相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)





第1話 フランケンシュタインの告白〜塀の中の怪人!!無期限停職の右
京が今夜復帰!?新相棒の法務省キャリア官僚と挑む不可思議な事件


脚本/輿水泰弘 監督/和泉聖治
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西多摩刑務所では、荒木秀典受刑者がトイレでナイフを使って
胸を刺していた。担当官を呼ぶと刑務官の増渕万里は何事だと
してやってくる。非常ベルが鳴らされて、刑務官が集まるが、
胸の傷を見てこの受刑者も信者になったと語る。自傷行為で
懲罰房行きだとされる。
石井康孝医師は荒木の傷口を縫おうとするが暴れてなかなか
治療もままならなかった。

刑務所長の磐城賢三は、また自傷行為が起きたとする報告を
受ける。長尾朗は今年に入って三人目だとし、大谷真治は伝染
病のように広がっているという。元凶を取り除くべきだとして
受刑者で教祖的扱いを受けている梅津源平を何処かに移送すべ
きだという。心臓に持病があるのでいっそのこと死んでくれた
らと不謹慎な発言をするが・・

刑務官の田代伊久夫は、梅津源平の房の担当官だった。梅津が
相変わらず難しい本を読んでいるとして話しかけると、源氏物
語の写本だという。梅津は田代にタオルで体を拭いても良いか
尋ねると、本来ならば違反だが特別だぞと語る。梅津の胸にも
十字のような傷跡が有った。

「花の道」では右京からの手紙を読む月本。
ヨーロッパ一周にでも行っているのか。相変わらず暢気な人だ
と語る。しかしその頃右京はスコットランドヤードに協力して
犯人の検挙を手伝っていた。英国に永住でもしたらどうかと
現地の捜査官に言われ、右京は考えてみると語る。

一方右京不在の特命係は現在誰もいないハズだった。
しかしそこには冠城亘が座っていた。角田は長年の習慣故に
コーヒーを飲みにやってくる。冠城亘は法務省キャリアの官僚
で出向してきていた。

そんな中、作業中の受刑者の一人・美倉はトイレに行きたい
と言いだし席を立とうとする。その隙を突いて田代刑務官の
ことをナイフで刺して失血しを殺してしまう。
特別司法警察職員の藤森吾郎と井川茂は、大変な事態が発生
したとして、警察を呼んでくれというが、塀の中の事件は
我々が調書を取るべきではないすという。
いざ美倉に話をしようとするが、「警察官を呼んでくれ」
としてそれ以外は何も言わなかった。

法務省事務次官の日下部彌彦は刑務所にとって都合の悪い事を
話そうとしている人物がいることを語る。警察にしか話さない
と言っているので冠城亘も捜査に加わるよう告げる。

内村と中園は法務省の矯正局にいたことがある冠城がオブザー
バーとしてやってくると連絡を受ける。刑務所の事情には
詳しい人物だという。伊丹と芹沢はキャリア官僚出向の噂が
あると告げる。警察庁ならば分かるが、警視庁だというのが
引っかかるという芹沢。
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いよいよ始まりました相棒シーズン14。
やはり気になるのは右京の相棒となる人物が誰になるのか
という事と、特命係という部署が警視庁にとっては実力を
認めつつも煩わしい存在となっている為に、鶴の一声でその
部署がいつ無くなるとも分からない状況が、いつでもはらんで
いるところだろうか。
右京は元キャリア官僚で人脈も有るのだけど、徐々に右京を
かばうべき人物が警視庁内でも居なくなっている現状が有り、
相変わらず孤立してしまっているところがある。
右京にとっては上層部がどうなろうと気にしないのだろうけど、
存続を考えれば、特命係の存在が如何に重要なのかということ
を周知している人物が必要である。
都合良く存在している部署なので、色々と利用される
可能性があることもまた厄介で、右京の信念を曲げるような
事態を押しつけられるとなると、右京の性格からして組織の
論理の為に自分の正義感をねじ曲げられてまで固執するような
場所なのかというところにもつながる。
彼の能力が正当に評価される英国に移住してしまうことも考え
られるし、米沢との関係には後ろ髪を引かれつつも、やはり
辞めてしまうことも厭わない部分がありそうなことか。

