刑事のまなざし
(2013年10月期・TBS・月曜20時枠)

原作 - 薬丸岳 『刑事のまなざし』
脚本 - 岩下悠子、大石哲也
制作 - 那須田淳
チーフプロデューサー - 橋本孝
プロデューサー - 佐野亜裕美、佐藤敦司
演出 - 鈴木浩介 ほか

http://www.tbs.co.jp/keijinomanazashi/




 

第10話 最終章・前編〜ついに明かされる10年前の真実と万華鏡の秘密
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10年前の2003年、夏目は法務技官時代に14歳だった山之内信吾
の事を気に掛け声を掛ける。しかし信吾は夏目が自分を見る
視線が気に入らないと突っぱねる。
2013年・教立大学で生徒の一人・今村裕也(21歳)が突然刺されて
亡くなる。聞き込みをするウチにタクシー運転手は池袋東口で
容疑者らしき人物を乗せた事を告げ、世の中で一番幸せな人種
は誰かと聞かれ大学生だと答えたと語る。タクシーから降りた後
大学前の高台で一度立ち止まって空を眺めるような仕草を
見せていたという。
更に小野知佳(38歳)という女性が刺し殺される。共に凶器として
使用されたナイフが発見されて指紋も検出されるが、前科者
リストには該当者がなかった。
その頃、尾崎家では妻の悦子が出産を控えて大事な時を過ごす
中、秋彦の元に次々と何者かから封筒が送られてくる。いずれも
テレビで起きている殺人事件の被害者の身分証だと判明する。
捜査本部が立ち上げられる中で、容疑者らしきフードをかぶった
人物がコンビニに立ち寄りベストスナックというものを買っている
事を知る。夏目はそれを知って10年前に関わった人物を
思い出す。

完全にドラマの演出・構成がJIN -仁-ですね。
抜け落ちていた過去の事象が全て一本の流れとして繋がったときに、
万華鏡が使われて、ガチン!と繋がったときの爽快感と共にその後に
訪れる絶望感が何とも言えない後味の悪さとして存在している。
悲しげな人生を送ってきた少年の物語を見ていると、東野圭吾さん
白夜行に出てきた主人公像も彷彿とさせるし、TBSさんは
こういう形のドラマが好きなようだ。

少年法によって守られている犯罪者が罪を償うこととは何か。
そして被害者に対してどのようなケアをしていくことが本人に
とって一番前向きになれるのか。

展開上不思議なのは夏目は当時身内の事件が発生したことで、
一時、信吾の案件関われなくなった訳だけど、彼が求めていたのが
大人に守ってもらうということを反証するような事件を自ら
起こしている点だ。自分の気持ちを分かる為にも自分と同じ
立場を味わえとしたのかも知れないけど、それにしてはむごい
仕打ちだ。

複雑な心情で捜査を行う夏目は自分の責任だとしているけど、
なかなか被害者の気持ちを理解するのに、同じ視線に立てない
捜査官・法務技官のもどかしさが描かれ、そして関わってきた
人物が犯行を犯していたと知った時の、絶望感みたいなものを
感じることが出来た。

サンシャイン60を見ていた彼は在りし日の記憶というものを
思い浮かべ、何を考えているのか。

誰もが生きて来たことの証を残したがるとする生命の本能みたい
なものが遺伝子には組み込まれているのだろうし、それだからこそ
子孫を残して託していくものが有ると思うが、社会から排除され
孤独を味わって居るものたちは何をもってそれを残していくのか。

青森つながりで、夏目と宗方が語り合う中、「落ち葉」が一つの
キーアイテムとして描かれ、最後に夏目の前に吹き荒れる秋風
の中で落ち葉がサラサラっと流れていくところがまた、色んな
意味で伝わるところが大きいところがまた意味深で興味深く
出来ていた。

夏目信人 …… 椎名桔平 (43歳、東池袋署刑事課強行犯係・新人)
福森誠一 …… 松重豊 (53歳、東池袋署刑事課強行犯係)
菊池大雅 …… 要潤 (35歳、東池袋署刑事課強行犯係・係長)
長峰亘 …… 北村有起哉 (43歳、警視庁捜査一課、「人を疑う」ことを信条)
安達涼子 …… 小野ゆり子 (27歳、東池袋署刑事課)
夏目美奈代 …… 吉田羊 (40歳・妻)
夏目絵美 …… 山田杏奈 (15歳、娘、10年前の通り魔で意識不明)
瀬戸公平 …… 中林大樹 (28歳、鑑識)
西晴彦 …… 吉家章人 (40歳、鑑識)
草野楓 …… 藤本泉 (20歳、大学生、ちょうちん料理・みみずく店員)
田辺久美子 …… 板谷由夏 (43歳、東政大人間科学部心理学科・カウンセラー)

山之内信吾 …… 窪田正孝 (14歳の時父と母を失う)
尾崎秋彦 …… 柏原収史 (夫、2002年に傷害事件)
尾崎悦子 …… 須藤理彩 (妻、妊婦)
宗方善 …… 平幹二朗 (70歳、昭和43年殺人、執筆活動)
ゲン …… 緋田康人 (情報屋)


遠山俊也、渡辺憲吉、松田沙紀、松澤傑、古川真司、市川清彦、高
井純子、山元隆弘、若山慎、嶋本勝博、松井茜、小泉彩、浅田駿、
林亜紀子、植木哲

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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