土曜プレミアム世にも奇妙な物語’14 春の特別編

ストーリーテラー:タモリ

編成企画 - 成田一樹、水野綾子、加藤達也
プロデューサー - 小林宙、後藤庸介
アソシエイトプロデュース - 小椋久雄、岩田祐二
脚本 - 安江渡、川野将一
演出 - 植田泰史

美女:小林恵美

世にも奇妙な物語 全エピソード

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/kimyo/index.html




◆『二ートな彼とキュートな彼女』
(脚本:小澤俊介 演出:高丸雅隆)
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秋田雅志は就職浪人中で、そんな低賃金者の為に政府が用意し
た単身者用公団アパートに住めることになる。このアパートは
最新式のホームネットワークシステムを完備していて、ホログ
ラム映像の僕専用のコンシェルジュが現れて電子機器を管理
してくれるのである。
引っ越しした最初の日にコンピュータに自分の情報を質疑応答
の形で入力。色んな好みのものなどを入力すると、突然ホログ
ラムの女性・MM-2020αという女性メイドが現れる。これから
私が雅志のお世話をするという。若干自分の好みと違うとする
が容姿の変更は出来ないと言われる。あまりに精巧な為に人
が居るのではないかと思うが、実体は無いとして試しに触れて
みると確かにそこには何も無かった。
翌朝からMM-2020αが雅志の生活を管理し始める。
朝は7時になるとカーテンが自動に開いて、音楽が鳴り、朝食
の作り方までレクチャーしていく。コーヒーに入れる砂糖の
量にまで助言してくるものがある。
就職浪人中の彼は大手企業にエントリーシートを送ったがどれ
も引っかからずにいた。同窓生たちはみんな社会人となって
おり、雅志はなんとかして自分をアピールして就職したいと
考えていたが・・・
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政府が開発したプログラムによって作成された自分好みのホロ
グラム用のメイドのような個人用コンシェルジュ・MM-2020α。
就職浪人中の雅志としては色々と生活指導までしてくれて
ありがたみを感じるが肝心の就職が出来ずに思わずMM-2020α
に当たってしまう。

アンドロイドではなくホログラムということで、触れることの
出来ない寂しさなんかを演出していくものかと思いきや、
その女性が実在するという辺りは程よいサプライズ感も有り
面白く出来ていた。
僅かなきっかけで出会いは起きて心を通じ合える異性と
出会えることを示唆していて悪くはないけど、少子化問題も
有るけど、寧ろ今の日本社会はニートや非正規雇用者が多く
成りすぎてその問題の方が寧ろ大きいような気がするので、
職業訓練・社会復帰構成プログラムとしての彼女の存在の方が
しっくりくるのかも知れない。
こんなお見合いシステムだと、少子化解消にはならないと思う
しね。

秋田雅志 …… 玉森裕太 (就職浪人1人目)
MM−2020α(美優) …… 木村文乃 (ホログラム/保育士)


◆『墓友』
(脚本:吉井三奈子 演出:松木創)
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軽部千代美は娘に電話すると、共同墓地を購入したことを報告
する。桜の木の下に一緒に埋められるものだった。
千代美はその墓地を確認しにいくと、隣の墓は伊能夕子という
人物だと知る。千代美はそんな夕子も墓を見に来た事を知り
自分は隣に入る予定だとして互いに自己紹介する。田舎には
先祖代々の墓が有るが、夫側の親類なので嫁に行った娘に迷惑
がかかるとし、場所も遠いので面倒をかけたくないので共同墓地
を選んだのだという。夕子も全く同様の立場の人物で、シングル
になった事を告げ娘など嫁いでしまえば他人みたいなものだとい
う。お隣同士私たちは墓友だという千代美の言葉を聞いて夕子
は目を輝かせる。
千代美はいつものようにビルの清掃員として働いていると職場
には夕子が現れ、このビルに勤めていると聞いたので挨拶に
来たのだという。私たちは墓友でしょと告げると美味しそうな
コロッケが有ったので買って来たとして千代美に渡す。
職場の仲間の篠田と江上はランチの際に夕子のことが話題に
なりコロッケ一個をプレゼントするなんて変だと語る。
更に千代美が帰宅する頃、職場の外では夕子が待っていた。
どうせ帰っても私たちは一人なのだから一緒に食事に行こうと
彼女を誘う。夕子は夫がバブル時代に白金に買った5LDKの家
で一人暮らしだと語り、一人で住んでいると寂しいのだと語る。
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世にも奇妙な物語っぽいエピソード。
友達だと言ったばかりに友達が今まで居なかったとする女性
からつきまとわれて墓まで付き合わされるという怖い物語。
気になるのは、白金に高級マンションを持っていると思いきや
実際にはボロアパートに住んでいたこと。
そんな彼女がホイホイと食事に行ったり、芝居を見たり他人の
家の浴槽の暖房の面倒まで見る者だろうかという感じがする。

