世にも奇妙な物語
土曜プレミアム・世にも奇妙な物語'16 春の特別編

ストーリーテラー:タモリ

編成企画 - 大木綾子、池田拓也
プロデューサー - 永井麗子
アソシエイトプロデュース - 小椋久雄


リンカーン …… セバスチャン・ル・ブロック
兵士 …… ノアム・カッツ、ジョシュア・ウォルター
喪服の女性 …… シンシア・チェストン、アリーナ・フクシマ
タティアナ・アカヴォノヴァ





◆『美人税』
原案:加藤公平
脚本:高山直也
演出:西坂瑞城
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瀬戸にプレゼン資料はまだかと不機嫌そうに入ってくる平田部
長。見積もりを作ったのは誰だと激怒する中、貴島愛子は私だ
として手をあげる。すぐにやり直すというが、美人の愛子に
平田も対応が甘くなる。
時の内閣総理大臣/小野内閣は新たな財源策として美人の受ける
経済的特権に目をつむる訳にはいかないとして美人勢の導入を
する。それは性差別に当たるとして反対する声が上がるが
強引に導入が決定する。
アパレル会社の愛子は瀬戸や今井と出かけるが常に愛子が
何に置いても得をしている現実に憤怒。しかし美人税の特権
によってある時レストランで食事をしていると2人はランチ代
1000円を支払うが、愛子だけは美人税として20%の支払いを求め
られる。美人スキャンシステムというもので判定するもので、
何処にいっても同様のスキャンシステムによって税が決まって
いた。テレビインタビュワーは新橋のサラリーマンたちに
美人税導入の是非について尋ねると、導入前は一部で差別だと
言われていたが、町では好意的に取られているという。
愛子は給料日に給与明細を見るとここでも美人税/税金で先月
よりも手取りが減って居ることに気がつく。
美人税反対!!こんなの差別だとして税務課に行進していく美人
OLたち。しかし逆に職員から本当に不公平だと思うかと問われ、
今まで何度その顔で生まれてきて得をしてきたかと問われる。
愛子は思い返すと確かに相当優遇されていたことに今更気づく。
これは不公平を是正する為の税金であり、美しさというものを
公に認められた証拠。国の認めたワンランク上の美人ってこと
になると言われ、愛子は20%の税金にも悪い気がしなくなって
いた。しかしそんな中、社内の田島麗子がなんと25%の税金を
取られたとして話題になる。
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美男・美女は確かに得をしている。得をしていない人の方が
圧倒的に多いハズで、美人税なんてものが出来れば確かに
不平等な世の中に一つの不条理を是正することが出来るのかも
知れない。

しかし美女として生きる人たちにも苦労も有り、女性の持つ
美意識の際限のなさというものも感じねエピソードだった。

「ありのままの自分」って色んなところでテーマにされるけど、
美女故の苦悩というのが金以外のところで感じないところは
ちょっと安易だったかな。

笑えるのは美人税を逃れようとしたとして偽装することで逮捕
されてしまうというまさに不条理の極みみたいなところが有った
ことかな。変装するだけで罪なのか。
愛子に近づいてきた野々村という男性の存在が胡散臭すぎて、何故
愛子がそうもたやすく気を許してのかが謎だったけど・・

貴島愛子 …… 佐々木希 (美人OL)
野々村健一 …… 浦井健治 ()
田島麗子 …… 中村アン (美人OL)
…… 杉本彩 (古参囚人)
新時代の美人 …… キンタロー
平田部長 …… 近江谷太朗 (上司)
税務課 …… 小松利昌
岡弁護士 …… 村岡希美
瀬戸和美 …… 田辺愛美 (OL)
今井絵里 …… 小園茉美 (OL)
売店のおばちゃん …… 松本海希
売店のバイト …… 坂口涼太郎
総理大臣 …… 児玉頼信
ハワイアン店員 …… 田上晃吉
整形後の麗子 …… 川上友里
現代の美人 …… 夏月
地検の男 …… 中野剛

真中乃亜、春延朋也、熊谷幸洋、さつきりせ、金谷真由美
蔵原健、内藤トモヤ、おかみふみかつ、関本巧文、比佐仁
高橋美津子、黒米千春、辻川慶治、松本渉、堀内充治
サユト、荒川浩平、下島明、如月マリナ、聖奈、相生あやめ
長島夕真、鈴木翼、増田怜雄、安田夢子、玉寄世奈


