世にも奇妙な物語・2002年 春の特別編
(2002年3月27日放送)

ストーリーテラー・タモリ
プロデュース・岩田祐二、平賀公泰
プロデュース補・渡辺 直美
ストーリーテラー演出・松田秀知
企画・石原隆
音楽・`島邦明

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/kimyo/index.html





◆『無視ゲーム』
(脚本:鈴木勝秀、演出:李闘士男)
--------------------------------------------------------
西都女学院に通うミワコは、ルームメイトにクラスメイトのナオ
ミを選ぶ。ナオミはどうして私を選んでくれたのか?と問うと、
ミワコは空気みたいだからだと告げる。
そんな中、ミワコはカズキというアマチュアの役者志望の男性
を部屋に連れて行く。金が無いので暫く家に泊めて欲しいとの
事。ミワコはナオミの迷惑を顧みず、カズキとの生活に明け暮
れる。しかしミワコはカズキとの関係が徐々にひずみを生んでい
く。室内でタバコを吸ったり、彼女に依存し新しく住む部屋を
全く捜そうとしないのである。呆れるナオミとカズキは喧嘩が
多くなる。
そんな中、大学では合コンをやるという事になるが女性が一人
大きくあぶれているという。ミワコは躊躇無くナオミに外れて
もらおうと告げる。
ナオミは帰宅するとカズキが部屋にいたいことに気がつく。
声がして居る方向へと足を運ぶと、なんとナオミとベッドの中
でいちゃついていたのである。一体どういうつもりなのかと
して、激怒するナオミは二人を引き離す。しかしそれ以降も
ナオミは徐々にナオミの持ち物、洋服などを勝手に着るように
なり。ミワコの制止にする関わらず全く話を聞かなくなって
いく。

--------------------------------------------------------

美和子は大学の級友の直美とルームメイトになる。
直美は大学でも人気のある美和子とルームメイトになれたこと
に密かに喜び、なんで自分とルームメイトになってくれたのか
と尋ねると、空気みたいだからだと言われる。

徐々に存在感を奪われていき自分が空気みたいな存在になる
という展開だった。美和子の存在のバロメータとして働いて
いたのは彼氏の存在だったのかと思わせるものがあり、奪われた
だけで亡くなってしまうというのはちょっぴり違和感は有るか
も。どの段階で亡くなったのかが一つのポイントとなっていて
ベランダに閉じ込められた際である事は明らかなのだろうけど
無視され始めた状態がベランダに閉じ込められる以前から
始まっている点はやや不可解な部分でもある。
自分自身が死んだ事に気がついていないというのは、意外と
よく有る物語だね。映画「黄泉がえり」とか思い出すな。


美和子 …… 内山理名 (西都女学院)
直美 …… 尾野真千子 (西都女学院、美和子のルームメイト)
和樹 …… 永山たかし (美和子の彼氏だが・・)
女子大生 …… 宮川由起子、梁瀬絵里、小田部麻美、多瀬亜衣
通行人 …… トライアルプロ


◆『おかしなまち』
(脚本:勝栄、演出:松田秀知)
--------------------------------------------------------
明路電機で働く井上真。水野課長がリストラに遭った為に、
井上真が現在課長代理をしていた。上司から「環境保全基本
計画」り為に岡科町支社に直接出向いてその事を通達して欲し
いと言われる。
電車に乗りトンネルを抜けると、岡科駅に到着。
駅を降りた途端に井上は異様な町人達の姿を目にする。
どの人物もまるでコメディアンのように振る舞っているのであ
る。ケーキ屋に行けばパイを投げつけられ危うくぶつけられそ
うになったり、駐在に道を聞こうとするも、漫才コンビのよう
な警察官が出て来て、ふざけてばかり。旅館に行けば女将も
仲居もみんなギャグばかりでまるで町ぐるみで自分の事を
ハメようとしているのではないかと考え始める。