流石にまだ渡辺えりさんくらいの人ならば死を意識するなんて
年齢では無い気がするな。

次々と回りで起きている事件というのが夕子によって起こされて
いること。ヘタに素性の分からない人物と関わると怖いという
ことで、夕子という女性は実際には心中しようとすることを
考えていたのだろうか?また凄いところに崖があったり、
墓の中に引きずり込まれる辺りの描写は怖かったね。

軽部千代美 …… 渡辺えり (清掃員、娘が一人)
伊能夕子 …… 真野響子 (墓友)
江上 …… 円城寺あや (清掃員・軽部とコンビ)
篠田 …… よしのよしこ (清掃員)
工事作業員 …… 菅谷哲也
夕子の隣人の主婦 …… 兎本有紀
自転車の青年 …… 上野山浩
医者 …… 石原善暢
主婦 …… 森澤早苗、和泉今日子
老婦人 …… 仲野元子、小貫加恵
千代美の娘(声) …… 上原梓

◆『空想少女』
(脚本:向田邦彦 演出:植田泰史)
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朝比奈薫は歴史好きの女子高生だった。女子高生とは笑顔が
溢れる時間を過ごすものだと思っていた薫だったが、実際には
クラスの女子生徒とはイマイチ気が合わず浮いていた。
好きなアイドルはと問われ、石田三成だと語る薫に、他の
女生徒たちも対応に困る。
しかし薫は自分は寂しくないと考えていた。本を開けばかけが
えのない友達がいるのだという。現実の友のように退屈ではない
とし、千石武士用が空想の世界に誘ってくれると考えていた。
薫は毎日片道一時間40分のバス通学をしていた。本好きの彼女
には本さえ有れば苦にはならなかった。更に彼女のもう一つの
密かな楽しみは、そこで乗り合わせる美沢春斗という他校の
男子生徒だった。彼は薫の中でも好きな石田三成と似たような
人物だと捉えていた。
そんな中、薫の近くには初老の男性がつり革に捕まって立って
いるのを目にする。通常ならば席を譲るべきだが、人によって
は老人扱いされるのを嫌う人がいることも確かで、如何にも
彼の前で自分が良い人だとアピールしているようで違和感を
覚えるのだった。
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アイディアとしては面白いものがあった。
世にも奇妙なシリーズで電車とかバスに乗ってしまうと
意外と片道切符みたいな展開も有るので、トンネルの中に
入った際には事故死的オチが待ち受けているのかと思った。
そんな不安を払拭する形で、バスの老人に対して席を譲る
べきかどうかの葛藤に於いて、どういう戦術を採るのが
ベストなのか、もの凄く長い妄想によって試行錯誤する辺り
はなかなかのアイディアものだった。自分で行動せず他人まかせ
のところを見ると薫さんは「立ちまで待とうホトトギス」タイプ
でしょうか。
歴史的事実なり有名な史実を当てはめて構成したって感じも
強いけどね。能年さんが可愛かったので、それだけで満足。

朝比奈薫 …… 能年玲奈 (歴女・高校性)
土田恵美 …… 飯豊まりえ (バスに乗り合わせる女子高生)
美沢春斗 …… 入江甚儀 (恵美の幼なじみ)
老人 …… ミッキー・カーチス
老人 …… 伊藤幸純
居眠り中年男 …… 千葉ペイトン
席を譲る中年男 …… 山崎崇史
荷物の多いおばさん …… 須永千重
徳永家康 …… 小杉幸彦
織田信長 …… 窪寺昭
豊臣秀吉 …… 南優
生徒 …… 夏居瑠奈、山田帆風、安田彩菜、加藤果林
妊婦 …… 桃香
ゲームをする中学生 …… 大邑颯斗
バス運転手 …… 鶴岡聡