さてシーズンの初回ということで相変わらず2時間スペシャル
と称して130分枠でドンと放映された相棒14。
この形式が定例化されているので仕方がないのだろうけど、
どうも初回は体が慣れていないことも有り、妙に長ったらしく
途中で集中力を欠くところも有った。特に舞台が刑務所。
元々重厚な映像であるけど、明るさ派手やかさには無縁のドラマ
故に、より地味に進行した感じのエピソードで、どれだけ興味
深い内容であっても、なかなか集中力が続かないところがある。
シナリオ自体は正直ある程度想像に難くはないし、顛末も
教誨師の流れを除いてはほぼ想定内で進行してしまう為に、
130分の長さはかなりの辛抱が必要だった。

刑事たちの論理の働かない刑務所故に捜査に於ける難航に
加えて、正体不明の冠城亘が、そんな場所でどれだけの力を
発揮できるのか見物でも有った。

冠城はシリアスな感じかと思ったけど、女性に殴られたシーン
辺りから急にテンションが変わった感じがする。
ただ彼の性格や日下部との関係の全てを一話で見通すことは
難しそうだった。

特別司法警察職員の二人と精通していたり、伊丹ら捜査一課
との辛みを見る限りは、右京よりも社交性に富んでいて、
右京の補佐役にもなるし、また人事関係での気むずかしい
一面は、この人の話術や立ち回りで上手く補って一つの形に
なるのだろうね。
ただ相変わらず相棒は時限的な存在とばかりに、冠城に突きつけ
られている選択肢をもってシーズン最後に決断を迫るであろう
伏線も有り、元々法務省が警視庁との間に何を求めているのか
というところも気になる。

さてシナリオでは、イマイチ説得力があるのかどうか分からな
かったけれど、刑務所内でまるで教祖とか信奉者、そして奇異
な存在である人物がいるところを見ると、警視庁内の右京と
比較して描かれていた感じにも思えるところ。

刑務所では幽霊が出たとするならば、警視庁には妖怪がいる
とばかりに伊丹が冠城に対して語る助言などを見ると、
右京に感化されない人物を作ろうとしていた感じにも思えるね。

刑務所では更正させるのが目的なのに、規律性を求める
という名目で刑務官の点数稼ぎやお山の大将的優越感を持つ
心のねじ曲がった刑務官によって牛耳られている姿を見ると、
どちらが囚人なのか分からなくなりそうなものが有った。
本来の更正とは何かということを解くべき教誨師からして、
既に感覚がおかしくなっていて、信じるものが居ない中で、
正論を語る囚人の中に正義を見いだし、不幸にもねじ曲げられて
いる情報・事実の連鎖によって復讐心をあおって最悪の結果に
なるところなど、地球上にいる限りは、大なり小なり何処でも
似たような論理で人間は生活しているところがあるんだろうなと
感じさせる。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

<西多摩刑務所>

増渕万里 …… 阿部丈二 (刑務官、点数稼ぎ、田代が煩わしい)
磐城賢三 …… 川島一平 (刑務所長)
長尾朗 …… 井川哲也 (刑務官)
大谷真治 …… 清水一彰 (刑務官)
石井康孝 …… 藤岡大樹 (矯正医務院)
荒木秀典 …… 川辺邦弘 (受刑者、田代の敵を取ろうとする)
田代伊久夫 …… 栩原楽人 (刑務官、囚人に優しい)
梅津源平 …… 井之上隆志 (受刑者、55歳、教祖的存在)
美倉成豪 …… 小柳心 (受刑者、隠れ梅津派、田代を刺す)
伊達宏 …… 花戸祐介 (刑務官、増渕が悪だと訴える)
藤森吾郎 …… 植村喜八郎 (特別司法警察職員)
井川茂 …… 森山栄治 (特別司法警察職員)
木村 ……
入来正次 …… 杉田吉平 (刑務官、動静小票を多発)
中嶋良行 …… 中田春介 (刑務官、磐城病欠後の対応)
坂崎保 …… 真田幹也 (刑務官)
慈光 …… 大和田獏 (教誨師)

スティーブン・アシュトン、アラン・ラック
高山範彦、土方鉄、片山謳歌、末吉康一郎、大賀太郎
川崎誠一郎、松尾由希、岩間天嗣、苗村大祐、鈴木康仁
庄司浩之、アンナ・ニルショワ、中野貴生、尾崎淳一

保科光志、鈴木啓太、駒走秀樹、黒川昌信、藤原新太
松田祐司、車武志、高橋嵩、金本洪太、山田拓実、桑畑智伺
宮久保武司、上西雄大、泊亭、石原有二、荒木秀行、猪星敦
菅野圭、大原清二、安田敦、大林剛、山本剛志、真砂豪
新鮮誠、大沢直樹、石川慎、正村徹



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