クローザー
The Closer (シーズン3)

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第4話 身勝手な欲望 Ruby

脚本/Mike Berchem 監督/Michael M. Robin
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昼下がりの住宅街で警察やマスコミが騒然とした姿で集まって
いた。フリンは所轄の刑事たちに指示をする。
8歳の娘・ルビー・ウィリアムズ
正午に学校から帰宅するハズ
が行方不明になっていた
のである。
誘拐事件に於いては時間経過が生死に繋がってくることもあり、
皆手の開いた警察官は総動員で、ルビーの捜索に当たる事にな
る。

両親に前歴はなく、親戚筋にも怪しい人物は居ないとの報告が
入る中、ブレンダは現場に着くと、両親から話を聞く事になる。
元々は兄・カールトンと学校から帰宅するハズだったが、約束
を忘れてゲームに没頭していたという。
母親・リネット父親
はランダル
だった。
ルビーがインターネットを使用していた事は有るのか尋ねると、
学校での資料を検索する際には立ち会いの元で許可していたと
の事。サマースクールの際にはバイオリンを練習し、その時の
VTRが再生されていた。兄とのトラブルはなく、夫婦関係は
円満だという。近所との関係にトラブルもなく、また生きている
両親は父方の母だけでテキサスに住んでいるのでクリスマスに
逢いに行くくらいだという。娘には知らない人が声を掛けてきた
ら走って逃げろと教えてきたという父ランダルだった。
ガブリエルは必ず見つけだすとウィリアムズ家に誓う

ブレンダは恐らく家族はシロだと告げる。
誘拐犯は誘拐した子供を人間として見ていないので、母親を
テレビ・マスコミの前に出して、悲しむ姿を見せることが効果
的かもしれないとの事で、リネットにカメラの前で訴えてもら
うのだった。

プロペンザたちは集まってくる情報を精査していた。
学校近くに駐まっていた車に関して、緑色のトラック、青いバン
そして茶色の配送車とアイスクリームの車が有ったとの情報
が寄せられるが、緑色のトラックは庭師のもの、アイスクリーム
の車は11時前には学校前から去っていること。配送車も12時から
1時半までダウンタウンで配達している事が確認されていた。
そんな中、
青いバンは三日前から度々駐まっていたとの報告を
受ける。運転手は白人の男
としか分からず、今朝も目撃した
との情報が入っていた。更に11時半にもシルバーブルーのバン
が目撃されたとの報告を得ている為に、犯人が誘拐し逃走した
経路をフリッツらと地図を見ながら話し合う。
国道101号線の方角か、
グリフィスパークの方角か。
商店や道路に設置してある防犯カメラで午前9時から午後2時
までの車両を調べる様指示を出すブレンダ。
そんな中警察犬が何かを発見したとの連絡が入る。

現場に行くと、家からすぐ近くの裏道でルビーの着ていた赤い
ジャケットが落ちていた。ジャケットが裏側になっている事
から取り押さえられそうになり逃げた際に脱げ落ちたのだろう
との事。父親の教え通り、ルビーは逃げて捕まってしまったの
だろうと推察する。

そんな中、次々と防犯カメラの映像が入手され、バスはガソリン
スタンドの防犯映像から、該当する車のナンバープレートが
読み取れるという。4DLX401のナンバープレート車両を調べると、
カタジオシティに住んでいるロジャー・A・スティンブルのモノ
だと判明。しかも性的暴行で服役し、仮釈放中の男性だと判明
する。

すぐにロジャーの家に行き身柄を確保する。
室内や車の中を調べるがルビーの姿はなかった。
警察犬が捜索した結果、青いバンの車両にルビーが乗っていた
であろう臭いをかぎ分け、"ワン"と吠えるが、それが物証には
繋がらなかった。
またロジャーの家には
77年型のフォード社製・マーキュリーク
ーガー
が布をかけられており、古い車にシートが掛けられてい
るのは何か有りそうだと呟く。

ロジャーを取調室で話を聞く事になる。
会社は三週間前にクビになったという彼。
痴漢に扱われて、二年半の刑になり、挙げ句の果てに犬が吠えた
だけでこの扱いだとロジャーは不満を漏らす。誰も信じてくれ
ない事を嘆き、会社をクビになった瞬間、母親から縁を切ると
言われたという。
悪いのはいつでもロジャーだというのが母親
の口癖
なのだという。ブレンダは母親だけはどんなで有っても
子供の味方をするモノだとして同情心を引き出す。
そしてルビーの母親も死ぬほど心配しているのだとして、何か
知っていることが有れば話して欲しいとするが、知らないと
告げる。
しかしブレンダが席を立ち、取調室に"黒人"のダニエルズだけ
が居ると、ロジャーは態度を豹変させ、黒人の子は早熟で、
セックスに興味が有ると告げ、この写真の子もそうだろうと
挑発する。バスはこのやりとりを規則で録音していたが、プロ
ペンザは録画を停止させる。ガブリエルがこの事件の突破口を
開こうとしているのだと語る。

