相棒 Season12
(2013年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)、金井寛(2)(5)、櫻井武晴(3)、戸田山雅司(4)(8)
徳永富彦(6)、飯田武(7)、太田愛(10)
監督・和泉聖治(1)(2)(3)(10)、東伸児(4)(7)、近藤俊明(5)(6)、橋本一
(8)
プロデュース・伊東仁、西平敦郎、土田真通
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/




 

第10話 ボマー 〜狙撃容疑者特命係・甲斐享を射殺せよ!
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男性・長峰真は自分が勤めていた会社帝國情報リサーチ社
屋上から飛び降りて自殺を図る。
その頃、桂木涼は意識不明の重体で警察病院へと運ばれていた。

AAX206便が日本の成田空港に到着。そこにはJ・B(桂木重吾)
搭乗していた。

右京とカイトは月本の店"花の里"で今年の仕事納めとして、明日
から上海に滞在している悦子に合流してイギリスに旅行に行って
くると語る。すると右京はシェイクスピア生誕450周年に行くと
はタイミングが良い事を告げる。しかしカイトはその事を意識
していった訳ではなかった。シェイクスピアは数々の名言を
残していることでも知られており、「天と地の間には君の哲学で
は思いもよらない出来事がまだまだあるのだ」と引用して言葉
を投げかけると、餞別だとして右京はカイトにコインを手渡す。
右京と月本は土曜日に花見町で「ハムレット」の上演があるの
で見に行くのだと語る。

カイトは旅行前に勝どき総合病院で検査し、そして街に出ると
突然そこから見える交番が爆発するのを目にする。
するとカイトは野次馬の中にいた一人・北村悠馬(16才)
靴を履かずにいるのを見て声を掛ける。カイトは事情を聞くため
に近づくが悠馬は近づけばあなたも殺されてしまうとして遠ざけ
ようとする。するとカイトは悠馬の体に爆弾がしかけられて
いるのを目にする。スマートフォンからは犯人からのメッセージ
で、体に巻き付けられている爆弾は交番を爆破した10倍の威力
が有る事を告げ、カイトに対して君が少年から離れたり、
爆弾の事を人に話したり、スマホの電池が切れたり、そして
無理に爆弾を外そうとすれば爆発することになるとして脅す
カイトが持っているケータイを今すぐに破壊しろと要求する。
オレの名前はJ・Bだとし、仕事が終われば二人は無事に解放
すると約束する。

警視庁の捜査一課は交番を調べていた。
米沢は腕時計の竜頭を現場で見つけると、突然公安外事三課
と名乗る犬飼孝則が現れ、この事件には爆弾テロの可能性が
有るので証拠を回収するという。交番の他の警察官に尋ねると
防犯カメラは昨日誰かによって壊されており、午後4時に巡回
に出る時には交番に不審物は何も無かったと語る。そして午後
5時10分に爆発したのだという。

右京は交番から見える郵便局の回収ポストのスケジュールを
見て、巡回・回収に来るのが午後5時10分だと知り郵便局員から
話を聞くと、確かに妙な少年が現場にいた事を証言する。
その少年はぶつかってきたのだと何よりも靴を履いていなかった
のだという。

捜査本部が設置され、今回の事件は警察官を標的とした可能性
があることが指摘される。
そんな中、突然新公安部長となった正木浩輔会議中に乗り込んで
くる。この事件にはJボマーと呼ばれる天才的爆弾クリエーター
が絡んでいる可能性があり、彼はEU全域で指名手配されている
ものだという。同じく公安の井出聡によると、起爆装置には
日本製の時計を使うのが特徴で、日本に潜伏している組織が
J・Bを使ってテロを企てている可能性が高いのだという。
午後8時に
産業センタービルのロビーでテロ組織のリエゾン
と呼ばれる連絡係と接触するという情報を得ているので、捜査一課
などと協力して張り込みしたいと語る。
伊丹はなんか気に入らないヤツだとすると、芹沢から正木は
お爺さんの代から大臣であり、父親は法務大臣、兄は前福祉衛生
大臣をしていた人物だと語り、DNAが違うと語る。

