ありがとう、オカン

脚本/金子ありさ


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大阪・西成の高校。
おかん・西田華子はこの日、二人の卒業生を祝うため卒業式へ
と出掛ける。里子である葉山虎太郎と高村幸也。
卒業生代表で答辞を読む虎太郎に周りの目も気にせず声援を
送るおかん。一方高村幸也は屋上で寝そべっていた。
華子は事情があって親とは暮らせない子供たちを預かっては
成人するまで育てる"里親制度"に登録。これまで30人以上
育ててきた実績がある。
この日卒業を機に虎太郎と幸也は華子の元を離れて一人暮らし
することになっていた。
そんな西田家に児童相談所職員の長谷川照雄と永坂万梨子が
やってくる。父親が金銭トラブルで刺されてしまった入江敦史
の里親を頼みに来たのである。
知らない大人に囲まれ不安な敦史は冷蔵庫の食事を暴飲暴食し
時に皿を投げ割ったりする。
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幼い頃片親の下で育った華子は近所の大人達から良くされて
育ってきた経緯がある。今度は恩返しとばかりに子供たちを
育てる手助けをする、そんな彼女と子供達の関係を描いた話。

流石にこれだけ人物が登場すると、一つ一つのエピソードが
希薄になるのは致し方ないことか。
ドラマとしては意外と知られていない"里親制度"の紹介も
兼ねて構成されたような内容。特に18歳までしか育てられない
としたり、実の親が現れれば何時でも子供を戻さなければ
ならないといったところは、養子縁組とは違うところだ。

町工場を営む華子。
次第にコスト削減の波にさらされ、仕事を失っていきついには
廃業に追い込まれる。経営状況が厳しい上に、里子たちの面倒
を見て、しかも中にはへそ曲がりの子供達がいるという二重苦
を味わい、ついには決断を強いられることになる。

最後は里子達が助けに来るとまた違った印象になるのかなと
思ったけど、意外と身近なところでしかドラマが回っていない
感じの内容だったかな。

本当の親子でさえ子育てとは難しいモノ。最初から傷を背負っ
ている子供達を育てることの難しさだったり、おかん持ち前の
明るさによって子供達の傷を癒していく様子が描かれていたり
とにかく色んな要素が満載だった。

途中で工場の金を誰が盗んでいるのかで信頼関係を揺るがし
そうになる事態に陥ったり、将来に対する見解の違いで、
里親と里子の立場の違いが顕著に表れるシーンが有る。
この辺の要素がメインとなるべきがドラマとして弱い事に
よって、全体的にぼやけてしまった印象がある。

最後に里子達が自分の子供を持つことによって、里親の苦労
などが実感として伝わっていくとまた面白いドラマになりそう
だが、子供が産まれた時点でドラマは終わってしまう。

一番良かった点は、親子関係の中に実の娘と里子の二つの
親子関係を盛り込んでいる点か。実の娘が本来あるべき幸せ
を里子によって奪われていると訴えるシーンが有るけれど、
この辺も連続ドラマならば実感できるモノだったのだろうな。
有る意味おかんの思惑に一番振り回されているのは、この実の
娘だからね。

西田華子 ……… 大竹しのぶ (名物おかん)
紀世子 ……… 戸田恵梨香 (実娘)
葉山虎太郎 ……… 村上信五 (里子)
高村幸也 ……… 渋谷すばる (里子)
庄内 ……… 六平直政 (従業員)
駒沢 ……… 吉沢悠 (従業員)
長谷川照雄 ……… 大杉漣 (児童相談所職員)
永坂万梨子 ……… 石田ゆり子 (児童相談所職員)
入江敦史 ……… 加藤精史郎 (里子)
井手 ……… 井之上チャル (レストラン先輩)
朋美 ……… 山下容莉枝 (虎太郎の実母)
岩井のぞみ ……… 中村ゆり (幸也の妻)

辻本茂雄、金山一彦、ナカヤマダイゴロー、小日向文世
大原光太郎、前田莉緒、吉川史樹、三田村陽斗、鈴木美恵
藤本静、白井哲也、辻内将人、藤堂えり、中本紀衣、森村玲
前田真紀、岡大介、杉山陽子、森下じんせい、榎園実穂
一木美貴子、や乃えいじ、中丸裕司、Fジャパン、植田紗帆
後藤凪彩、加藤慧、ヤナギ谷準希、楠見薫

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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