相棒 season 13
(2014年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)、森下直(2)、金井寛(3)(5)(6)、徳永富彦(4)(11)
真野勝成(7)(10)、近藤俊明(8)、池上純哉(9)
監督・和泉聖治(1)(3)(7)(10)、池澤辰也(2)(9)、橋本一(4)(6)(11)
近藤一彦(5)、太田愛(8)

プロデュース・
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_13/





第11話 米沢守、最後の挨拶
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テレビではここ3件連続して発生している殺人事件について
報道する。中野区岸川駅の歩道橋から落下し殺害されたとされ
る3件目の事件を前にして、1件目に起きた安藤雅美殺害から
2週間が経過していることを告げる。
これは不可解な事件だった。
事件の最初の被害者は2週間前自宅の浴室で手首を切って
亡くなった安藤雅美(24歳)・看護師、2件目はホームレスの
男性・栗田幸(51歳)が多摩川の河川敷で遺体として発見され、
そして今回中野区で殺害された西原一郎(78歳)が三人目の
被害者だった。全く違う場所で発生した事件を連続殺人事件
として取り上げられるのは、現場から採取された第三者のDNA
が一致していたこと。そして現場には同じ銘柄のタバコの吸い
殻が落ちていたことが共通項として上げられていた。
しかし場所や時間はバラバラで犯人は神出鬼没だった。

そんな中犯人は鑑識課の米沢らしいとの知らせが耳に届く。
米沢は中薗や内村に呼び出されると、手を差し出されて長い
ことご苦労さんと声を掛けられる。謹慎中に退職届をしたためて
おけと言われる。
問題は米沢が鑑識の際に使用した綿棒が米沢のDNAが付着して
いたことで汚染されていたこと。つまり共通する第三者のDNA
は米沢のものだったのである。鑑識のミスで実在しない犯人を
追っていたこと。更に実はまだもう一件あるらしいが、三件目
の時点で一連のことが発覚した為に公表を控えたというものだ
った。

右京とカイトは米沢に連絡しても繋がらず直接マンションを
尋ねる。連絡しても応答がない為に管理人の内田圭一にマスター
キーを使って部屋を開けてもらう。すると米沢は酔いつぶれる
ようにして倒れていた。右京たちは呼んでも出てこないので
心配した事を告げると、全ては悪い夢で合って欲しいとして
寝ていたが現実のようだと語る。自分でも信じられないという
米沢はプロとしてやってきたこと。鑑識道具の鍵だって肌身離
さずもっているのだという。鑑識の仕事だけが唯一誇れること
だったとし今ではそれも無くなったと語る。

そんな米沢の元には、鑑識課の上司・長谷川健宣課長と
山崎総一郎係長がやってきて励ます。
米沢は当日風邪を引いていたがマスクをしていたこと。しかし
汚染された可能性に関してはなんとも言えず自分でもよく分か
らないと語る。熱で頭がボーっとしていた事を告げる。
右京はいつ間違いに気がついたのかを尋ねると三件目の鑑定の
結果、翌日に科捜研から綿棒が汚染されている可能性を指摘
されて同時に調査したところ、血液が浸潤していて変だという
ことになり調べることになったという。現場に落ちていたタバ
コの件はどうなるのかと問うが、指紋がついていないのは季節柄
手袋をしているし、吸い殻からDNAが検出されないのもフィルター
をつけていた可能性が高いと語る。
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連続事件が発生され、3件目の事件が発生したことでマスコミ
としても大きく取り上げていく。3件の事件に共通するのは
第三者のDNAが検出され、現場には同じ銘柄のタバコが落ちていた
こと。見た限りではどの案件も自殺にも思われるものだが、
そんな状況も有って殺人事件として扱って行く。
しかし警視庁内部では鑑識が使った綿棒が汚染されていたもの
ではないかとして、内々に調査していると、綿棒に付着していた
のは米沢のDNAだと判明する。彼は最近風邪を引いたままの状態
で現場に来ており、彼としてはマスクをしたり道具の扱いには
重々注意していたものの、何処かで証拠品を汚染させてしまった
のではないかとして問題視される。そしてついには米沢は辞職願
を出すまでに至るのだった。

ドラマとしては珍しく鑑識課の事情を描いたもの。
劇場版「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」の中で登場した
美人過ぎる鑑識・早乙女美穂再登場。

右京とカイトにとって仲間である鑑識・米沢が退席するがどうか
という面で興味深い流れが有った。米沢に対して、伊丹とか芹沢
辺りも微妙に協力してくれた感じだし、愛されていることが
分かるけど、一番ミスしてはいけない部署だということで
それが事実ながら避けようもない事実として存在していそうだ。

その辺の流れを七転八倒のようにして描き、最後の件はもしかする
と米沢のミスによる所で起きていたのではないかとする流れは
証明することが難しい分だけドラマとしては米沢退席に向けて
追い込まれていく様が最後まで息がつかせない状況として描かれた。

正直ドラマでは最初か最後の殺人事件を隠す為に別件の事件を起こ
して混乱させているのだろうなと思って見ていた。けど結局
全ての件で事件性はない事件だったのかな。

ドラマでは山崎と米沢の師弟関係が、「鑑識の仕事とは何か」という
ことを語り合う流れは悪くなかった。「たった一つの物証が人の善悪
を決め人の人生を変えて時に奪ってしまう事が有る」ということ。
痴漢で捕まった男が今回米沢を貶める為に執念を燃やしていたけど、
上述したように全ての事件が殺人など第三者が関与していなかった
ところを見ると、本当の所痴漢したのかどうかも怪しい感じ。
右京は人生をやり直す時間は有ったとして悪いのは自分自身だとして
いたけど、そもそも冤罪だったとしたならば、自分の人生を壊した
ものを許せる状況にはない気がする。まぁその場合冤罪に導いたと
する鑑識よりも被害を訴えた女性を恨みそうだけど・・。

一度調べた現場を再検証するというのは正直ナンセンスな流れが
有った気もするし、今更ゲソ痕とか取って何の意味があるのかと
思うところも有る。タバコの件でもかなり強引な流れが有り、
何の物証にも結局繋がって居ない。

米沢が誰かによってハメられたとしたならば、彼が鑑識だという
ことを知る人物だろうし、その手の事情に詳しくないと流石に
鑑識を欺くのは難しそうだ。

「あなたの不安が作った虚像だ」。
色んな意味で人は有りもしない虚像を作り挙げてしまう。

周りが築き上げた虚像によって鑑識の山崎もまた苦しめられる人物
だったけど、同じ日に見た「コールドケース」S5-17でも天才だと
された文筆家が期待された結果殺人を犯していくという物語が
有ったな。フジテレビで放送している「ゴーストライター」も
そんな期待や虚像によって押しつぶされそうになる人物像の物語だ。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査一課)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査一課)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)

内田圭一 …… 藤井宏之 (米山のマンションの管理人)
長谷川健宣 …… 大高洋夫 (鑑識課・課長)
山崎総一郎 …… 池田政典 (鑑識課・係長)
早乙女美穂 …… 奥田恵梨華 (鑑識課)

今村均、佐野美幸、千葉誠樹、ふたむら幸則、大島奈穂美
如月はるな、天ノ一



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