相棒14 (2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠) プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/ 第11話 共演者 脚本／坂上かつえ 監督／兼�ｱ涼介 -------------------------------------------------------- 富士の裾野で映画の撮影中のスタッフたち。ベテラン女優の桐島 万里子と主演女優の桜庭かなえが撮影中にケンカした為に、 映画監督の遠藤二三男が二人にセッティングしてホテルで逢う 機会を与えていた。メイク担当の新庄輝夫と万里子のマネージャー の小宮ユキは二人がロビーで会うのを柱の影から覗いていた。 そもそも監督がバカだとしてこうなることが分かっているのに キャスティングしたからだという2人。 かなえは撮影中万里子に対して 「後輩いじめしか能が無いならさっさと引退されたらどうか?」 と語り、それを受けて万里子は「この映画を下りる」として物別 れに終わっていたのである。 しかし目の前で二人はかなえが謝罪して万里子にワインを贈った ことで取りあえずは和解が成立していた。 かなえは新庄を呼ぶと、プレゼントがあるのでちょっと付き合 ってくれと語る。 万里子と仲直りが出来たのは形式上のことで私が折れたからだ と新庄に語る。 別荘に到着するとかなえの姉・恵子の車が駐まっていた。 またあなたの姉ちゃんは車を変えたのかとして女優よりも派手 なマネージャーなんて問題だという。しかしかなえは自分は金 に固執するものはないので別に良いと語る。 室内を探すと新庄は恵子がスカーフで首を絞められ、花瓶で頭 を殴られて床に倒れているのを発見する。 キャピタル法律事務所に右京はやってくる。 待っていたのは岡田弘志という弁護士で、冠城とは大学の同期だと いう。冠城もそこにいて彼は初めて殺人事件の弁護を引き受け 四苦八苦の状態なのだという。専門は民事なのに・・と告げると 岡田はオレは離婚訴訟の時からクライアントとは縁があるのだと いう。桜庭恵子さんの離婚訴訟の件で、離婚は3ヶ月前に成立して いた。夫・森山敏則側代理人を勤めていたという。クライアント の敏則は言いたいことを半分も言えない気弱な人とのこと。 彼は復縁を願っていたが恵子の方が完全拒否を貫いていたという。 かなえが静岡県御殿場で撮影中だと知って、そこにある別荘に 敏則は説得しに行こうとしたら、そこで恵子の遺体を発見した のだという。死亡推定時刻は5時半から6時半。敏則が別荘に行った 時間もちょうどその時間帯であったとのこと。右京は離婚の原因 はなんだったのかと問うと森山の浮気だという。行きつけのクラブ の酒の席で女に言い寄られて魔が差したのだという。二人の間 には6歳の娘・森山カレンがいるとのことで、叔母のかなえが心配 しているのだという。 特命係に戻ると冠城は右京に岡田に力を貸してくれないかとし、 事件に首を突っ込む義務も権利もないのは確かなので嫌ならば 断ってくれという。右京は撮影が再会されるというマスコミ報道を 見て撮影が富士の裾野だと知って捜査に首を突っ込むことになる。 撮影現場へ。 すると冠城の顔を気に入った新庄が近づいてきて色々と話しを してくれる。目の前で万里子とかなえが演技している姿。 万里子は昔の清純スターも65歳。ああいう役もやるようになった という。今日は平和な方だとして万里子もかなえの姉の死に気を遣 っているのだろうという。いつもはどうなのかと尋ねると、あの 二人は昔から確執があるとし、万里子の方がとにかくかなえの事が 嫌いなのだという。あの日早朝から撮影が有り夜型の万里子はとにかく 不機嫌で、かなえの演技にokを出した監督に対して、「あんな田舎 演技で良いのか、ろくな演技も出来ず人気だけでここまで来た女」 と発したことで、逆にかなえも反論し「嫌ならば下りてもらって 結構だと告げ、年取って売れなくなった女優ほど惨めなことは ないとし、後輩いじめしか能が無いなら引退されたら?」と発した ことで万里子は降板すると言い出したのだという。 しかしかなえの方が折れて万里子にホテルで頭を下げたことで 取りあえず撮影は再会されたとのこと。しかしその裏で恵子が 殺害されていたとはやりきれないという。新庄はあの遺体が発見 された時、かなえと一緒に別荘に向かったという。珍しく誕生日の プレゼントを用意していると言われたとのことだった。 -------------------------------------------------------- 映画撮影中、主演女優の桜庭かなえのマネージャーの桜庭恵子 が別荘で殺害されて発見される。恵子の元夫・森山敏則の弁護士 を勤めている岡田弘志は冠城とは同期の大手キャピタル法律事務所 に勤務しており、助けを求めてきたもの。敏則は人を殺せる タイプの人ではないということだが不運にも死亡推定時刻にその 別荘に足を踏み入れたが為に容疑者とされていた。 右京は冠城からの頼みで仕事を受けていくことになるが、協力した のには他にも理由が有った。 これまでの相棒にはないテイストの演出で、なかなか斬新に思えた。 そろそろ相棒のスタッフ自体もある程度一新して新しい風を吹き込む 必要性があるということが今回のエピソードでハッキリした様にも 思える。 芸能界に於けるスキャンダルをネタにした流れ。 