相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第13話 伊丹刑事の失職

脚本/金井寛 監督/東伸児
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2015年12月22日(火)。加納美咲(29歳)が5階のアパートマンシ
ョンから転落死する。米沢は死因は転落時に於ける脳挫傷で
あり、死因は午前24時から26時だという。朝4時に住民の一人が
バイクで帰宅した時に遺体を発見したというもの。
そんな中、美咲の元に峰岸圭一という男性がやってくる。美咲
はウチの会社(旅行会社・ラックスツアーズ)の元社員だったと
のことだった。夕べ遅くに彼女から突然メールが来たこと。
伊丹たちはその内容を見ると24時11分にメールが届いており
「生きる意味が分からなくなりました。さようなら。」という
遺書とも取れる内容だということが分かる。半年前に会社を辞め
てから連絡は取っていないという。
玄関には内側から鍵とロックがして有ったこと。特に争った形跡は
なく遺書のメールから考えても自殺だろうと。まだ若いのに、何で
自ら自殺なんて・・と伊丹は呟く。

1ヶ月後。
角田は特命係にやってくると、スクープ記事が掲載された日刊プレ
ス紙を持ってくる。「殺人犯の手記を入手、飛び降り自殺の女性
は実は殺人だった」というものだった。内容には私が彼女を殺した
という内容で、現在伊丹がピンチらしいと語る。自殺を判断したのは
伊丹だという。
その伊丹は中園、そして内村のオフィスに呼び出されていた。
警察のメンツが丸つぶれだとして激怒される。警察関係者以外知り得
ない遺書の内容、そして現場の状況が正確に書かれているもので、
疑いようもなく犯人しか知り得ないものだった。お前の判断ミスだ
と言われ、現在遺体は焼かれて物証も消えているのにどうするのか
という。内村は伊丹に対して捜査一課になって何年かと問うと、そろ
そろ他の部署の空気を吸った方が良いかもしれないとして、
免許センターの教官などどうかという。それを聞いた伊丹は、
必ず犯人を捕まえるのでチャンスが欲しいと語る。

右京は掲載された手記の全文を読む。
今になり良心の呵責から犯行を自供したが、私には年老いた母
がいるのでせめてもの謝罪の意味で手記を書かせて頂いたと
書かれていた。

確かに遺書の内容は公表されていないという。米沢は被害者の
部屋を鑑識したが見た限りでは自殺判断でも仕方がないという。

美咲が住んでいたアパートを尋ねる右京と冠城。
荷物はまだそのままの状態になっていた。冠城はすぐに高級バッグ
に目に入る。このバッグは高級なのでなかなか買えるものではないと
し、誰かからのプレゼントかも知れないと。手記に書かれていたように
犯人はベランダを逃走ルートにしていたが、確かに隣のビルに飛び移れ
そうなものだった。

日刊プレス社に話を聞きに行く。
対応に出たのは記者の今井将司と編集長の柏田隆弘だった。
どのようにしてこの手記が本物だと見極めたのかを尋ねると、今井
は知り合いの警察関係者にそれとなく文章を見せたところ、その反応
を見て真実だと確信したという。柏田は手記は一週間前に届いたもの
で、北海道から出張に戻ったら犯人からの手紙を受け取り、現物を
提出してくれと返事したという。情報源は証せないとのこと。殺人の
情報に手がかりだとして、伊丹は提出を求めるが、秘匿は我々の権利
であり義務だという。確かに取材源を明かせば協力してもらえなくなる
というのも事実だった。冠城は警察が強制的に提出を求めることが出来る
のは、その証拠が無ければ犯人逮捕が出来ない場合のみだと語る。
そんな中右京はある矛盾点に気がつく。
ボードを見ると編集長の出張は1月4日から7日までであり、出張から
帰ったのは2週間前だという。2週間前にも何か手紙などを受け取り
やりとりしているのではないかと。編集長は勘違いだとして話を聞こう
とせず、忙しいのが買えるよう告げると、伊丹はもみ合いの末、軽く
突き飛ばしてしまう。そのことが更に伊丹の立場を悪い物にしていく。
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カイトと同じくジャーナリストとしての正義感が犯罪者を裁く
側の人間となってしまうことへの警鐘を鳴らしたもの。
真実を暴くというのは決して悪い事ではなく、寧ろ賞賛すべきこと
だけど、その過程で自己保身のために紙面を利用して事実を
ねじ曲げ工作するという、かなり倫理観的に狂ってしまった凶悪な
案件のように思われる。この人が例え今回の件で犯罪を犯さなくとも
このままマスコミとして働いている限り、自分の正義の名の下で
徐々にエスカレートしていくところも有るんだろうね。