◆『ラスト・シネマ』
(脚本:小峯裕之 演出:山内大典)
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テレビ局の番組編集の仕事をしている綾乃は映像の仕事がした
くて入社する。しかし編集の仕事は時間に追われ、そして
時間のかかる根気の要る作業だった。ようやく現在担当して
いる番組編集が終わる中、同僚で付き合っている彼氏の岩崎
和彦から声を掛けられる。和彦は突然別れを切り出すと、
会社を辞めて少し田舎に戻ってこれからを考えたいのだという。
綾乃は互いに大変だと知りつつも励まし合って行こうと約束
したではないかと告げるが、和彦はそういう重さに耐えられな
くなったのだという。最近こそこそとして連絡が取れなかった
り、休みの日にも居なくなったりしていたのは浮気していたのが
原因なのか?と問うと、和彦はそれを認める。綾乃は最低だと
してその場から離れる。すると綾乃の頭上からは工事用の
資材が振ってくる。
目が覚めると彼女は何故か映画館の中に居た。
現在の状況が飲み込めず居る中で突然母親が自分を出産した
時の映像がスクリーンに映し出される。もしかして自分は
亡くなったのではないかと考える中、その光景は走馬燈と
呼ばれる人生の最期に見る映画のようなものだと感じる。
すると出産後いきなり22年後に映像が飛び、自分が亡くなった
時の光景で映像が終わってしまう。上映が終わった頃、
支配人とADが現れ、自分たちは走馬燈シアターの人間であり
最期の時が迫った人の魂をこのシアターに呼び寄せて人生を
振り返ってもらうことをしているのだという。しかしあまりに
不自然な走馬燈だったこともあり綾乃は不満を述べる。
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綾乃はテレビ局の映像の仕事で何とか成功する為に頑張る中
一緒に活動していた同期で彼氏の和彦が別れを切り出して
くる。彼は浮気している事を告げるが・・・そんな中、
綾乃は資材によって押しつぶされて意識不明の重体。
死の縁にいる彼女の元には走馬燈シアターの支配人だと名乗る
人物が突然現れていくが・・・

TBSで放送された「走馬灯株式会社」と似ている所はある
のかも。ビデオを見る事で相手がどんな気持ちで居るのかを
しる事が出来るが、そんな彼を助けるのかそれとも自分のた
めに使うのか
現実の世界の自称を一つだけ変えられるというペンをだけど
元々有った鉄骨を消してしまえば良いじゃないかと小一時間
な感じだった。そういれば二人とも助かったな。

星野綾乃 …… 榮倉奈々 (テレビ番組編集プロデューサー)
岩崎和彦 …… 金子ノブアキ (テレビ局、綾乃の彼)
支配人 …… きたろう (支配人)
新米AD …… 大鶴佐助
編集マン …… 三上市朗
和彦の母 …… 野間洋子 (末期がん)
スタッフA …… 広瀬諒人
上司 …… 羽田真
老婆 …… 吉田幸矢
看護師 …… 永田真子
女子社員 …… 吉田怜菜
男子社員 …… 石川伸一郎
男子生徒 …… 柿本拓実、武藤賢人
綾乃の母 …… 太田美恵
若い頃の和彦の母 …… 箭内恵理子
綾乃の幼少期 …… 西澤愛菜
和彦の幼少期 …… 黒澤宏貴
電話 …… 川口圭子

◆『復讐病院』
(脚本:高山直也 演出:石川淳一)
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雨が降る中、緑川高校の体育教師をしている石田道夫を病院か
ら呼び出されて急いで東病院へと駆けつける。息子の優二は
骨折しこの病院で手術を受けていたのだが、急な電話に対して
そんな息子に何か有ったのではないかと思い医師の元にいく。
息子が勝手に工事現場に入り込みその結果建築資材が倒れて
きて骨折したのだが、倒れた管理責任が認められて全額を
保険でカバー出来るようになったのだという。息子大丈夫かと
尋ねると今の所は何の問題もなく予定よりも早く退院出来るか
も知れない事を聞かされる。色々と家庭の事情を聞かれると
道夫は妻とは離婚し息子は一人だけだという。一日中息子の
傍にいて挙げたいが体育教師をしている手前それが出来ない
のだという。今時の高校生は大変ではないかと問うと、虐め
引きこもり、モンスターペアレント、そして体罰の問題の
ことを語る。すると確かに安易な体罰は悪いがマスコミは
一方的に書いていることも多いのだとつげ、規律の乱れや虐め
の問題など複雑な要因が重なり体罰がやむを得ない場合が
有る事を語る。すると医師は自分も高校時代に体罰を受けた
ことがあるとして、当時体罰を振るっていた教師がよく手に
していたとする竹刀をロッカーから取り出すのだった。
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過去体罰によって足を負傷した医師も人を助ける立場に
なる。しかし学生時代に体罰を繰り返し、そして自分のことを
散々殴り飛ばした教師が息子を付けて病院にやってくる。
果たして彼は体罰を受けた男性の息子を助けるのか?

二段オチのような形だけど、想定した段取りを二段階にした
ようなことをそのまんま描いた感じ。
特に何処で気持ちの変化が訪れた訳でもなく、一番最初に
この二人がかつては生徒と教師であり立場がすり替わった
としても医師でも復讐をするのではないかと思わせる展開
を淡々として描いたじ。猛一ひねり有れば良かったのにね。

医者 …… 藤木直人 (担当医)
石田道夫 …… 赤井英和 (緑川高校・体育教師)
石田優二 …… 豊友大 (息子・骨折)
看護師 …… 奥田ワレタ
高校時代の医師 …… 清水尚弥
ラジオの声 …… 田中秀平



評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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