前編 NOの中のYES

引きこもりやニートの若者を助けるNPO法人"スロースタート"の
活躍を描いた作品。

水野美紀さん大好きなのでデフォでチェック!って事で見ました。
裏で放送していた山田太一のドラマも見たかったのですけどね。

現代のデジタル時代を否定するようなアナログ的手法で
部屋の中で燻っている人間とコミュニケーションを図りながら、
少しずつ人間と触れあう楽しさを知らせ、外に出て社会と関わり
合いを持たせるまでを描いた作品。

やはり色んな面で説明的な内容にはなっているが、それらも
最小限に、人と人とがぶつかり合いながら問題を見つけ、
解決していく内容だ。

リアルに感じるのは、NPO法人の活動を聞きにやってくる人々
の反応だろうか。人と人とが触れあうのには学歴は関係ないし、
親御さん達は、活動する職員達に対して臨床心理学の資格など
が有るのかどうかを訪ねてくる。
そういった肩書きが問題解決への本質ではないことをドラマの
中では示しているが、実際の引きこもりを抱える家族の者ならば
少しでも経験のあるものに助けを求めたい心理が働くと思う。

何より引きこもりの人間が問題なのは、人との関わり合いを無く
したことによって、感情を失っていくことだ。
水野美紀扮する女性の仕事は、元来持っていた感情を
引き出していく事。そんな人間本来の情に訴え問題を打開して
行く点は良くできている。

引きこもりが暴れだすと普通ならばその行動に心配が及ぶと思う。
しかしドラマではそれをコミュニケーションへの契機と捉えて、
上手く引きこもりを誘導していく。

ドラマとして面白いのは、全てを円満解決に導かない点だ。
当然相手を怒らせ発奮させる場合も有る。それが自らを傷つけ
これまで長い時間を掛けて築き上げて来た関係を崩壊させる事
にも繋がるかも知れない。
キャラクターの存在を立てるばかりに理想を追求する
民放のドラマとは違って、より現実的なエンディングを求めた
形は流石NHKと言ったところか。

出来ればこのドラマ、連ドラ形式で放送して欲しいところ。


評価：★★★★★★★★☆☆ (8.0)