コールドケース 迷宮事件簿
Cold Case (シーズン4)

製作総指揮:ジェリー・ブラッカイマー、ジョナサン・リットマ

、メレディス・スティーム

http://www.tv-tokyo.co.jp/coldcase3/




 

Nov. 12, 2006
第8話 ホタル Fireflies

脚本/Erica Shelton 監督/Marcos Siega
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1975年8月13日
黒人のシェリースと白人のメラニーは隣同士。
黒人差別問題が未だに根付いていた時代故に、二人は表だって
仲良くできず、洗濯干しを使って手紙の受け渡しをしていた。
メラニーとシェリースは森に行くと蛍を見に行く。
蛍は夏の終わりに妖精に変わるのだというメラニー。シェリース
はブルックリンに居たときには蛍など一度も見たことが無かった
という。妖精は空にある城に行くが、
時にトロールに捕まる
事が有る
という。シェリースは兄のテレルからは夏が終わったら
もう私たちは遊べないと言っていたとし、あんたが白人で私が
黒人だからだという。しかしメラリーは
私たちは永遠と一日の
友達だ
と告げる。
そんな中、1975年10月、メラニー・キャンベルは突然失踪し、
当時刑事は大々的に森を捜索するが、履いていた靴だけが
発見される。

スティルマンはリリーたちを現場へと呼び出す。
リリーはどうして呼び出されたのか不思議がると、
31年ほど
遅すぎた手紙が発見された
のだという。家の主が地下室に
残されていた多数の黒人宛の手紙が保管されていたのだとし
住民は当時郵便局員だったのだという。1975年は黒人への配達
をボイコットしてていた事もあって、地下室に保管されている
のを見つけその遺族が通報してきたものだという。その内の
一通が当時8歳のメラニーがシェリース・ピアース宛に送った
もので、手紙の内容には
「トロールに捕まった」と書かれていた
という。消印を見ると行方不明の日の日付でSOSの信号ではない
かというものだった。

行方不明になったのは
1975年10月23日の夜だった。
自宅の寝室より誘拐され、森で血の付いた靴が発見されたという。
ジェフリーズとスティルマンとミラーは当時の資料を目にする
中、犯人は地下室の窓から侵入したとされていた。
メラニーとシェリースは大親友で、第一の容疑者はシェリース
の兄・テレル・ピアースだったとのこと。しかしテレルは
優等生で事件など起こすような人物では決して無かったことが
記録ではハッキリと見て取れたが、事件当夜にキャンベル家の
庭にいるのが目撃されたのだという。その目撃証言には
「黒人の餓鬼が猿みたいに庭を彷徨いていた」と書かれていた。
地下室の窓枠に掌紋があり、当時テレルのものと比較したが
一致しなかったという。その後も6回尋問されているという。
白人ばかりが住む街で、黒人が来たのはピアース家が初めてだっ
たという。しかしメラリーが行方不明になったのを知った
白人
たちは不動産価値の下落を恐れて次々と街を出て行ってしまっ
たというのだった。今でもメラニーの両親だけは彼女が帰宅
するのではないかとして、この地に止まっているのだという。
スティルマンはジェフリーズとミラーにテレルとシェリースと
面会して事情を聞いて欲しいと頼む。

リリーは一人でメラニーの両親であるフランシス・キャンベル
と夫のノーマンに会うと、早速手紙が発見され、その中に
トロールの事が書いてある事を告げる。するとフランシスは
メラニーは普段から妖精とかトロールとか蛍のことを話していた
のだという。しかしノーマンは手紙の文章を見て、当時3年生
だったので、筆記体は書けなかった筈で、これは娘が書いたの
ではないという。母親は今でもメラニーは生きていると告げて
いた。
リリーが出て行こうとするとノーマンがやってくる。
出て行こうにも妻があの調子で出て行けないのだとし、私はもう
娘を埋葬できればそれで良いと語る。

ミラーたちはシェリースとテレルに会う。
テレルは当時の警察は違法に何度も尋問した事を告げ、理不尽
な事をされたという。ジェフリーズはそれでも50年代、60年代
よりはマシだと語る。庭で目撃されているがあれは嘘だと
テレルは語る。トロールについて何かしらないかと尋ねると、
トロールは嫌なヤツという意味で使われていたとし、二人だけの
暗号として使っていたという。特に
「アルヴィンが火花を散ら
す」
と言えば、洗濯ひもに手紙があるという意味で使っていた
とのこと。トロールは私たち二人の友情を邪魔するものたち
全てに使っていた言葉だという。