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少女誘拐事件が発生する。
容疑者として浮上したのは前歴のある男性・ロジャー。
目撃証言から察するにほぼ彼が誘拐したことに疑いの余地はな
いが、どうしても物証が発見されずにいた。
ブレンダが取調室から出ている間に、ガブリエルは彼に激しい
暴行を加えて、公園で少女を見かけたと証言させるが・・・

うーん、ここの所ガブリエルに対する試練が続くなぁ。
特にシーズン3に入って人種間のトラブルが加味される事が
多く、元々チームブレンダ自体がヒスパニック系と黒人・白人、
アジアンに分かれていて役割分担は為されているのだけど、
今回はその枠を越えて、黒人の結束力を感じさせるチーム"テイ
ラー"の出動と同時に、白人であるブレンダとプロペンザを如何
にその人種間の壁に食い込ませていくのかという事にかかって
いた感じがする。
ダニエルズがガブリエルの為にわざわざ電話ですれば良い様な
事を直接ブレンダの家まで言って直訴していく辺りに、愛情
や人種を感じさせるものが有ったし、いつも恋人を使い倒して
いるブレンダだからこそ、ダニエルズの期待にも応えてあげた
かったのかなと思う所も有る。

さて事件は幼児誘拐を描いたモノ。
誘拐事件に於いてはドラマでも色んな説として描かれる事が
多いが、とにかく早ければ早いほど解決する確率が高く、
逆にある程度の時間を越えてしまうと生存率が一気に下がる。
まさに体内を蝕むガンと同じようなもの。

性的な犯罪を犯しているモノほど再犯率が高いし、その犯罪者
たちの何割かは虐待を受けて育っているというのも有るのだろ
う。

犯人に同情は出来ないけど、人は生まれながらにして悪い人
は居ないとする性善説からすれば、この犯人のロジャーもまた
被害者だったという所なのだろう。

一人の警察官として、法を守るべき立場の人間が法を犯してし
まうということ。例えそれが事件を解決する為という大義が
存在しても、認めてしまうことで法と秩序は成立しなくなって
しまう。ブレンダ様の今回の決断には相当難しいものが有った
とはいえ、人は変わるモノだとするプロペンザが自ら自虐ネタ
の様に引き合いに出して、ガブリエルを守ろうとする辺り、
若者はミスを犯すものであり、先輩はそれをカバーしつつ、
成長させるという構図がドラマの中でも活きていて、上手く
構成された話だった。

事件は会議室だけで起きている訳ではないけど、今回のドラマ
は取り調べ室ばかりがクローズアップされる話で、このドラマ
らしい味が最も映し出される話だったのかも。

小さな傷を隠す為に大きな事故を装う。
テイラーらしい考えだし、悪い刑事と良い刑事のバディ関係と
いう取り調べ室での警官の役割なども基本に忠実に再現されて
いた。しかしブレンダが最後に犯人を突き放す様が実に滑稽
ではあるけど、信頼したモノを裏切るという展開故に、仮に
この犯人が釈放・脱獄する機会が有れば、間違いなくブレンダ
が危機にさらされるという怖いものも存在している。
変質者はある意味最強だよね。

ブレンダ・ジョンソン (KYRA SEDGWICK) LAPD殺人特捜班 本部長補
佐/チーフ。
ウィル・ポープ (J.K. SIMMONS) LAPD副本部長。
フリッツ・ハワード (JON TENNEY) FBI特別捜査官。
デビッド・ガブリエル (COREY REYNOLDS) LAPD殺人特捜班巡査長

ラッセル・テイラー (ROBERT GOSSETT) LAPD強盗殺人課 警部。
ルイ・プロベンザ (G.W. BAILEY) LAPD殺人特捜班 警部補。
アンディ・フリン (TONY DENISON) LAPD殺人特捜班 警部補。
マイク・タオ (Michael Paul Chan) ロス市警重大犯罪課警部補
アイリーン・ダニエルズ (Gina Ravera) ロス市警殺人特捜班捜査
フリオ・サンチェス (Raymond Cruz) ロス市警重大犯罪課警部補
クリッペン (James Avery) 検視医
バズ・ワトソン (Phillip P. Keene) ロス市警重大犯罪課取調モニ
ター室技術者
フラニー (Amy Hill) テイラーの部下、コンピュータ

ロジャー・スティンプル (Heath Freeman) 造園業、性犯罪の前歴
リネット・ウィリアムズ (Burnadean Jones) 母親
ランダル・ウィリアムズ (Jonathan Adams) 父親
ルビー・ウィリアムズ (Dallas Lewis-Hollins) 娘・8歳
カールトン・ウィリアムズ () 息子
シケイア・デイビス () 11歳、5年前に失踪
グレース・クラーク () 9歳、5年前に失踪

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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