世にも奇妙な物語 (2009年秋の特別編)

人生を惑わす欲望と過信の罠…決して開けてはならない
衝撃と恐怖の扉が今夜あなたの目の前に


企画/石原隆、金井卓也、瀧山麻土香、成河広明、水野綾子
情野誠人
プロデューサー/岩田祐二、永井麗子、橋本芙美
ストーリーテラー/タモリ

世にも奇妙な物語 全エピソード


--------------------------------------------------------

検索する女

脚本/酒井雅秋、吉田直樹 演出/吉田直樹
--------------------------------------------------------
岡崎加奈子は世渡りは情報が命だと考える。彼女はとても便利
な検索サイト"Dic"を見つけ出し愛用していた。
この日ゴルフを見たという常務に話を合わせるために検索サイ
トを利用してご機嫌取りに成功。
この検索サイトが最も有効に使えるのは合コンの場である。
友人の大森アキと桐野美里と共に三対三の合コンに出席。
やってきたのは大塚裕也、宮内幸太郎、三宅亮。
大塚を検索で調べるとプロのサッカー選手。と思いきや既に
戦力外を受けた選手である事が発覚。宮内はITの異端児と言わ
れる人物だが、経営するベンチャー企業は倒産寸前。三宅は
とても暗い人物で他の女性二人は論外だとするが、検索で
調べるとなんと財閥の御曹司である事が分かる。

--------------------------------------------------------

一番ドラマとしては安定的な話だった。
検索に頼りすぎて真実を見誤っていくウチに、自分が殺人者と
なっているという話。

エレベーターの使い方が面白く、前振りの仕方といい肝心なと
ころで使えないツールとしての携帯に苦々しさを覚える展開と
なった。
不気味な犯人を演じた三宅の怪演によって、最後まで犯人なのか
単なる根暗なオタクなのか分からないところも面白い。
精神的に加奈子を上手く追い込んでいったなと思う。

岡崎加奈子 …… 井上真央 (OL)
大森アキ …… 松山愛里 (OL)
桐野美里 …… 近野成美 (OL)

大塚裕也 …… 大口兼悟 (元サッカー選手)
宮内幸太郎 …… 松尾諭 (IT関係の仕事)
三宅亮 …… 松尾敏伸 (御曹司か連続殺人犯か)

大林丈史、工藤俊作、永井博幸、本田清澄、関谷桃子
須永祐介、宮内勝



自殺者リサイクル法

脚本/黒岩勉 演出/岩田和行
--------------------------------------------------------
ミキオは300万円の借金が返すあてもなく自殺しようと考える。
ビルの上に立ち落下すると、何故か男達が縄で彼を保護して
何処かに連れて行く。
ミキオは自殺者として認定されたという。広場には沢山の人物
がおり、全てはミキオと同じく自殺志願者だった。
カミヤという女性がやってきて説明する。自殺認定者は国の
管理下に入って貰うという。法律上は亡くなっており、死亡届
も受理された状態。国家のために再利用させてもらうという
のである。ここに集められたのは自殺者の中でもつまらない
理由で死を選んだ人だとの事。命を無駄にするのならば国の為
に有効に使う。全ては自殺者リサイクル法に乗っ取って利用
されるというが・・・

--------------------------------------------------------

自殺者の多い日本の社会を皮肉ったような話だった。
どうせ死ぬならば国のために命を捧げろとばかりに、次から
次へと死を意識するミッションを行わせる。

一度は死んだ命なのだから何をしても許されるというブラック
さが光る話だった。

人の死を見ていく内に死にたくなくなるというのは面白いね。
しかしその様な心情に至っても簡単には抜け出せない所が
法律の恐い点。
最後のミッションでは、ちょっと時間の経過が不自然な感じも
したけど、自殺志願者の心理を上手く突いた話だったと思う。

ミキオ …… 生田斗真 (自殺志願)
カミヤ …… りょう (自殺者リサイクル機構)

遠藤要、光石研
七枝実、原田文明、笹山ゆき乃、蓮尾卓美、西海健二郎
北上史欧


理想のスキヤキ

脚本/森ハヤシ 演出/鈴木雅之
--------------------------------------------------------
すき焼きには明確なルールなど存在しない。家庭の数だけ
それぞれのすき焼きが存在している。
西村和樹には、すき焼きに対する拘りがあった。
今日は恋人・詩織との結婚を許して貰うために詩織の実家に
やってくる。夕食にはすき焼きが出されるということで、
和樹は5年ぶりのすき焼きに心躍らせる。すき焼きの鍋を囲む
のならば最低限3人は必要だという彼。今日は環境が整った
という。詩織の実家は京都の日本家屋で趣があった。
家族もすき焼きを特別な存在として見ていることで好感が持て
るという。まさに理想の家族だと思っていた。
しかしすき焼きの具材の中にエリンギが入っていることで、
和樹には無い価値観が飛び込んでくる。和風の食べ物の中に
西洋の食材など以ての外だというが、今日は結婚を許して貰う
事がメインである事を理由に我慢することになる。

