泣くな、はらちゃん
(2013年1月期・日テレ・土曜21時枠)

脚本 - 岡田惠和
演出 - 菅原伸太郎、狩山俊輔
チーフプロデューサー - 大平太
プロデュース - 河野英裕、小泉守、萩原真紀

http://www.ntv.co.jp/harachan/





第6話 家族になりましょ
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酒に酔ったまま海に転落した工場長の玉田は亡くなったものの、
越前さんが漫画の中で玉田を描いたことで生き続けることに
なる。漫画の世界ならば死ぬ事はないと思っていたはらちゃん
たちだが、ユキ姉によるとこの世界でも人が死ぬのに二つの
可能性が有るとの事だった。

人から無視される事は直接虐められる事よりも辛い事だとする
人も居れば、最高の離婚の主人公の光生のように自分だけ
の世界で生きたいものも居るという事で、なんとも人間は複雑な
生き物だなと思う所。

冒頭から居酒屋でおでんを食べながら会話するはらちゃんと
越前さん、そして百合子が合流する流れは、その空間を
漫画の中の世界感をそのまんまに現実の世界として再現したよう
なシーンでも有って、なかなか上手く構成されていた。

はらちゃんは自分の恋愛の事にかまけて、自分の事ばかりでこの
世界の事を考えていないとする漫画の世界の住民達の訴えであっ
たり、玉田が世界に来た事で、自分の存在感を奪っているとする
笑いおじさんの主張で有ったり、楽しい事はその分切ない事でも
あるとする辺りの百合子の主張だったり、このドラマの一話の
段階からユキ姉が毎回のように"殺し・殺され"的ネタをボディブ
ローのように放ち続けていた事が今になって、実を結んできた
感じがして、主張に箔を付けている感じがする。

玉田と笑いおじさんのキャラカブリネタは、現実の世界に於いても、
越前さんの弟とはらちゃんの間で馬鹿モノキャラで対決化していて、
自分こそが姉にとって、家族にとっての"馬鹿モノ"だとする辺り
の訴えが、他人を蹴落とすが為の嫉妬心として行動に表れていて、
何とも言えない上手さが有る。

良い人というだけではダメだとするはらちゃんや田中くんの悟り。

何故人が寄り添って生きているのかとする基本的な問いかけが
ドラマを複雑なものにしている。

私は越前さんを困らせたくないとして自分からノートを開いて
世界に戻る辺り映画「ターミネーター2」のアーノルド・シュワル
ツェネッガー演じるT-800型のロボットを思い出すシーンだ。
自分はこの世界に居てはいけない人物という事で、それに気がつ
いていくという所はとても切なく、その後の展開に於いても涙
必死なオチが有りそうな予感がプンプンしている。

漫画の中の世界感と現実の世界の繋がり方、影響の及ぼし方、
波及感がドラマの肝として面白く相互作用している。
前日に放送している信長のシェフでも、平成の世界から
来た人物というのが多数存在していて、過去の世界に影響を及
ぼしている物語である。明智光秀は平成の人ではないのかなどの
説が流れる中で、このドラマの中でも漫画の中の世界の人が
案外他にも紛れ込んでいて作り物のキャラクターとしてこの世に
存在している人が居たりするのではないかとの大胆な発想も
ある。

百合子とユキ姉が何らかの鍵を握っているのだろう。
案外この二人、姉妹だったりしてね。
それとも百合子自身が漫画の中から出て来た人物で、現実の
世界を創造している神だったりするのかな。

漫画「泣くな、はらちゃん」の世界
はらちゃん …… 長瀬智也
ユキ姉 …… 奥貫薫
マキヒロ …… 賀来賢人
あっくん …… 清水優
笑いおじさん …… 甲本雅裕

現実世界
越前さん …… 麻生久美子 (姉、漫画で現実逃避、"神様")
田中くん …… 丸山隆平 (ふはまる水産)
紺野清美 …… 忽那汐里 (ふはまる水産、"悪魔")
越前ひろし …… 菅田将暉 (弟)
長沼さん …… 稲川実代子 (ふはまる水産・ボス)
警官 …… 小松和重
玉田 …… 光石研 (ふはまる水産・工場長)
越前秀子 …… 白石加代子 (母)
矢口百合子 …… 薬師丸ひろ子 (ふはまる水産。パート長)

しのへけい子、よしのよしこ、松本愛莉

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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