◆『夢見る機械』

原作:諸星大二郎「夢みる機械」(「諸星大二郎特選集第2集 子供の情景」
小学館刊)
脚本:高山直也
演出:松木創
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何故だろうか。いつの頃からか精気が失われて単調な日々に
感じる。毎日が白々しく味気がなく感じられる。バイトとして
働いている野間崎健二は工場長から「精が出ているね。社員に
ならないか」などと声を掛けられる。彼は漫画家になるのが夢
だった。編集長に持ち込みすると、「絵もストーリーも良いが
こういう時代なので夢のあるものを描いて」と言われる。
健二は恋人の慶子に会うと、私は健ちゃんの描く絵が好きだと
して夢を諦めないで欲しいという。慶子はどうしてイラストレ
ーターを諦めたのかと問われると病気の母を抱えているので仕
送りの必要が有り、収入を安定させる必要が遭ったからだという。
健二は慶子の荷物から何かが出ているのを知り何かと問うと
セールスの人にもらったのだという。そこには「世界財団
ユートピア配給会社」と書かれたものだった。
健二はいつものようにバイトから帰宅すると、父・六郎は既に
食事をしていて、「母・直美はパートだから飯はチンして食べ
ろ」と言われる。母はパート後、健二の元にやってくると、
またこんなものを書いているのかとし、いつまでも子供みたい
な夢を持たずそろそろ就職を考えろという。
そんな母が原稿を取り上げたので取り返そうとしてもみ合いに
なると母を突き飛ばしたような格好になる。母に大丈夫かと
して声を掛けるが母は痙攣を起こしたようになり、そして腕
が取れたようになる。なんとアンドロイド/ロボットになって
いたのである。腕にはUTOPIAの文字。一体何をされたのか。
しかし父にそのことを言うが全く信用していなかった。
母はいつからニセものなのか。
翌日工場長から昨日言われたのと一言一句変わりない言葉を
かけられ、漫画の編集長からも全く同様の言葉を言われる。
何かがおかしいとして、全部作りものでウソっぽいという。
慶子と遭ってその事を話すが、彼女は今日は会社で色々と有って
疲れていると言われる。母がホントにロボットになったのだと
して見れば分かるとして家に連れて行くが、倒れた母の姿は
なかった。
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辛い今を生きるよりも夢の中の世界で生きる方が良いという
人は多いのかも知れない。

大抵「世にも・・」のパターンだと、主人公にそういう世界を
味わいませんかとして、被験者が主人公ということはよくある
のだけど、このドラマでは周りの人物が夢とか現在の世界に
失望した人たちばかりで溢れており、気がつくと殆どの人が
代替ロボットが働いていた。

この状態ならまだ良いのではないか。
寧ろこのロボットが本当の人間の世界を支配し、人間の意思とは
関係なしにうばわれてしまうことこそ怖いこと。
まだここで描かれているのは一歩前の段階で、カプセルの中で
肝心の人間たちは生きて居るし、いつでもこの世界に戻ってこら
れる。

昔の日本人は会社に縛られてロボットみたいだとされたけど、
今の世の中でもさほど変わりないところがあるんだな。


野間崎健二 …… 窪田正孝 (漫画家志望)
稲葉慶子 …… 石橋杏奈 (イラストレーターを夢に見ていた)
……すみれ (受付嬢
……山路和弘 (理事長)
野間崎六郎 …… 小野了(健二父)
野間崎直美 …… 舟木幸(健二母
工場長 …… 原金太郎
作業着の男 …… 扇内拓也
編集者 …… 橋本拓也