--------------------------------------------------------

郷に入り手は郷に従えという感じで、お笑い・ギャグばかりが
まかり通る町で堅苦して面白みの無かった井上が、遊び心を
養っていくというもの。

ちょっと人生に疲れたときとか、人間関係に疲れたときなんか
に見るとスッと入ってきそうなエピソード。
ただギャグは滑りっぱなしだし、見る時を選びそうなエピソー
ドだね。

自分にないキャラクターを引き出さなければならないという
状況、一歩踏み出す勇気みたいなものを上手く皮肉っている
感じはする。


井上真 …… 柳葉敏郎 (明路電機、課長代理)
広田 …… 徳井優 (岡科町支社)
元木 …… 菊池均也
後藤 …… 田鍋謙一郎
鈴木 …… 八十田勇一
上司 …… 並木史朗
部下 …… 長岡尚彦
駅員 …… 林家二楽
市川 …… 黒田大創
おばあさん …… 森康子
受付嬢 …… 川津春
田中 …… 奥田崇
女子社員 …… 渋谷宏美、朝川真帆
薬屋 …… 笹澤静治、山成潤一
ケーキ屋 …… 氏家恵
パイ男 …… 高橋史朗、佐藤貴光
男 …… 山崎崇史、赤沼正一
警察官 …… 大須賀王子、川瀬忠行
受付嬢 …… 有輝りん
ジャグリング男 …… 藤田大介
女将 …… 藤井亜紀
仲居 …… 佐藤勝栄
二枚目 …… 相澤一成
のり弁男 …… 菅原卓磨
弁当屋 …… 岩瀬威司
親父 …… 佐藤正宏


◆『トカゲのしっぽ』
(脚本:中村樹基、星護、演出:星護)
--------------------------------------------------------
刑事に対して藤堂和音は、オレが殺したのではなく、ころした
のはオレの右手だと語る。

藤堂和音は世界的なピアニストで黄金の右腕を持つと呼ばれる
程の天才ピアニストだったが、事故に遭い右手を切断してしま
う。救命士によって運ばれる中、藤堂は自分はピアニストなの
で右手は必要だとするが、切断された右手と一緒に病院へと
運ばれていく。しかし右手は接続することは出来ず、再起不能
だった。ベッドで落ち込む和音に対して妻・美奈子も励ます中、
医師の成田がやってくる。成田から損傷が酷くて接続することが
出来なかった事を告げられ、自分も和音の大ファンだったので
ピアノが聞けなくなると残念だという。成田は和音にまだ試した
事は無いが画期的治療がある事を聞かされる。人の細胞・治癒
力には再生能力があること。しかし足や手は限界があるが、
動物(トカゲ)の中には尻尾を切られてもまた再生するものも居
るという成田はそんな動物からDNAの再生・分離能力だけを抽
出したものが有ると告げ、それを培養したモノを注射していけば
手が生えてくるというのだった。和音は藁をも掴む思いでその
治療を試して欲しいと頼む。

--------------------------------------------------------

天才ピアニストが失った腕を取り戻す為にトカゲの再生能力を
利用するというもの。
単純に良い所だけを抜き取ろうとするとその弊害に気がつかな
いって感じのエピソードだったけど、自分と対照的な人物が
居るっていう所がまた不気味で怖い。

主人公だけが生き残ってしまうとどうにも収まり所の悪い話
になってしまうけど、事件の顛末を話す人が居ないと成立
しないところもあるので仕方が無かったのかな。

藤堂和音 …… 柏原崇 (天才ピアニスト)
藤堂美奈子 …… 岡元夕紀子 (妻)
刑事 …… 大高洋夫
音楽評論家 …… 牧口元美
リポーター …… 関戸めぐみ
救急隊員 …… 西川亘
成田助手 …… 大西武志
男 …… 川嵜祐樹
成田 …… 清水紘治 (医者)


