開局50周年ドラマ 「氷の華」

最高のミステリー完結!復讐の悪女vs名刑事の殺人推理!!
東京〜軽井沢、新幹線3分間トリックの女…衝撃の結末」


作者/天野節子
監督/和泉聖治
脚本/佐伯俊道

http://www.tv-asahi.co.jp/koori/

[第一夜] [第二夜]


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まさか叔父様を殺したのは雅之なのか。雅之の愛人は真弓では
無く他にいる。それが誰なのか。

ブティックの紙袋の消息を追い警察は、JR用のゴミ集積場へと
向かう。そこで川口久子という作業員がブティックの紙袋の中
から未使用だと思われる靴を入手していたと判明。早速彼女の
元へと赴き入手する。他に紙袋の中に入っていたか尋ねると
彼女はベージュの作業服のようなものが入っていたと証言。

恭子は町中で隆之と加代が頬に軽くキスしているのを目撃。
加代に問いただすと彼女は大量にチケットを買ってもらった
為のお礼をしていたという。更に問いつめるがつきあっている
事は否定した。

その頃警察署では鑑定の結果が次々とあがってくる。
母子手帳の筆跡鑑定の結果、真弓本人が手帳を入手した事が
判明。更に毛髪の件で現場のものと恭子の自宅から入手した
ものが一致する。しかし不思議なことに現場に落ちていたもの
は染めてから一ヶ月が経っているものと判明、自宅から入手した
ものは一週間程度のものであることが分かる。
その頃同時に恭子が犯人だとする密告者(ゆかり)からの電話が
鳴る。13年前に他の女性から隆之を奪ったこと。その方法は
偽物の手紙を使って別れさせたものだと告げられる。そこで
電話が切れるが同時に逆探知にも失敗する。

恭子は自宅に帰り、先ほど町中で見た光景について隆之から
事情を聞く。そして真弓についての事、本当の愛人の事、
そして更には叔父をひき殺した犯人であるかを本人に問い
つめる。隆之は真弓との関係を否定せず、そして叔父を殺した
のも自分であると正直に告白した。突然の雨で視界が悪く、
怖かったことを告げる。恭子は隆之にこの家から出て行くよう
告げる。すると彼は去り際にもしもひき逃げ犯であることを
告発したら、恭子はその事実を知っていたと自白すると脅して
くるのだった。

夫の愛人は誰なのか。谷和歌子なのか。
恭子はゆかりの元を訪れると和歌子とは誰のことなのか尋ねた。
和歌子は今頃恭子を恨んでいる筈であり、雑誌などに恭子らが
掲載されるほどにその恨みは募っていくはずだと告げる。
そしてゆかりから和歌子の名前は芸名である事を知らされる。
当時劇団員をしていたとの事から、加代を疑う恭子。
ゆかりは自分が警察に密告した事を告げ、恭子に対する自分の
愛憎の程を知らしめようとした。そして恭子に対して苦境から
脱する姿を見たいと告げ、愛を捧げたのに裏切られた思いを
知りなさいと複雑な心境を吐露するのだった。
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第一夜に引き続き第二夜。

このドラマの旨い所は、先の展開が有る程度予想は出来るもの
のそれを裏切るほど知能犯的な恭子の実像に有ると思う。

第一夜の感想の中に書いたけれど、愛人はすぐに康子である
事が分かったし、今回の展開を見ても彼女が自供した時に、
山中湖の別荘で青酸カリを使った殺害を計画していることは
個人的にはすぐに読めた。

今回のドラマの名場面と言われれば、そんな康子が谷和歌子で
有ったという事実が分かる事よりも、物証を揃えて容疑者扱い
する刑事の前で堂々とタチ振る舞う恭子と戸田刑事の息詰まる
ようなやりとりに有ったし、法廷で無罪を主張する名取弁護士
と戸田刑事の迫力あるやりとりだと思う。

ドラマとして旨いと感じるのは、やはり恭子の力強さの根源が
何処にあるのか、その辺の事情が過去の中に存在している点
ではなかろうか。
また同時に彼女が猟奇的な振る舞いをしていく様子にも納得
する理由付けがきちんとしてある所は良くできている。

世間的には同情を引くに値するような過去を持ち、それと同時に
妬みの対象になる。最後にゆかりが遺書のように恭子の犯行の
すべてを書きつづる手紙が出てくるけど、そんな具体的な事実
を書きつづっても捕まらないだけの理由が旨く演出の中に見て
とれる。

このドラマ、男性不信だと誘導させるように、男性たちは皆
酷い振る舞いをする。その受け皿となるべくゆかりの存在が
抽出される点など見事な計算の元で描かれていた。

ドラマとしては恭子の酷い行いに対して、その事実を目の当たり
にしてもそれでも尚同情してしまいそうになる作りが面白いね。

恭子にしても隆之にしても数々の疑惑に対して意外とあっさりと
事実を認めてしまうところも斬新な切り口ではないか。

物証は次々と出てくるのに、それを直接の犯行であると断定
出来ないもどかしさは、ドラマ「魔王」のようであるし、
またドラマはシーソーゲームの様に、主導権を握りあう展開
はとても良かった。結局恭子が勝つ様にはなっているんだけどね。

瀬野恭子 ……… 米倉涼子 (ピアリスト・不妊症)
瀬野隆之 ……… 堺雅人 (病院・新院長)
高橋康子 ……… 高岡早紀 (雑誌編集者)
浜村ゆかり ……… 葉月里緒奈 (彫金師)
大塚美晴 ……… ともさかりえ (警部補)
名取悦男 ……… 渡哲也 (弁護士)
滝沢加代 ……… 鈴木杏樹 (女優)
篠原悦子 ……… 前田美波里 (看護部長)
戸田克巳 ……… 舘ひろし (警部)
橋本健一 ……… 名高達男 (警視)
関口真弓 ……… 中島ひろ子 (看護師・被害者)
戸田紫織 ……… 南野陽子 (克巳の妻・妊娠中)
吉岡達郎 ……… 中原丈雄 (元病院院長)

佐伯玉緒 ……… 華城季帆
勝本さち ……… 大森暁美
山内刑事 ……… 不破万作
花屋主人 ……… 桂小金治
千葉幹雄 ……… 西沢仁太
杉野妙子 ……… 島ひろ子
加藤輝子 ……… 福地香代

木村昇、宮下裕治、須永慶、平岩紙、金井茂、北山雅康
桜井聖、松下恵、森富士夫、浜近高徳、唐沢民賢、土田アシモ
せきぐちきみこ、海島雪、大勝かおり、大村美樹、橋本智恵子
浦崎宏、奥山弥生、佐藤裕、小山弘訓、海老原敬介、佐藤正和
美崎悠、酒井麻吏、岩田丸、渡辺杉枝、松浦愛弓、西村理沙
笹山ゆき乃、原楠緒子、石田明子、浅里昌吾、佐々木瑶子
アレーサ、ブリジット

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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