そんな中、右京が捜査本部へとやってくると、交番爆破事件の
直前に現場付近にいた不審な少年が目撃されているとし、
既に似顔絵も作成してきた事を語る。しかし右京のことはまるで
捜査本部では相手にしようとせず、テロリストによる犯行だ
という線での初動捜査が始まる。

カイトと北村はJ・Bに指定されたアジト・大さかえ丸という
船の中に連れてこられる。スマホでも監視しているが、船に
設置してある防犯カメラでも監視されていた。J・Bはカイト
たちに今日の8時に産業センタービルに行けと指示する。
そしてロビーにいる男を全員撮影してこいと命令する。
カイトが不審な行動を取ろうとしているのを見て余計なことは
するなと釘を刺されるが・・・

産業センタービルに行くカイトと北村。
言われたとおり撮影していると、そこには張り込みの刑事たち
が沢山いた。伊丹はカイトに気が付くが無視しようとする。
しかし芹沢はカイトが連れている男性は先ほど右京が持っていた
似顔絵の少年だと語り、すぐに捕まえようとするが、カイトは
来るなと威嚇し、J・Bに指示されたように裏口に駐めてある
白いバンを使って逃走する。そして再びアジトへと戻るが・・
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毎年恒例の正月スペシャル。
2014年に見た最初の一本目がこのドラマ。
2時間半ということで異様に長いので集中力が必要だった。

かつて相棒の初期の頃には赤いカナリアというテロ組織が
活動し度々ドラマの中を賑わせていたきたけど、ここに来て新た
に国内に潜伏する一つのテロ組織との因縁の始まりを描いていくのかな
とも思えた。

正月スペシャルを見ていると過去、捜査機関内部での捜査権の争いが
多いことに気が付く。
ストーリー的には2012年のスペシャル版に近い内容(バスジャックを
して犯人を捜し出そうとする)で、近年正月スペシャルというと2011、
2012、2013年と太田愛さんが脚本を担当されている事も有るので、
ストーリーの骨子はどれも似ている気がする。
相棒初回スペシャル、最終話スペシャルの二時間版との差別化を
図っているのだろうけどね。

今回は、なんと言っても狙撃される内村完爾って感じって事で
シーズン12に入って初回からトリオザ捜一の三浦さんがリタイア
するという事も有ったので、レギュラーの第二の被害者という
ことでちょっぴり緊迫した流れが有った。
内村の横暴さは憎めないけど際立っていたので、視聴者に対するガス
抜き的意味合いも有ったのかもしれないけど、警察関係者が集まる
席で、撃たれた際には誰に当たったのか気になった。捨て駒的には
寧ろ中園っぽいところも有るんだけどね。

三浦さんがリタイアするのとは対象的にしぶとい内村完爾ここに
有りって感じで、ヒヤッとさせた後に笑えるオチは見事だった。

そしてなんと言っても正月スペシャルでは上述したように捜査機関
の捜査権争いというのは尽きないものがあり、今回は珍しく
公安が出てきた。相棒の歴史の中でもあまり公安が出てくること
は少なく、大抵組対5課が処理してしまうことも有るので、
ちょっぴり毛色の違う感じがした。

今回のドラマもそのパターンの一つではあったけど、政治的・政策的
流れと、警察内部の不祥事を暴くが為に犯人が行動を起こしている
ことを考えると、色々と考えさせられるものがあり、大義の為に人を
犠牲にしてもやむなしとする官僚たちの感覚と娘を守ろうとする
父親の行動の対称性、そして自分が数値を偽装したせいで、一人の
母子を死なせてしまったとする自殺した男性の姿には比較すべき
者があり、更にはカイトと父親の親子関係をその流れに無理矢理
ぷちこんでくるところなど、テーマを浮かび上がらせる為とはいえ
ちょっとくどさも有った。
またジャーナリストとはこうあるべきではないかとする主張のぶつか
りはとても興味深くみる事が出来て、ここ最近はその手のジャーナリ
ズムに言及することが多くなっている感じがする。