スキャンダルを利用した数々の戦略を見ると、まさに現実に起きて いてもおかしくないものがありそうでなかなかのリアルさもはらんで いる。 各々のキャラクターがこれまでの堅苦しいイメージから脱して ちょっぴりコメディチックな性格を引き出したところも良かった。 右京は万里子世代、伊丹はかなえ世代の側として互いに無実を信じて 動いていた感じだけど、結果的には共犯だったこと。しかしその中に は私生活に於いても、芸能界に於ける演技対決が加味されて、自分の 人生そのものを壊された女性は、あるものを利用して復讐を果たし、 尚かつ敷かれたレールの前にあるものたちを悉く破壊していくという 頭の切れる役所は、親を失い生きる上で必要ななにかということを 何処かで学んでいて、人生そのものが演技だと言わんばかりの壮絶さ を感じさせる。 インタビュー記事に隠されたかなえの中にくすぶり続けていた 不満の種。右京たちにとって苦手分野であろう芸能分野に於いても 上手いこと補う形で色々と示唆してくれるものがあり、桜庭家の姉と 妹の関係など万里子の口から事情を聞いたりするところも興味深かった けど、「かなえは姉が作った作品」だとして、その作品を守るために 自らのエゴをむき出しにして、妹の為のレールを守る為に、妹に 近づくものたちを悉く蹴散らしていたところなど、姉妹して凄い 強烈なキャラクターだったんだなと思う。 アリバイのトリックなどがメインとなっていて、ドラマの定番だけど 一番納得感・満足感を得られるのがこれらを使ったトリックの解明だ ったりするので、とても楽しいものでした。まさか水と油の様に 存在している女優同士が共闘しているとは思わないだろうしね。 そして過去に於ける男女関係のいざこざも全ては姉が仕組んでいた ことを考えると相当なソシオパスのような感じにも思える。 ただ万里子がかなえを憎む理由は分からなかったけど、姉が妹の件 や夫との別れを意図的に"別れさせ屋"を使って破棄させた流れなど は、事実を知る前に想像出来るところは有った。 伊丹が所轄の刑事に捕まるくだりとか、思わず携帯に向かって 「生の・・」という際に芹沢に聞かれていたりするところなど、 伊丹のばつの悪さというのも面白かった。 禁断の台詞じゃないけど伊丹が所轄に捕まった際に、自分の役職を 「警視庁捜査七課・・」と語ったのは日テレのドラマを意識していたのだ ろうか。 富士の裾野というロケーション故にロケの景観は申し分なく、 「誓いの鐘」の前での冠城が右京に呼びかけるリアクション は、反町さん節が出ていて面白かった。 余談だけどオフィシャルHPみると、まだ来週(12話)のドラマのタイトルが 付いていないのね。こういうのってドラマ制作後にタイトルをつける ものなのですかね。 杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係) 冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚) 月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里") 伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員) 芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩) 米沢守 …… 六角精児 (鑑識課) 角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課) 大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部) 小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部) 内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長) 中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官) 大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長) 甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監) 日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官) 桜庭かなえ …… 高橋かおり (主演女優) 桜庭恵子 …… 白土直子 (かなえの姉、マネージャー、被害者) 桐島万里子 …… 多岐川裕美 (ベテラン女優) 森山敏則 …… 祖父江進 (恵子の元夫) 森山カレン …… 武井美優 (恵子の娘・6歳) 岡田弘志 …… 田中壮太郎 (キャピタル法律事務所・弁護士) 新庄輝夫 …… 岸博之 (映画、メイク担当) 川村美樹 …… 浜崎茜 (500万で嘘をついたホステス、船橋で経営) 水野良枝だ …… 安田亜矢 (お手伝い) 遠藤二三男 …… 橋沢進一 (映画監督) 林貴一 …… 植田真介 (御殿場の所轄刑事・メガネ) 中沢和男 …… 二反田雅澄 (御殿場の所轄刑事) 小宮ユキ …… 岡部恭子 (万里子のマネージャー) 池内晋 …… 小沢日出晴 (ホテルのスタッフ・駐車場) 原田七海 …… 中田絢千 (清純派女優、万里子の遠い親戚・実は親子)