大奥 〜誕生〜 ［有功・家光篇］ (2012年10月期・TBS・金曜22時枠) 監督 - 金子文紀、渡瀬暁彦、藤江儀全 脚本 - 神山由美子 原作 - よしながふみ『大奥』 プロデューサー - 磯山晶、荒木美也子 主題歌：MISIA「DEEPNESS」 http://www.tbs.co.jp/ohoku2012/

第10話 あなたのためだけに生きる
--------------------------------------------------------

--------------------------------------------------------

有功は家光に男女の恐ろしい業から解き放って欲しいと懇願
した結果、家光はそれを了承して有功を大奥総取締役にする。
そんな中玉栄との間に子供が産まれた家光だが、またしても
生まれた子は姫君だった。三人の継承者が生まれる中で、それ
ぞれ性格が違うことを実感していく。一方稲葉は役職を解任され
て、出家する事を薦められるが、生涯大奥に留まる事を決める。
そんな中、家光の体を病魔が蝕んでいく。

愛が有っても、逢えない・逢わない美学というもの貫いた格好の
ドラマだった。触れあうことは可能なのに、敢えてそれをしよう
としない事でより感情の高まりを覚えていく二人の関係。
それが家光と有功だけでなく、あらゆる場所でそのようなシチュ
エーションを発生させていた所が上手いなと感じさせた。
こういうドラマが好きな人は、まさに韓国ドラマがピッタリ
はまるのかもしれない。

やや不満なのは、10話と短い話だった点か。
ドラマを見ていると、色々と伏線を張って年間を通して楽しめる
ドラマとしての製作も可能な内容なんだけど、それをやらず
にあっさりと家光を切ってしまった感じがするし、大奥にだけ
集中した作りだったので、見やすく感情の移入もし易かった。

残念ながら稲葉家も再会することなく亡くなってしまうことだけ
ど、この辺も上述した美学を貫き、物質的には貧しい時代であっ
ても想像的嗅覚を研ぎ澄ました感覚的なやりとりによって、
上手い事気持ちを共有したり、死の知らせというものを告げて
幕引きしたなと思う。

TBSは水戸黄門枠を新たに、「JIN -仁-」や「大奥」の様なものに置き
換えて、この調子で現代劇と時代劇の融合を極めて欲しい。