また今回のドラマの最大の面白さは、蚊帳の外に居る右京がどの
段階で主導権を握っているのかというところに尽きるのだけど、
2時間半ともなるとどうしてもその辺の因果関係が分かりづらいのが
残念だった。
普段の相棒だと、右京が犯人の言葉尻を引用する形で、捜査に
於ける矛盾点を紐解いていくのだけど、今回はそのような形を
取らずに、サプライズとして時折意味ありげにかかってくる電話
が全てのポイントとして利用されており、そのポイントの流れを
上手く利用して、視聴者にも分かりやすくしようとしていた感じだ。

さて事件自体は、右京とカイトが分断されるということで
カイトが犯人と同行している意図は何なのか。
現代の必需品である防犯カメラ映像とスマホによる監視活動
によって二人の人物が操られている訳だけど、マスコミの
情報が一人歩きしていく中で、カイトがなんとかして右京らと
連絡が取れないのかなとする流れが存在している。カメラの
死角は多いし、もう少し上手くコンタクトを取れないのかなと
思っていたけど、その辺の流れが正直ごちゃごちゃしていて
分かりづらく、爽快感が足りなかった。

ただ右京は比較的早い段階で娘・涼の無実を立証出来る目撃者・
北村のことを爆死させる筈はないと分かっていただけに、
もう少し早くそれをカイトに伝えても良かったのだろうけど、
公安の悪の巣をあぶり出すためには仕方が無いのかな。

取調室に於ける最後の種明かしはかなりくどくて一番盛り上がる
ところで息切れしていた感じがするのも2時間半のドラマの欠点
だね。

ドラマを見ていると、自民の二世議員によってまた天下り根絶の
流れも逆戻りしている感じがするし、ママから金をもらっていた民主の
二世議員とか道路公団の件であれだけ追及の目を向けていた都知事が
実際には自分が一番金にルーズだったみたいな事実を突きつけられ
るとホント日本の政治は絶望的だなという事を改めて感じさせる
ところに繋がっているな。

そういえば大石真弓役の松本若菜さんは昨年の正月スペシャルに
続いて二度目だね。小回りの利く婦警さんも是非捜査の流れに
利用して欲しい。

そして何よりもカイトがいよいよ悦子との結婚を意識していると
いう辺りが今後を期待させるかな。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)
大石真弓 …… 松本若菜 (刑事部刑事総務課)

正木浩輔 …… 中村橋之助 (警視庁公安外事三課)
犬飼孝則 …… 工藤俊作 (警視庁公安外事三課)
井手聡 …… 大鷹明良 (警視庁公安外事三課)
本田克己 …… 森本とみやす (警視庁公安外事三課)

桂木重吾 …… 宇崎竜童 (J・ボマーだと名乗るが実際にはジャーナリスト)
桂木涼 …… 佐藤藍子 (ジャーナリスト)
北村悠馬 …… 大和田健介 (月島高校定時制3年制)
柳沢晃 …… 川野太郎 (東西新聞記者)
田所信一 …… 児玉頼信 (涼の弁護士)
長峰真 …… 神戸誠治 (帝國情報リサーチ社)

山王美紀子 …… (山王財団の理事長)
田中光代 …… (隣人、アパート管理人)
北村喜子 …… (母親)
北村真紀 …… (娘、中学2年制)
馬場昭雄 …… (ピザフレンドリー従業員)
山根巌 …… (山王財団)
長峰貴子 …… (自殺した真の妻)

赤司まり子、村上理子、岩倉高子、三木敏彦、勝平ともこ
植村喜八郎、菊原祐太朗、神戸誠治、鈴木美香、あづみ昌宏
橋野純平、竹内義貴、稲田恵司、豊田茂、北林悌、西野大作
今村裕次郎、高松潤、夏秋佳代子、吉野正宏、八巻博史
三宮健、原田文明、斎藤亜美、新虎幸明、大江謙次郎
古賀久美子、折原りん、和田亮太、竹内和彦、戸田みのり

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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