スペシャルドラマHERO特別編 「美しい海の町の怪事件に伝説の検事が挑む」 脚本／福田靖 監督／沢田鎌作 【連ドラ版HERO】 【劇場版HERO】

--------------------------------------------------------
海が綺麗で有名な山口県虹ヶ浦。
事件らしい事件もないのどかな町。犯罪といえばこそ泥くらい。
町の産業の多くを鴨井産業
が担っており、町人の半分はこの企業に関わっているという町
である。そんな町で11年ぶりに殺人事件が起こる。
殺されたのは三ノ宮隆史。容疑者として捕らえられたのは、
鴨井産業の専務・滝田明彦。明彦は町の住民から慕われている
事もあって、検事が起訴しようとしていることに町ぐるみで
反対する姿勢を示す。
--------------------------------------------------------

2001年の一月期に放送されていたHEROの特別版(2006年7月3日
に放送)。その再放送が行われていたので今回見てみた。

連ドラからの繋ぎだと、東京地検城西支部から石垣島支部に
飛ばされた訳だが、北海道に赴任し今回山口支部へと配属され
る。時としては五年もの時間が経過したという設定だ。

一番最後の数分間だけドラマのレギュラーシーズンのメンツが
登場するという豪華な作りだが、どうやら映画版の伏線になっ
ているようで、この特別版ではあくまで殺人事件だけが処理
され政治絡みの伏線はネタふりだけに留まっている。

何と言ってもバーテンの田中要次が登場してくる所が連ドラ版
を見ていた人にとって興味深い演出の一つ。それ以外は別に
連ドラを見ていなくても十分に対応できる作りだった。

ドラマとしては意外とオーソドックスな作りをしていたと思う。
被疑者の滝田はすぐに捕まるが、何故か検事に起訴を急がせ、
動機をハッキリ言おうとしない。また途中で供述が変わって
来るなど不自然な態度が目立っていく。その原因は何なのかと
いうのが一連のドラマの流れだった。

ドラマは事件そのものに多くの比重を持たすよりも、山口支部
に勤める検事や事務官に奮起を促すような作りだった。
冒頭に於いて理想の検事の姿を夢見ている新米検事・泉谷りり
子が語っているが、事件に都会も田舎も無く、大きいも小さい
も無いという事。検事という職業に課せられた義務というものを
公平が唱えることで、被疑者の信頼を得るばかりでなく、それ
を聞いていたもの全てのものに納得感を与えるようなセリフで
彼の存在感を改めて感じさせるような作りだった。

公平の一つの物事に集中するキャラクター性は如何無く発揮
されている。今回拘りとして使われたのは、石鯛か。

滝田明彦が鴨井正樹を庇う理由が描かれ、鴨井産業に拘る理由
も語られる。そして殺す動機となるガンで失った亡き妻の
エピソード。流石にタバコの吸い殻を防波堤で探すエピソード
は強引すぎる内容だったが、みんなが真剣に一つの事件に向き
合う意識を見せるには仕方がなかったのかも知れない。

この一話だけでまた東京に戻されてしまうという不自然さは
有るが、映画版への前振りが面白く出来ていると思う。

久利生公平 - 木村拓哉 (検事)
津軽保 - 堤真一 (久利生の担当事務官)
泉谷りり子 - 綾瀬はるか (新米検事)
小森拓郎 - ベンガル (事務官)
村上健太郎 - 鈴木浩介 (りり子の担当事務官)
寺本篤史 - 鈴木拓（ドランクドラゴン） (警官)
嶋村めぐみ - 根岸季衣 (養鶏場を営む女性)
大藪正博 - 石橋蓮司 (地元選出の代議士花岡の秘書)
巽江里子 - 飯島直子 (久利生の司法修習生時代の友人で弁護士)
矢島 - 六平直政 (虹ヶ浦警察署の刑事)
居酒屋の店主 - 村松利史
秋月伶子 - 吉野公佳 (鴨井産業社長の不倫相手)
鴨井正樹 - 利重剛 (現鴨井産業の社長)
三ノ宮隆史 - 坂田聡 (殺人事件の被害者)
実話パラダイスの関係者 - 大高洋夫
鶏泥棒 - 佐藤二朗 (鶏泥棒の常連)
西山吾一 - 塩見三省 (虹ヶ浦支部の支部長)
古越ひろ子 - 手塚理美 (釣り宿の女将)
滝田明彦 - 中井貴一 (鴨井産業の専務)

雨宮舞子 - 松たか子
中村美鈴 - 大塚寧々
芝山 貢 - 阿部寛
遠藤賢司 - 八嶋智人
江上達夫 - 勝村政信
末次隆之 - 小日向文世
牛丸豊 - 角野卓造
鍋島利光 - 児玉清
バーテンダー - 田中要次
井戸秀二 - 正名僕蔵

山浦栄、日下由美、市原清彦、小貫加恵、大塚和彦、矢口昌代
桜木裕子、山梨ハナ、山口みよ子、松田真知子、佐野賢一
白木隆史、堤匡孝、美名、鹿出俊之輔、外園まゆみ、西村陽一
岡元次郎、武田修造、佐藤朝間、山岸功、茂呂田かおる
政井マヤ(アナ)

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)