相棒 season 13
(2014年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)、森下直(2)、金井寛(3)(5)(6)、徳永富彦(4)(11)
真野勝成(7)(10)、近藤俊明(8)、池上純哉(9)、藤井清美(12)
監督・和泉聖治(1)(3)(7)(10)、池澤辰也(2)(9)、橋本一(4)(6)(11)(12)
近藤一彦(5)、太田愛(8)

プロデュース・
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_13/





第12話 学び舎
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世田谷区東大蔵・飛鳥橋公園内。
H27年1月19日(日)、公園内では若者たちが大騒ぎし、そこに
有ったゴミ箱のゴミを散乱させていく。
その影で少し公園より奥まったところで男性の遺体が有った。

すぐに警察が捜査をする。
米沢によると死亡は昨夜18時〜20時だという。頭部を鈍器で
殴られた形跡があるという。身元不明で凶器も現場にはなかった。
最近ホームレスが襲われていることを考えると、この事件も
類似事件かに思われた。地元の不良グループによる犯行。
捜査一課が調べている中、"散歩している"という右京とカイト
が現場入りする。米沢によると証拠は沢山の人が現場に居たとする
ゲソ痕だと語る。右京は被害者はホームレスではない事を語り、
手にはペンだこが出来ていること。著名な作家か大学の教授だろう
とのこと。また服には協和堂大学の校章が縫われているという。

村山によると昨夜は公園で大きな声が聞こえたとし不良達だ
という。カイトは協和堂大学に遺体を確認にいくと、被害者は
理学部・生物学科教授の池本正(52歳)だという。

協和堂大学で教授の助教を務める永田理恵子かせ話を聞くと、
教授は研究一筋の人だったという。公園で何をしていたのかと
問うと、虫の採取だろうとのこと。すごく熱中する人で、現在
マツノギョウレツケムシが日本で繁殖する可能性を研究して
いたという。欧州では歴史上何度も大発生しているもので、松林
を食い荒らして壊滅させる虫だという。それを聞いた右京は
氷河期でも生き延びたとされる虫だと語る。
また右京は「羅生門」の初版本があることを知り、永田に尋ねる
と、大学の図書館から借りたものだという。彼は借りてこいと
いうだけで読んでいるところを見た事がないという。彼は
「これが道しるべだ」と言っていたとし、「図書館で大発見をした」
と語っていたとのこと。

理事長の笹沼隆文から被害者について尋ねる。
すると誤解されやすい人で服装などにはあまり気を使わず、
学園のパンフレットを撮影する際にも、学生を集める為に何故
服を着替えなければならないと言っていたこと。学問よりも
経営を優先しているように見えることをすると、すぐにあの人
は噛み付いてきたという。資産運用についてもそうなのかと
問うと、2年前から投資会社に委託して大学の資産をファンド
運用しているという。2018年問題によって少子化の影響で
日本は18歳人口は急激に減少するのだという。池本は大学が
金儲けを始めたら終わりだと言っていたことを語る。「大発見」
だと言っていたことに心当たりはないかと尋ねるが知らないと
し、昔ながらの学生肌の人だったという。しかしテーマも分野も
バラバラの本を何故図書館に借りに行っていたのか。

そんな中、キャンパス内で騒ぎが起きる。
久我沢舞という少女が突然人が集まる中で服を脱ぎだしたのである。
しかし非常勤講師の吉野慶介はそれを止めていた。今の事は
ネットには決して投稿するなとし、無責任な行動だという。
彼女は文学部の生徒で目立ちたかっただけだという。
吉野はソーシャルコミュニケーション学を教えていた。
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公園で発見された頭部を撲殺遺体した男性の遺体。
身なりからしてホームレスかと思われたが、ペンダコがある
ことや校章から被害者は協和堂大学の教授・池本正だと分かる。
教授のオフィスや彼自身の大学での人柄などを尋ねていく中で、
学校では奇っ怪な行動を取る女生徒がいることが分かる。
目立ちたいだけの生徒かと思われたが、実はネットで写真を
拡散すると脅され奇っ怪な行動を起こしたことを語る。

テーマとしては分かりづらいけど、コミュニケーションに於ける痕跡
の違いを通して、新旧二つの時代のコミュニケーションを比較する
ものが有ったのかも知れない。

新しい学科の創設を企む教師と、古いタイプの学者肌の教授などが、
束になって一人の生徒の未来を摘もうとしているような感じに見える
中、大学として学校として、本来何の為に有るのか、そしてダレの為
にあるのかを問いかける形で描いていく。

ネタとしては相棒の役割を考えると時事性を盛り込むためにも
2018年問題をドラマに盛り込みたい意図は感じるところ。
少子化の影響を受けて入学する学生が減り、大学の多くが廃業に
追い込まれるであろう状況の中、上述したように、学校・学問とは
何かということを改めて抽出した格好だった。

リアルな人間関係が減る中でもネット社会では活発なコミュニ
ケーションの形がある。ネットを使った新しい犯罪の形も有る中
で、フラッシュモブなどを使ったカモフラージュ犯に似たような
流れとして今回も利用された格好だった。

ソーシャルコミュニケーション学など新しい学問の必要性も感じる
中、悲しいことに問題の多くは、新しい形の経営や新しい形の
コミュニケーションを使いこなせていない人としてのモラルや
未成熟さというものに繋がっている。

教授もまた面倒臭いことをしたもんだという感じで、伝えるべき
意図が女生徒に伝えられれば良かったのだけど、結果的に
不自然な形の殺人へと発展してしまった。

一枚の葉書の中に文学界の歴史をひっくり返すような事実が
有ったことには驚きだけど、古い伝達法の一つでも有る葉書が
残っていなければ、そういう事実の発見もなかった訳で、
なんとなく新しい文化と古い文化の良さと悪さの両面が出た
形だったね。デジタル社会に於ける痕跡の中にこのようなお宝
を発見することはあるのかな。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査一課)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査一課)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)

久我沢舞 …… 早織 (協和堂大学)
池本正 …… 長谷川公彦 (協和堂大学の教授)
中塚満男(ミツオ) …… 内田滋 (元株長者)
水田理恵子 …… 松坂早苗 (協和堂大学・准教授)
笹沼隆文 …… 伴大介 (協和堂大学・理事長)
吉野慶介 …… 中林大樹 (協和堂大学非常勤講師)

早織 長谷川公彦 内田滋 中林大樹



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