警視庁捜査一課9係 特別編

脚本/深沢正樹
出演/渡瀬恒彦、津田寛治、羽田美智子、田口浩正、吹越満
井ノ原快彦、中越典子、金児憲史、浅見れいな
畑野ひろ子、遠藤久美子、誠直也

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/

クリスマスの夜サンタが空から降ってきた
・・首都東京を襲った奇怪な連続殺人! 2006年最後の大捜査

一人の殺人事件から始まり、やがて政界を巻き込む大事件へと
発展していく話し。

ドラマとしてのポイントは弁護士役の長野博とそのフィアンセの
松本莉緒に有ったと思う。
序盤は不審者としての役割だったが、実は誠実な役回りだったり、
純愛と親子関係に揺れる難しい間柄で有ったりして、結ばれざる
二人の切ない物語が基調として有った事は、ドラマをより深い
ものにした。

今回は随分と不当な手段によって物証を得ていたので、9系の
刑事達の勘の鋭さとは逆に証拠能力に対する証明の難しさが
ドラマを覆い尽くしていた事件だった。

レギュラー放映内でも誠直也ら上司からの圧力によって捜査中止
を命じられる場面があったが、今回もまた見ざる聞かざるな
姿勢を取るところが、9系らしさでも有った。

細かいエピソードの提示方法に余念が無く、元警察官僚であり
現在議員をしている中原丈雄に何気なく子供の存在が有る事を
臭わせている辺りも、上手くストーリーの中にすり込んでいた
と思う。

レギュラードラマを見ていた人にとって各個人間のエピソードも
興味深い。
羽田美智子は相変わらず恋に破れて寂しいクリスマスを過ごして
いるし、その親友が報道記者であり持ちつ持たれつの関係に有る
点など新しいキャラクターを上手く挿入したと思う。

津田寛治と浅見れいなは現状維持か。
能力を認められることによって評価を得たい彼にとって、彼女
のプレゼントに素直に喜べない部分であったり、栄転すること
を羽田美智子に留めて貰いたいのか褒めて貰いたいのか、その辺
の微妙な描写がこのドラマらしさを演出している。
津田寛治とはライバルである吹越満も、彼の無き後の主任の座を
狙う一人として面白い役割だったが、お約束のオチにて没シュー
ト(c)草野ヒトシ。

田口浩正の活躍はあんまり無かったな。

気になる井ノ原快彦と中越典子の関係も、実に不自然な形で
朝の公園で出会っただけで、殆ど絡みもなく進展もなく。
ちょっと寂しい限りではあるが、今回は随分とイノッチも
捜査では重要な役目を果たしていたので仕方がないか。
吹越満さんに暴力では無く躾けだと言われて殴られている
場面、ちょっと面白かった。

ゲストはかなり豪華だったね。
まさか天下の名取裕子に"私、今日は勝負下着では無いですから"
なんてセリフが有る辺り、ちょっとドキっとしました。
渡瀬恒彦との関係に何かありそうな感じは、続編で語られそう
だけど、そんな企画はないのかな。
かなり安定した面白さが有るので、是非とも検討して頂きたい
ですね。

guest
加藤たか子(報道記者)、長野博(弁護士)、松本莉緒(秘書)
ベンガル(弁護士事務所所長)、名取裕子(警視庁参事官)
北原佐知子(大学教授)、中原丈雄(政治家)、六角精児(鑑識課)
室井誠明(殺人犯)、若杉宏二(ジャーナリスト)
佐戸井けん太(政治家)、沼田爆(政治家)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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