相棒 Season12
(2013年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)、金井寛(2)(5)(12)(17)、櫻井武晴(3)、戸田山雅司
(4)(8)(16)
徳永富彦(6)、飯田武(7)、太田愛(10)、高橋悠也(11)、真野勝成(13)
山本むつみ(15)、古沢良太(18)
監督・和泉聖治(1)(2)(3)(10)(15)(16)、東伸児(4)(7)
近藤俊明(5)(6)(18)、橋本一(8)(13)(14)、安養寺工 (11)、近藤一彦(12)
真部千晶(14)、田村孝蔵(17)
プロデュース・伊東仁、西平敦郎、土田真通
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第18話 待ちぼうけ
--------------------------------------------------------
白鳥駅のホームで電車を待つ右京。電車の時刻を調べると
次の電車が車で2時間以上あるということで暖房のついた
待合室で待機する。

カイトはバーでお茶をしていると、隣に座っていた女性・
伊沢雪美が突然コーヒーからワインを飲み出し、涙するのを
目にする。

カイトと右京は昨日、花の里で明日の休暇について話合って
いた。カイトは悦子と過ごす予定だったが急なフライトが
入ってしまい一人で過ごすことになる。右京は休暇を取って
もやることはないので組織対策五課の仕事でも手伝おうかと
思っている事を告げるが、休みを返上して仕事をするなんて
よくない事をだとし、休みべき時にはしっかりと休むのだ
と語る。

そんな経緯が有って二人はそれぞれの休暇を過ごしていた。
カイトは雪美に対して声を掛ける。もしかして約束の相手と
すっぽかされたのではないかとつげ、自分も同様にすっぽか
されたとして親近感をあらわにする。雪美はカイトを見て
こんなオバサンを誘ってどうするのかと問う。

一方白鳥駅の待合室で右京は先に電車を待っていた男性・
友部巧に話しかける。タイミングの悪い時に来てしまった
として次の電車が車では二時間はかかる事を告げる。
右京は温泉に来たのか?と問い、この辺には蓬莱渓谷の温泉
がある事を告げる。すると巧は右京に対して缶コーヒーを
奢ると告げる。
友部は右京が公務員であることを聞くと職業を当てさせて
欲しいと語り、靴を脱いで欲しいと語る。自分は靴職人を
していて、人の足を見せ職業が分かれば一人前だと言われて
いる事を語る。

その頃公園で男性の遺体・和久井和夫(70才)の遺体が発見
され、一課の伊丹や芹沢も捜査要請が来ていた。被害者に
身よりはなく日雇いで働いていた人物だという。その場にあ
った石で殴られていることは明らかだった。伊丹は捜査
しながらも疲労からめまいを起こす。特命は休みをもらって
いるのに働き過ぎだと注意される。
--------------------------------------------------------
花の里で飲んでいた一同。
右京とカイトは一日の休暇が取れるが、右京は何もすることが
無いので普段からお世話になっている角田の仕事でも手伝う
事を告げ、カイトは悦子と過ごす事になっていたが、突然の
フライトの仕事が入ったので一人で過ごすことになる。
悦子も月本も休みべき時には休むべきだと言われるが・・・

時系列の使い方がとても上手かった今回のエピソード。

日本のドラマの場合、冒頭で一度未来を描いた後に、
XX時間前、XX日前みたいなメッセージが入ってしまうので、丁寧
だけど逆に分かり安すぎるって感じがして萎えるところも有る。
こういう導入部の仕方をすると、本当に休暇を過ごしているように
見えて上手い演出だなと感じた。

右京さんの渋さと対象的に今回の伊丹刑事の渋さというのも
ふんだんに盛り込まれていたし、捜査に於ける嗅覚の違いが
有るにせよ、捜査に対しては互いにまっすぐにところがあって
好感がもてるところ。

ドラマとしては、因果・因縁の関係というものを描いた
もので、人間は歳月と共にその人を構成する人格・性格・その時の
気持ちなどそのものが変わってしまうものなのかということを
描いたもの。設定を靴職人とした辺りも、無骨だけど一つのことに
対して固執・執着する性格であるという事を示唆する為に上手く
設定づけたものだ。

例え性格は変わらなかったとしても、状況は好転していて欲しい
と願う中で、マジメに過ごしてきた男性が再び人生が初期化
される以上の現実を突きつけられることで、絶望感を味わう。

最良の日が最悪の日となってしまう辺りの切なさを感じるところ
が有ったけど、そんな状況の中でも待っている人の存在がいるこ
との有りがたさと同時に、希望が有れば生きていけるものなのだろ
うなということで、閉塞感を感じている現代人に対してエールに
近いものが描かれたのかも。

出演している俳優がかつてのアイドルの太川陽介さんとか
新田純一さんとか、明らかに狙った演出であり、芸能界の流行
は巡り巡って再ブレイクすることが時々有るけど、その辺の因果関係
も含めて、今回のドラマの中で関係が抽出されるところは上手かった
かな。

面白かったのは伊丹捜査官の使い方に有ったね。
今回の伊丹たちの捜査を見て、彼に惚れそうになるくらいの渋い
捜査で刑事の色気を感じさせた。しかしやっぱり特命係のお出汁と
して利用されてしまうということが色んな意味で切ない。

小湊鐵道が舞台として描かれていたけど、日本のローカル駅の
渋さというものをもう少し上手くドラマのロケーションに利用
して欲しいね。

初めから事件の犯人が分かりつつ話を聞いているというところは
ちょっと趣味が悪いけど、人となりの人生を聞いていく中で、
柔軟にその後の展開を解決の為に持ち込んでいくというところは
とても上手かった。
ドラマ「私の嫌いな探偵」の鵜飼探偵ならばこの辺の一番重要な
ところを、事情などどうでも良いですからと一蹴されてしまいそう
だね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)
陣川公平 …… 原田龍二 (捜査一課・経理課)

友部巧 …… 太川陽介 (トラック運転手、靴職人の息子)
伊沢雪美 …… 芳本美代子 (巧と不倫)
津久井和夫 …… 伏見哲夫 (70歳、日雇い労働者、殺害される)
伊沢康明 …… 新田純一 (一流商社マン)

高橋修、別府康子、藤井佳代子、吉田澪里


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


inserted by FC2 system