◆『通いの軍隊』

原作:筒井康隆「通いの軍隊」(『おれに関する噂』新潮社刊)
脚本:徳尾浩司
演出:佐藤祐市
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現在日本では世界的納豆ブームを受けて、ニュー・イバラキが
日本からの独立を宣言。ニュー・イバラキ軍と政府軍の攻撃が
起きていた。
前島夫婦はとても仲が良く、妻は夫が外食ばかりなので少し
でもと朝食に野菜を用意する。テレビニュースでは通勤タイプ
の兵士が流行っているということが報道され、お隣さんが
これに応募したらしいと妻の唯は語る。
そんな中8時6分になり、啓一郎はそろそろ通勤しなければ
ならないとして出て行く。今日も遅いのかという妻はたまに
は早く帰ってきてねと語る。
会社に着くと、尾関さんから森内さんが兵隊になったみたいだ
ということを聞く。以前この会社に勤めていた社員だった。
今では5人の子供を抱えている為に、学費のために兵士になって
いた。そんな中、毛利から納品したライフルに不都合が出たこと
を聞く、連射していると弾が出なくというものだった。
お前は先方に謝罪にいってくれという。ニュー・イバラキとの
戦闘が近いのた゜とし、司令部の方に明日の9時、鬼頭少佐に
アポを取っておいたと言われる。政府はお得意さんなので上手く
宥めて欲しいと頼まれる。
帰宅すると妻に明日は謝罪に行く事を告げ。
政府軍がいる築久までは列車で2時間くらいのところだった。
注意しないと弾が飛んでくるかも知れないなと語ると、啓一郎
なら大丈夫だと語る。明日はお弁当を作るという妻は爆弾
オニギリだと語る。
そんな中夜には軍隊グッズが送られて来る。別に入隊する訳で
はないのに・・。
翌朝、妻は夫に戦争に遅れるわよと起こしに来る。
迷彩服を着てナップサックを背負う姿を見てなかなか似合うという
妻。まっすぐ帰ってきてと言われる。
駅には上り線はスーツ姿の男性ばかり。下り線は啓一郎と同様
に迷彩服を着た通い兵士ばかり溢れていた。
前の人の新聞広告を見ると「未経験者でも大丈夫、みんな仲良く
ワイワイやっています。日給は120万円から。週休完全2日制、
有給休暇や福利・厚生も充実」しているものだった。隣人の
藤田さんにも出会うと彼も兵士になるとし、退職しても家に居づ
らいしゴルフ仲間を誘ったとのことだった。
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今時の日本人の平和ボケを象徴するかのような皮肉めいた
作品。平和ボケは良いとしても人から恐怖心を取ったらこんな
感じになるのかなっていうシミュケーションみたいだ。

よく名古屋は日本から独立するとか埼玉が独立するとか
ジョークで話すけど、納豆ブームでイギラキが国から独立する
ってところもまた興味深い。

兵士がなんの訓練もなく入隊出来るところとか、銃器がごく当
たり前のように普及していて、宅配便で送られてくるところ
など、凄い世の中。砲弾や爆撃の様子を見てキレイだと言い切
ってみたり、突然夜勤となった夫の元に妻が現れる所など、
何処か精神が病んでいるのかとさえ思う。

ただ湾岸戦争を思い出して見ると、自国のことではないと言え、
あんまり何も感じなかった印象が有るな。
まぁそんなに自分も当時年がいっていた訳ではないのであれだけど
夜に空爆や応戦する火薬の光に対して、何か不思議なものを感じた
記憶が有るな。

兵士がサラリーマンのようになってしまうことへの違和感。
上りのプラットホームにいるサラリーマンと違って活き活きとして
しまっている下りのプラットホームの兵士たちの姿。
まさにこの世の終わりという感じでした。


前島啓一郎 …… 西島秀俊 (武器製造販売、天本商事)
前島唯 …… 中村優子 (啓一郎の妻)
森内 …… マギー (元啓一郎の同僚)
毛利 …… 戸田昌宏 (前島の上司)
鬼頭少佐 …… 馬場徹 (兵士)
尾関 …… 佐藤みゆき (OL)
藤田 …… 藏内秀将 (前島家の隣人、定年後兵士)
遠藤 …… 桐山浩一 (戦士)
保衛員 …… 宇賀神亮介
アナウンサー …… 長島瑞穂

赤崎裕之、渡辺聖花、阿南萌花、山田卓也、大石夕貴
三輪和音、緒川慶永、宮野朱理、北村健人、三目尻健太郎
城野マサト、三溝浩二、武内泰彦、前田文博、田坂智史
前川和也、たじましんぺい、藤原儀輝、田所ちさ、藤田勇光
寺田浩子、藤田ひさお、中武太佑、福吉寿雄、長濱優、平山繁吏
中村優太、野々木郁也