◆『夜汽車の男』
(脚本:橋部敦子、演出:)
--------------------------------------------------------
夜汽車に乗り込む訳あり風の男。
乗客はまばらでマナーも知らない子供が男にぶつかり、思わず
手にしていた荷物を下に落としてしまう。車掌がキップの拝見
にやってくると、男はこれで邪魔するモノも居なくなったと
して、手にしていたビニール袋から駅弁を取り出して、中身
を凝視する。一瞬にしてメインのおかず、お総菜、そしてご飯
などの食べる順序を考える。食事には二種類有り、西洋式では
メインのおかずに向かって一品ずつ食べていく方法。
東洋式ではメインのおかずも交えつつ少しずつバランスよく
食べていく方法だった。しかし男は自分には独特の食べ方が
有り、揚げ物とラストのイカリングを目にすると、食べる順序
を真剣に考えていく。

--------------------------------------------------------

弁当を食べるにも徹底的に研究・分析・戦略を求めるという感
じで、ばかばかしく思えるものにも拘る人が居るという事で
面白く演出された話だった。

一番良かったのは、過去の映像に於いて、イカリングを象徴的
なものとして扱うエピソードが存在すること。
正直弁当を分析しているシーンは退屈だったけど、この少年
時代の映像があったお陰で一気に面白くなった。

弁当を食べる中でも意外性が有り、新たな発見がありと、
その辺のバカバカしさが何とも言えない味がある話だけどね。


男 …… 大杉漣 (弁当を食べる)
車掌 …… 小林隆
サラリーマン …… 小原雅人
ケバイ女 …… 池津祥子
若い男 …… 正名僕蔵
若い女 …… 奈良崎まどか
子供 …… 三瓶義貴
少年 …… 柿澤司
美少女 …… 篠原愛美



◆『マンホール』
(脚本:山内健司、演出:山内健司)
--------------------------------------------------------
会社が合併したことで、添島照男は次こそ自分にリストラが
宣告されると考えていた。その事を妻にも話すと、妻・えり子
はローンや娘の教育費などの問題もあり、生活をどうするのか
と夫に告げる。しかもリストラされそうな社員が何故毎日遅く
帰宅するのかと問う。
妻はリストラかどうかが分かったらすぐに電話してくれと
告げ夫を会社に行かせる。
照男は会社に向かって進むが、突然目の前に有ったマンホール
に気がつかず落ちてしまう。結構深いマンホールで気がつくと
幸い怪我はしていなかったが、マンホールにははしごがついて
折らず上に上がる事が出来ない。携帯電話で助けを呼ぼうとす
るが残念ながら携帯電話を自宅に忘れてきていたのである。
そんな中、暗闇の中で照男に話しかけるモノの姿が有った。
携帯を持って居たとしてもどうせ圏外だという。自分は事務局
長だとする男を見ると何とネズミの格好をしている事が分かる。

--------------------------------------------------------

シュールな感じの内容で、マンホールを落ちるところから始ま
り、そこに居着くネズミとやりとりを通して、自分の行く末を
決めていくというモノ。

リストラに遭い世知辛さを過ごしている主人公だからこそ
現実逃避したい気持ちも分かるけど、流石にネズミにはなりたく
ないと思わせる。
妻の情け無用にネズミの夫を殺害してしまうというところに、
上手い感じの味付けがしてあり、妻の怒りの納め所にも上手く
繋がっているのだろうな。


添島照男 …… 香川照之 (課長、リストラ間近)
添島えり子 …… 水島かおり (妻)
専務 …… 森下哲夫
小野寺トモ子 …… 中込佐知子 (照男の愛人、社員)
田村 …… 荒川良々 (照男の代わりに照男に)
裁判長 …… 飯田孝男
常務 …… 山本京三
水道局員 …… 大堀こういち、佐藤剛成
添島ひとみ …… 雨野美咲 (娘)
ネズミの声 …… 中村まこと、小長谷勝彦
柿崎部長 …… 本田博太郎 (照男の上司)
事務局長 …… 江守徹

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

 
inserted by FC2 system