相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第14話 スポットライト

脚本/宮村優子 監督/内片輝
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出囃子が鳴ると桑島伝と原田幸助(コースケ)のコンビ、
"でんすけ"が舞台に上がる。

5日前。
伊丹ら一課は殺人事件現場に来ていた。状況から見て被害者は
車に乗り込もうとして鈍器で襲われ逃げたところを刃物で一突
きされたのだろうという。米沢は財布・スマホ・名刺などは
ないという。芹沢は車のナンバーから身元が判明したとして
被害者は式田芳彦(44歳)、蘭の栽培を手がける「オルテギ」と
いう会社の経営者だという。
オルテギ従業員の水島敦の元にも事件の知らせが入る。

米沢は右京に対して死亡推定時刻は午前24時から2時の間で
凶器は現場には無かったと報告。腹部を刺された割りには血痕
が少ないことに疑問を持つ。冠城は犯行現場は別にあるのかと問う。
米沢は右京をちょっと来て欲しいと呼び出すと、倉庫の裏に
何かの跡と壁に落書きがある。何か新手の宗教なのかという冠城
だが右京は「これはアレです」と語る。

被害者の元妻・式田リオから話を聞く。
彼とはもう何年も顔を合わせていないとし、彼とは別に私も会社経営
をしているのだという。総合美容サロン。夫の方は4年前から
オルテギの近くに有るマンションに園芸家の女と暮らしていたとの
こと。その人物は谷志桜里だった。リオによると事業の関係で
籍はそのままだが最近の彼のことは知らないという。昨夜は
新店舗の準備で帰宅したのは午後23時だが、証明出来る家族は
居ないという。

右京たちは劇場"下北ビッグ"に来ていた。
リッパーズ(正樹、慎也)が舞台に上がっていた。
右京によるとあの倉庫街でネタ合わせをしているコンビならば
夕べのことを何か覚えていないかとして尋ねる。
劇場のマネージャーの桧山は伝に対して激怒していた。
コースケだけは舞台に居させること。あいつにはギャグがあり
先輩たちもいじり甲斐があるのだという。コースケの借金くらい
お前が働けという。リッパーズは仕事を終えて次の現場に向かう
歳に伝に対して、連絡ならばもう少し早くして欲しいとし朝イチ
の知らせは辛いと語る。コースケが来なかった為に変わりの穴
を後輩のリッパーズに頼んでいたのだった。

出待ちしているファンたちが多い中で、伝のことを待っていた
のは鈴木美里という女性だけだった。右京は伝の元に行くと、
屋台のおでんやから聞いたが事件現場の倉庫街でよくネタ合わせ
をしていることを聞いたという。美里は右京に対して"右側には
立たないで!"と告げる。美里はノルマをさばかないとまた持ち
出しになるとして彼女もチケットを協力して売っていた。
右京は夕べ倉庫街で殺人が有った事を告げ、何か気がついた
ことはないかと尋ねる。夕べはコースケがやる気がないように
だれていたので練習はすぐにやめにしたのだという。

コースケの家を調べる。
アイツは借金で電気が止められているという伝。
そこにはなんと伊丹もまたやってくる。コースケを探しにやってきた
伊丹たち。芹沢によると芳彦殺害の凶器から指紋が出たが、
この部屋に住む原田幸助の指紋がナイフから検出されたのだという。
彼には窃盗でマエが有ったとすると、伝に対してコースケに電話
するよう告げる。もみ合っている内に逆にコースケの方から電話が
鳴ると伝が電話に出る。伝はコースケに何処に居るのかと問うと警察
が探しに来ている事を語る。
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脚本家は宮村優子さん。
「エヴァンゲリオン」好きな人には、ああっみやむーですねって感じ
だし、ゴシップ好きな人には、ああっAV出演したって
一時期騒がれた人ねってかんじですが、全くの別人さん。
キャリアを見ると長年NHKでの仕事・脚本が多い方ですね。

個人的にはあまり面白みを感じないシナリオだったかな。

テーマは「夢」だったのでしょうか。
それが叶う人、叶わない人、夢を掴むために自己を犠牲にする人、
自己を犠牲にして相手に尽くした結果、あとになって恨むことになる人。
そんな複雑な思いや人物が登場・交錯しつつ、人と人との接点が偶然にも
合致して捜査を混乱させるというエピソードだった。

小さな劇場で活動する売れないお笑いコンビ。
如何にもミスリードを誘うに値する桑島伝という人物。
お笑いとはどんなものなのか、コンビとはどんなものなのかという
ことを示す流れが有り、末端の芸人さんの苦労が垣間見られるけれど、
そんな人たちを応援する人も居れば、自分のお笑いとしてのスキルに
限界を感じて自己犠牲の下で、相方をスターダムにのし上げ、自らは
身を引く覚悟でいる。

興味深い流れとしては、そんな相方の気持ちをコースケという人物
は何処まで理解していたのかというところかな。
コースケという人物があまり肩入れしたくなるような人物像では
なく、遅刻・借金をして自己管理も行き届いていない人物だったこと。
しかし皮肉にもお笑いとしての資質とはきっちりとした性格をして
いるから備わっているというものでもなく、寧ろそうしたアバウトさ
を兼ね備える人物の方がより持ち合わせているケースも多い事。

ギャグを使った漫才ではなくトークを主としたお笑いを目指したい
とする主張は今のテレビ業界に於けるお笑いの人たちの構図を象徴して
いるようにも思えるところだけど、今の売れているお笑いの人たちは
一部の人を除いてどんな振られ方をしても上手くお笑いとしての
返し方をするところがあり、ギャグやリアクションでの芸人は対して
寿命が長くないことも有るので、本質的にはお笑いを理解している
のは桑島伝の方だったのだろう。

正直犯人のリオが事業に失敗でもしていればまだ殺す動機も分かる
のだけど、これだけ事業が成功していると正直そんな行動に出る
かなと思う所もあった。

そもそもの着眼点はハサミではなくナイフを使った殺害だったという
こと。ハサミと言っても千差万別で、自分が目指したアイテムを
神聖化するなら分かるのだけど、髪の毛を見ハサミと花を切る剪定ば
さみとではまるで用途が違いすぎて、理由付けとしては相当弱い。

爪跡にひっかけたラストの語りも如何にも示唆しすぎるところが
多くて少々興ざめするところがあった。

このドラマが「相棒」というタイトルからすると今回の「相方」とは
似たようなテーマ性があり、右京と冠城、伊丹と芹沢と言った相方の
方に寧ろ視点を持ってシナリオの流れと連動させるべきだったと思う。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

式田芳彦 …… 木川淳一 (44歳、蘭栽培会社「オルキデ」経営者)
式田リオ …… 小林麻子 (総合美容サロン経営者)
谷志桜里 …… 荻野友里 (芳彦の内縁の妻)
原田幸助(コースケ) …… 駒木根隆介 (漫才コンビ「でんすけ」、運送業者"あおい運送")
桑島伝 …… 渋谷謙人 (「でんすけ」、運送業者"あおい運送")
鈴木美里 …… 小川夏鈴 (保育士、「でんすけ」ファン)
桧山 …… 藤原邦章 (下北ビッグ)
正樹 …… ハードパンチャー妹尾 (「リッパーズ」・メガネ)
慎也 …… ピンボケたろう (「リッパーズ」、伝らの後輩)
永島敦 …… 小林裕之 (蘭栽培会社「オルキデ」)

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