死亡推定時刻

脚本/池端俊策
出演/吉岡秀隆、松平健、永作博美、金井勇太、大後寿々花
國村隼、小林薫、勝村政信、戸田恵子

http://wwwz.fujitv.co.jp/ichioshi06/060909suitei/index2.html

身代金誘拐事件が発生。
受け渡しに失敗すると娘は翌日に殺害されて発見される。
鞄についた指紋からすぐに容疑者を検挙するのだが。

いやぁ、かなり面白いじゃないですか。
少し手直しすれば劇場版としても十分に通用する作品。

冤罪事件の裏で繰り広げられる兄弟としての葛藤。
幼少の頃に築き上げられた兄弟の絆と、決別に至る人生逆転の
チャンスを掴む土地担保のエピソード。

全く異なる2つの生き方の生まれる背景がきちんと描かれ、
その生き方の違いが不幸を招いてしまうなんとも悲しい話でした。

杜撰な捜査、人権を無視した取り調べによって県警によって築き
挙げられた犯人。当初の視点はこうした県警の非人道的な行為
を暴くための裁判に重点が置かれ、一通り偽証の為のエピソード
が出尽くすと、今度は真犯人の追及に向けたエピソードへと
流れは変貌する。

この辺の流れの切り替えが実に巧みで、松平健自身の過去を探る
ウチに自然な流れで移行できたと思う。

このドラマで唯一惜しいのが、幼少の頃の土地担保のエピソードか。
現実的な話をすれば、この農地が担保として機能できるほどの
価値が有るようには到底見えないところ。

主人公を演じた国選弁護人役の吉岡秀隆。
犯人・小林薫と共感するに値する"賢い生き方"を放棄してしまった
生真面目な男を演じた。金にもならない事に執着し、金を掴む
チャンスもみすみす逃してしまう"損"な性格の持ち主。

こんな生き方しかできない人間が敗北を認めて松平健にすり寄り、
ひれ伏すしかない状況と最後の一線だけは越えじと強い信念の
元で人間らしい生き方を模索する葛藤が実に巧妙な作り。

結局人間は自分には無いものに嫉妬する生き物なのかなと感じさ
せた。

本当は兄弟として愛が存在するのに、僅かなボタンの掛け違いで
互いの子供を殺してしまう悲しいドラマでした。

脚本の池端俊策さんは、ドラマ「海峡を渡るバイオリン」を担当
した方のようだ。今後とも注目かもしれない!!

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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