--------------------------------------------------------

すき焼きに対する拘り。
作り方だけでなく食材とか食べるタイミングとか、食べる順番
にまで徹底的に拘りを求めた話だった。
日本人ですき焼き好きならば、至る所で納得するような心理
描写が描かれている。

普段は家事などしない父親がこの時ばかりは料理人になるという
様な展開だったり、肉を取る事へのタイミングの難しさが面白く
現れていたと思う。

良くできていたのがベストのすき焼きを作るために影でサポート
するという展開を面白く挿入している点。

家庭の数だけすき焼きの種類が有るというように、エリンギ一つ
で考え込むような展開だったり、不可解な事態に陥ったりと
その都度笑えるような表現で構成されている。

しかしあの黒い物体は何なのか。
自分が思っていた常識、信じている真実が常に正しいとは限ら
ないという皮肉がうまく描かれている内容だった。

西村和樹 …… 伊藤淳史 (すき焼き大好き)
詩織 …… 岩佐真悠子 (和樹の彼女。すき焼きに卵は入れない)
正一 …… 西村雅彦 (印刷会社社長の父)
緑 …… 宮田早苗 (肉付きの母)

植田玖瑠星、三宅朱皓


呪い裁判

脚本/中村樹基 演出/石川淳一
--------------------------------------------------------
桐島雅美はある時夫が愛人の白井有里の元に通うのを見かねて
呪術師の辰巳イトに殺人を依頼する。本当に殺人が為されてい
るのか有里のアパートを尋ねた際に、彼女は口から泡を吐いて
突然亡くなってしまう。
そんな事件がきっかけで犯人の辰巳イトは逮捕。
裁判員制度は、前代未聞の呪いによる殺人が裁かれる事になる。
裁判員に選ばれた女性・守河亜由はこの日、息子の佑樹を
幼稚園に預けてから裁判所に向かう。
亜由は大学時代には弁護士を目指していただけ合って、裁判員
としての仕事にも気合いが入っていた。
検察官から起訴状が読み上げられる。8人の人間を殺したという
呪いによる殺人。自らも自分が殺した事を告げる被告人。
裁判員の中には人を呪い殺せるわけなど無い、呪いなど迷信
だとするが、徐々に裁判員たちの間でおかしな事態に陥って
いく。

--------------------------------------------------------

呪いの存在を否定していたモノが、呪いによって相手を苦しめ
ようとする展開だった。

呪いとはそもそもどんな存在なのか。
空気のように有り触れているもので人は誰でも呪いを掛けてい
るとするときの説得力がなかなか良い感じで伝わってきた。

最初は呪いなど馬鹿な存在だと見ていた裁判員達が徐々に
説明の出来ない事態の連続によってそれを受け入れていくという
もの。

なんとなく雪菜が髪の毛を取った時点で先の展開が読める様な
感じもした。

守河亜由 …… 釈由美子 (裁判員、母親、喘息もち)
守河佑樹 …… 佐藤詩音 (息子、幼稚園)
守河明 …… 小市慢太郎 (夫)
桐島雅美 …… 阿南敦子 (殺害を依頼)
辰巳イト …… 千葉雅子 (呪術師)
白井有里 …… 建みさと (殺害される愛人)
伊東雪菜 …… 前田愛 (保母)

細田よしひこ、国枝量平、小柳友貴美、飯田孝男、垣内彩未
窪園純一、足立学、高橋睦美、立石由衣、仲住聰志


夢の検閲官

脚本/いずみ吉紘 演出/土方政人
--------------------------------------------------------
5週間前にいじめを苦にして線路に飛び込んだ息子・幸太郎。
母親はその苦しみから解放されるべく、飲めない酒を飲み
机の上でそのまま眠ってしまう。そんな彼女の事を見守るもの
たちの存在があった。彼らは人間に安眠を与える夢の検閲官。
安眠法全書に乗っ取って、悪夢に促されるような夢の素材を
意図的に排除するのが役目。
しかしそんな検閲官もあと一週間で退官を迎えようとしていた。
最後に担当する森崎明日美に無事安眠を提供できるのか。

--------------------------------------------------------

イマイチ面白くなかった。
最後の最後で夢の検閲官も眠ることが出来るとした結びは面白
かったのだけどね。

亡くなった子供を成仏させる為なのか、母親の息子に対する愛情
を知らしめる展開ではあるが、生きているウチにそれを伝えな
ければあんまり意味もないのかなという気がしてくる。

子供の夢を見たからと言っても安眠できなくなるというのも
ちょっと微妙かも。

森崎明日美 …… 紺野まひる (母)
検閲官 …… 石坂浩二 (検閲官)
森崎幸太郎 …… 嘉数一星 (息子)

小林隆、菊池均也、永田恵悟、佐野賢一、吉田晋一
後藤康夫、黒濱優至


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system