◆『クイズのおっさん』
原作:竹本友二「おっさんの宴」(小学館ビッグコミックス「8はち」第3巻
所蔵)
脚本:宇山佳佑
演出:石川淳一
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古賀三郎はテレビのクイズ番組に出演。そして最後の問題を
解くと見事優勝する。司会者の福澤明からは初代クイズ王と
して古賀の名前が呼ばれる。そして賞金100万円と副賞として
クイズ1年分が与えられるという。
古賀は日常代わり映えの無い生活の毎日にほんの少しの変化
が欲しかった。それでクイズ王にもなったが・・・変わらない
と思っていた人生の変化の足音が迫ってくる。
ドアを叩いてやってきたのは赤と白、紅白のストライプの
スーツを着たクイズのおっさんだった。勝手にクイズを出して
いくと当たる度に時前の紙吹雪を出して祝う。これが副賞なの
か・・まさか。契約書には拒否できないと書かれていた。
出社する時にもおっさんは突然クイズを出していく。
出社する古賀だが、会社では営業成績は万年最下位だった。
クイズみたいに頑張ってくれないかと課長からは嫌みを言われ
る。社員たちもアイツは仕事が出来なさすぎだとして陰で
笑っていた。しかもいつもメンチカツばかり買ってくる変な
ヤツとして見られていた。
帰宅する際、いつもの商店街の総菜屋を尋ねる。
メンチカツを3つ注文する。店員の森本ゆみからは毎日メンチカツ
ばかりで飽きないかと問われる。ここのメンチカツが
美味しいし・・・家が近所だからという。本当は彼女目当てで、
なんとか告白したかった古賀。毎日来てくれて嬉しいですと
言われると、古賀も喜ぶ。
そしてまたしてもクイズのおっさんがアパート前で待っていて
クイズを出していく。今度来たら警察を呼びますよという古賀。
古賀は深夜、ゆみから「毎日来てくれて嬉しいです」と言われ
たことが頭から離れず、思わずメンチカツにキスしようとする。
気がつくと外は雨が降っていた。古賀はもしかしてまだあの
おっさんは居るのかと思いドアを開けると寒さに震えるおっさん
がいた。いい加減にしてくださいと言いつつもタオルを差しだし
室内に入れてスープを与える。どうしてこんな仕事をしているの
かと問うが答えず、ただおっさんは腹の音を鳴らす。メンチカツ
を食べますかと差し出す。
翌日古賀は自分は9時5時の定時なので7時には帰宅するとして
合鍵を渡す。留守が心配で最近空き巣が多いと語る。
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この手のドラマ、世にも奇妙・・には多いね。
サプライズを演出する2014年 秋の特別編のエピソードの一遍
を感じさせる。

クイズ王もクイズだけではなく、人生の一部になっていく様。
一年間暮らすとこれだけ情に厚くなれるのに、最後になって
別れなければならない辛さ。それが最後の問題という形で
現れて、クイズ自体もおっさんにとってはただのクイズでは
なく主人公を励ますようなクイズの出し方をしていて、人生を
応援してくれていると気がついた時に変なドラマだけどちょっぴり
うるると来そうなものが有る。

最近藤本泉さん、よくドラマで見かけるけど、谷村美月さんに
雰囲気が似ているなぁ。

突然人生の足下を崩されるってこと有るよな。
そんな時におっさんが居てくれて良かった。
あのお総菜屋で働いていた森本ゆみって、完全に素性もバレて
いるし訴えられるのではないのかな。
それともあれでもう総菜屋は辞めたのか。

高橋一生さんと松重豊さんの演技力に尽きるな。


おっさん …… 松重豊 (クイズのおっさん)
古賀三郎 …… 高橋一生 (しがないサラリーマン)
森本ゆみ …… 藤本泉 (総菜店、ぼったくりキャバ嬢)
…… 福澤朗 (クイズ司会者)
上司 …… 北山雅康
社員 …… 堀文明、竹田哲朗、桜まゆみ
ボーイ …… 上野山浩、坪谷隆寛
ハローワーク職員 …… 竹口龍茶
面接官 …… 潟山セイキ
飲み屋の主人 …… 岸端正浩
バイト …… 後藤ちひろ、南優
斎藤 …… 千葉ペイトン (第2代クイズ王)




佐久晋吾



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