ここの所伊丹さんを持ち上げたり、持ち下げたりしているところが
有るけど、内村からは免許センターも良いんじゃないかということ
を聞いて、長いこと相棒を見て来た人に取っては、相棒・亀山くんを
思い出させたのではないか。

右京と伊丹の微妙な関係を時々こうして互いに認め合い助け合うが、
やっぱりある程度の距離感を持って接していくという辺りが、この
関係の楽しさであり、付かず離れずというところがまた良い味を
出している。

逆に伊丹と中園・内村側の関係の方が心配なところがあり、「何年
一課で働いたのか?」と問うと内村の姿が有ったけど、寧ろあんたと
伊丹の関係は何年なのかと小一時間で、そろそろ部下への飴の部分
を見せてもよかろうに・・という感じにも思える。

編集長の流れは如何にもミスリードの牽引役だと思っていたので
ただ憎たらしい人物だと思っていたけど、右京が日刊プレス社内で
デスクの上の何に着眼点を持って見て居たのかなと思ってずっと
考えながら見ていた。カメラの修理の領収書だと判明。

また冒頭からメールの内容が2015年12年だったので、なんでそんなに
現実世界の流れとの整合性・連動が図れていないのかなと思ったけど
一気に一ヶ月後という流れがあるのを知り納得。

右京さんもドラマとして勘違いしているところが有り、元々大庭泰三
は犯人を暴いて欲しいとは思っていたけれど、殺して欲しいとか復讐
して欲しいとは思っていなかったのではないかということ。
今井があの場面で詐欺師の女の部屋に下手に訪れたことが問題だった
と思うし、大事な商売道具であるカメラを相手に一時でも手渡すもの
かなと思う所もある。しかも最近のカメラは壊れても証拠はメモリカード
に入っているので別に慌てる必要も無いと思われ・・・

現場では争った形跡はないとしていたけれどしっかりと争った結果、
殺意無き殺人へと発展したケースであり、ベランダから落ちる過程
で必ずベランダの縁に被害者はぶつかった跡があるはずなので、
やはり争った跡はないとする米沢の見立てがそもそも間違っていた
様に思う。そして人が5階からアスファルトに落下した時の衝突音を
考えれば、深夜24時とはいえ、落下を耳にしている人は多いはずだ。

今の日本の犯罪は精巧になっており、昔から高学歴とか高収入
の人物名簿で出回っていたけれど、旅行会社が犯罪へと発展さ
せる為の撒き餌としての役割を担っていたというところはかなり
怖いところだね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

柏田隆弘 …… 野仲イサオ (日刊プレス・編集長)
今井将司 …… 大場泰正 (日刊プレス・記者)
加納美咲 …… 田中えみ (ラックスツアーズ」元社員、転落死)
峰岸圭一 …… 志村東吾 (ラックスツアーズ」社長)
大庭泰三 …… 丹羽貞仁 (宮子の息子、オオバ水道)
大庭宮子 …… 松風はる美 (2千万詐欺にあった)

山川竜也、、浅地直樹、佐古井隆之、広瀬満、佐波加奈子



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