相棒15
(2016年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第7話 フェイク

脚本/徳永富彦 監督/権野元
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赤沢公園の森の中で管理人が見つけた男児の遺体。
高木美奈子に息子の翔太くんかどうかの確認に来てもらう芹沢。
美奈子は間違い無いとして涙する。
同時に誘拐された翔太の同級生の広斗の遺体かどうかの確認
の為にやってくる中山有里と中山良人。美奈子に対してどうだ
ったかと問うと、本当に自分の子じゃなくて良かったと思って
いるんでしょと語り、どうして翔太が・・・と涙する。

中園は遺体は翔太だったとしてみだ見つかって居ない広斗くん
の安否が懸念される事を語る。結城守も一刻も早い人質の奪還
をしろと部下たちに告げる。右京は青木が冠城に事件情報を
知らせるなんてと驚く。僕らも捜査に潜り込めば良いという
冠城。

伊丹は美奈子に対して翔太が亡くなる前に握っていたものだと
して世田谷西署から出て行く彼女にオモチャを返却する。
伊丹と芹沢は右京たちが来た事を知ると、頼みたいとして、
遺体で発見された子の親を自宅まで送ってあげ欲しいとのこと。
冠城に送ってもらうという。右京は西署に入っていくとトイレ
を借りに来たと語る。

右京は捜査本部に居る青木の元にいく。しかし参事官が右京を
すぐに追い払おうとする為に、青木は起点を効かせて右京に
届けてもらったものが有るとして誤魔化す。参事官の自尊心を
傷つけないように難しい話をする。
青木は右京に現状を説明する。誘拐されたのは砧北小学校5年
生り中山広斗と高木翔太。昨日いつも通り午後4時に下校した
ハズが夜になっても帰宅せず連絡も取れないことで夜の8時に
所轄に連絡してきたもの。広斗からの電話が入り、警察に
知らせたら殺すと要求が有り額は3億円。広斗の母は宝飾店の
輸入会社をしているので用意出来ると思ったのだろうと。
10時間後の6時に翔太の遺体が発見されたという。
青木は脅迫電話の発信基地局の特定の応援と監視カメラの画像
解析を頼まれたという。右京は冠城に知らせた理由は何かと
尋ねるが・・・そこに雑用の仕事をしている保田里佳子が
やってきて延長タップなどの用意をしてもらう。

冠城は美奈子の家の近くまで車で送ると彼女はアパートに戻る。
気になる冠城は美奈子の家の外まで付いていくと中から声が
聞こえる。「すぐにご飯にするね」と。冠城は右京に電話
すると高木は2人暮らしなのかと問い家の中に誰かいるみたい
だという。

そんな中広斗の携帯から入電が有り捜査本部は慌ただしくなる。
「金は用意出来たか? 千代田区水道橋3-12-5にコインロッカー
がある。明日の午後4時までにロッカーに金を入れろとし15番
だという。キーはロッカーの上に有ると。持ってくるのは女一人
で発信器を仕掛けたら殺す」と。
逆探知によると川崎の発信局でカバーエリアは高津区久地5丁目
から6丁目だという。多摩川の向こう側・・神奈川県警にも協力
要請をするよう告げる。

冠城は高木の家へ行くが不在。
隣人で105号室の佐藤から話を聞く。家の中に誰か居ますかと
問うとさっきまで話し声が聞こえたという。
吉岡琢磨は受け渡し場所の地図を広げると、車で来るには
あさひ通りか小梅通りを必ず通らなければならないこと。
その頃右京は角田に美奈子の身元を調べてもらっていた。
前歴はないが借金がある。取り立て屋に脅されて降板に連絡
しているので闇金に借りたのだろう。遺体は間違いになく
翔太ですよね?部屋に居るのが広斗だったりして・・と語る。
右京はコインロッカー近くのニュープラザマンションが
都合良く整備点検しているのを知り、現場を調べていく。
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ドラマでは視聴者の多くが感じていたであろう男児の遺体が
本当に美奈子の息子の遺体なのかという流れから始まる。
翔太が亡くなったのではなく広斗が既に亡くなっているのでは
ないか。視覚的な情報の方が耳から入る伝聞的な情報よりも
よりダイレクトに信用出来るものとして伝わってくるので、
幻覚とはいえ視覚的に一度は見せた少年の映像によって視聴者
はダマされて、意図したものによってその情報がすり替えられて
偽の情報が広まっているのではないかと思う作り。

そしてこのドラマが秀逸になったのは美奈子という人物を上手い
ことミスリードの流れとして荷担させていることだと思う。
最後までこの人の容疑の疑いは晴れなかったけど、実際に見ると
公衆電話で嘘の電話をかけたくらい。

最近は携帯電話をアリバイとし利用することが多い様にメール
を見ただけでは、その人本人が送ったものなのかどうかは
分からないものがある。

今回は冒頭では捜査官が内通者の存在によって振り回されるけ
れど、最終的にはそんな情報の信憑性の隙を突いて上手く
相手の犯人を引っかけるという作戦が展開された。

「事件は会議室で起きているのではなく現場で起きている」
ということで、現場を直接確認した右京が逃走経路を確認し
地図を広げているものを一蹴する流れが有ったし、壁越しに
聞こえる話し声が全て本当のものであるかは実際に確認しない
限りは分からないものがある。

盗撮によって得る情報は大きいのだろうし、内通者によって
もたらされる情報によって犯人にとってはイニチアチブを
握っているつもりでも、逆に犯人にとってもそれを逆手に
利用されるリスクというのは存在する。

そういう意味で駆け引きの面白いドラマだったけど、日本に
於いてはやはり誘拐事件は金の受け渡しがある限りは、どんな
に手が込んでいても成立しない犯罪だなと感じさせた。
この辺のシナリオトリックは作者も色々と今後考える必要が有りそう
だな。

一度ならず二度までも内通者がいて、それが誘拐された被害者
の父親だったり、警察署内に内通者がいるとされる中、
右京のさじ加減で上手く情報の流れを制限して犯人捜しを
行う。

被害者が心を守る為に現実とは違う世界を作り上げる世界観と
比較するような形で、インターネットとか電話勧誘など相手の
分からない人物との繋がりを描いて見せたけど、顔の見えない
相手ほど怖いものはないというところなのか。

今回の美奈子は、フジテレビの「メディカルチーム レディ・
ダ・ヴィンチの診断」の主人公みたいだね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)

高木翔太 …… 黒澤宏貴 (世田谷西署の管轄内で誘拐事件)
高木美奈子 …… 安達祐実 (翔太の母、シングルマザーでパート勤務)
中山広斗 …… 寺内勇貴 (息子)
中山有里 …… 木下あゆ美 (広斗の母。宝石商)
中山良人 …… にわつとむ (有里の夫)
吉岡琢磨 …… 坂田雅彦 (世田谷西署捜査本部の捜査官・ハゲ)
結城守 …… 平井真軌 (世田谷西署捜査本部の捜査官)
保田里佳子 …… 小出ミカ (世田谷西署・雑務)
恵南保 / 西田正夫 …… 「・ジョンミョン (誘拐犯、3年前まで警官)
佐藤 …… 片岡富枝 (美奈子の隣家)

千葉誠樹、宮崎敏行、新虎幸明
石塚良博、田口寛子、尾崎舞、小林郁子、寺内勇貴、柴崎真人
大平隆行、群馬茂平



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