所が無いね。

日常生活の中にこそドラマがあるという「最後から二番
目の恋」っぽい感じにも思えるし、フィルムの質感が完全に
映画仕様のものを使っている感じがして、より不思議な
感覚をくすぐっている。

各々のキャラクターに於ける性格付けを印象づけたような
初回の内容で、子供と親のちょっとしたすれ違い感とか、
特定のキャラクター同士の対となる言葉のやりとりはとても
面白かった。良多の他人を小馬鹿にしたり、それでいてちょっ
と小心者で有る様は「結婚できない男」の主人公像に投影される
べきものがあるけど、西田さんとのやりとりの中で、長野では
「クーナ」をカブトムシの別称かと思ったと語るシーンや、
部下から「まー君」と呼ばれる事に関して意外と気にしている
シーンや、父親の病室に届けられた花の花言葉をもって、
どういう相手なのか想像していくシーンが面白かった。

アメリカの事情に於いては、幼少期に幻想の友達が出来ると
いうネタが多いけれど、このドラマに於けるクーナはそんな
幻想に近いものを反映しているのかな。それともナチュラル
に良多を非難するが為に作られたようなキャラなのか。