当時、引っ越してくる時に「クリッターは出て行け」と白人の
住民たちに言われていた事を知る。

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1975年、白人と黒人が険悪なムードが漂っている時代背景の
中、白人居住区に引っ越ししてきたピアース家によって
かき回される。町全体で黒人を追い出そうとして、躍起にな
る中で皮肉にも狙われたのは白人の女性・メラニーだった。

黒人差別が残る時代背景の中、また一人そんな臆病な時代に
飲み込まれてしまい、勇気あるものに対して、不幸な事件が降り
注いでしまうという不条理極まりないものだった。

事件としては子供たちが限りなく大人の身勝手さによって
巻き回されてしまった感じがするもので、子供に罪はないって
感じなのだろうけど、容疑者の男性にも冷静になる時間は有った
にも関わらず、あのような事になってしまったという辺り、
多少同情は失せる部分がある。
この犯人デイル役のDavid Henrie。
ウェイバリー通りのウィザードたちではセレーナ・ゴメス
演じるアレックスの兄役として、オタクだけど優等生役を
演じていたので、随分と印象の違う役だった。

大人が正しい行動が起こせずまず発生しない事件だったし、
恐怖で縛り付けられているコミュニティー内で発生した
事件は、少しの悪い事実をでっち上げるだけで、途端に
毒はコミュニティ全体に波及して言ってしまうものだなと
思わせた。歴史的に見てヨーロッパの火薬庫とされているバルカン
半島の民族問題の一触即発状態だったことや、中国との間で
領有権を主張している尖閣諸島、関東大震災に於ける
朝鮮人殺害問題などで、互いに怒りと不安感を仰ぐ人がいて
争わせることで利益を得る人がいるのだろうね。
そういう意味で、土地を売るためにそんな不安をあおり、
それをビジネスだ言い切っていたフロイドに対して一番憤り
に近い物を感じたかも。
完全に悪徳さは度を超えていたけど、何のお咎めもないのだろうか。

ただ後味の悪い事件も記憶を失いこそすれ生きていて、再会
する流れは感動的だったし、出来れば再会した時点で少し
でも多くの記憶がよみがえった事を示唆する流れがあると
良かったと思う。少し脚本家がひねくれていたりすると、
今の生活を壊したくないとして、8歳の時の人生は捨てて生きて
行きたいみたいな流れがあったりするドラマも多いからね。

家に纏わる皮肉というのも面白い形で現れている。
メラニーの妻は当時、自作自演してペンキで狙われている風
を装ってまで引っ越ししようとしていたのに、今では夫とは
立場が逆転して、娘が戻るまては頑なにこの土地を離れよう
とはしていない所かも。

白人と黒人の問題は根深く、50年代、60年代はもっと酷かった
と言い切っていたジェフリーズとか、容疑者として捜査線上
に浮上していたテレルに肩入れするミラーの姿を見ると、
このドラマ、白人と黒人がバランスの良い形で捜査官の中に
混在している感じがするね。未だに不信感がぬぐえないとする
ものたちが多いのも事実だろうけど、捜査官たちが協力する
姿を見ると、未来は明るい感じがする。


■使用された曲

・AmericaのTin Man
・Stevie WonderのLiving for the City
・The O'JaysのLove Train
・Gladys Knight & The Pips のThe Best Thing That Ever Happened to Me
・Earth Wind & FireのThat's the Way of the World
・Fleetwood MacのLandslide

リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事

フラニー・チン (Susan Chuang) 検視医
ギル・シャーマン (Kevin McCorkle) 刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
ジョセフ・ショウ (Kenny Johnson)
レイ・ウィリアムズ (Brennan Elliott)

2006年
ノーマン・キャンベル (John Aylward) 父親
テレル・ピアース (Bobby Hosea) 長男
フランシス・キャンベル (Jenny O'Hara) 母親
シェリース・ピアース (Judith Scott)
メラニー・キャンベル (Shannon Sturges)
デール・ウィルソン (Richard Steinmetz)
ウェス・フロイド (Wolf Muser)
ハンク・ウィルソン (Don Yanan)
--- (Greg Brown) Protestor

1975年
シェリース・ピアース (Gabby Soleil) 黒人娘
デール・ウィルソン (David Henrie)
テレル・ピアース (Dee Jay Daniels) シェリースの兄
フランシス・キャンベル (Becky Meister) 母
メラニー・キャンベル (Savannah Stehlin) 娘
ウェス・フロイド (Johnny Kastl) 不動産業者、恐怖を煽る
ハンク・ウィルソン (Michael Eric Strickland) 市民クラブ


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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