ゴーイング マイ ホーム (2012年10月期・フジ・火曜22時枠) 脚本・監督：是枝裕和 音楽：ゴンチチ 協力プロデューサー：安藤和久 プロデュース：豊福陽子、熊谷喜一 主題歌：槇原敬之「四つ葉のクローバー」 http://www.ktv.jp/goingmyhome/index.html

第3話 良多、母には言えぬ父の秘密を知る
--------------------------------------------------------

--------------------------------------------------------

萌江が学校で謹慎を食らう中で、その期間に父親の実家である
長野県を訪れることになる。そこではクーナという小人の
伝説が息づいており、クーナを探して森を散策する中で、
赤い小さな帽子が落ちている事に気がついた良多は、迷信だ
としながらも、徐々に父親が実家に戻ってきた本当の理由を
知る内に、クーナに興味を持ち始めていく。

祖父の実家に於いて、まるで探偵家業のように色々と物事の真意
を確かめていくという意味ではとても興味深く作られているドラマ。

祖父の生前の行動、人間関係、クーナを追いかけている本当の意味など、
とても興味く描かれているし、物事には命が吹き込まれていると
する事で、今後クーナに関するあらゆる物に意味合いを求めて行動
を起こすであろう事が見て取れる。

近年のドラマは、どうしても現代の食生活と同じで、濃い味付けに
舌が慣れてしまい薄い味付けのドラマに無味乾燥な感じがしてくるが、
繊細な物語で、感覚を研ぎ澄ましていかないと、見逃してしまう事も
多そうだ。夏休みの間の一夏の経験として描かれれば、ドラマと
しても興味深く写りそう。ただこのドラマの欠点は、2時間ドラマ・映画の枠
で十分に解決出来そうな流れを連ドラを描いてしまっている事で、
今後間延びしていきそうな所に繋がってしまうかも知れない不安な
一面を持って居る。

中華料理店の会話の中で、栄輔と治、そして久実なる人物の関係に
ついて語られるシーンが有った。そして栄輔がこの土地に戻ってきた意味
やダム建設に反対している意味も、古き良き時代の思い出の場所を
守るが為の行動なのだろう。

クーナの語源が大国主神と一緒に国作りを起こした小さな神のスクナヒコナ
から来ていること。墓地や寺で目撃情報が多く、昔は炭鉱に現れたという
事や、父親の代ではそれを見たという幻の場所を探して回るドラマの
終着点の中に一体何が有るのか。

幼い時の忘れた記憶を掘り起こしていくという内容は、ドラマとしても
興味深い。ただ良多と家族の関係が、前提としてもう少し家庭不和の
状況を起こしていたり、人生の困難を迎えたりしているとまたドラマとしても
違った感じに見えてくるが、比較的社会的地位のある坪井家の物語故に
現代劇がどうしても意味あるものとして写りづらい部分が有る。
確かに子供との関係に於いて、気難しい一面が逢ったり、沙江と良多の
実家の関係が疎遠になりがちで、向き合っていない感じがするのだけど、
だからそれがどうした?みたいな物語になってしまっている部分があって、
その後の展開が想像しづらい。