コールドケース 迷宮事件簿
Cold Case (シーズン4)

製作総指揮:ジェリー・ブラッカイマー、ジョナサン・リットマ

、メレディス・スティーム

http://www.dlife.jp/lineup/drama/coldcase_s4/




 

Apr. 8, 2007
第21話 蓄音機 Torn

脚本/Tyler Bensinger 監督/Kevin Bray
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1919年6月9日
ビール会社を経営するアンブローズエリザベスは、上流階級
の裕福な家庭だった。娘のフランシスは18歳になり、恋人の
ローレンスとは親同士公認の仲だった。しかし最近では禁酒法
を訴える世論が賑わせていた。ローレンスはそんな法案は絶対
に阻止するとして語っていた。エリザベスは最近では個人で
レコードを作れるようになった事を娘のフランシスに語る。
家にある蓄音機で聞ける音楽を自分で作れるなんて凄いことだ
と感動する。メアリー・ピックフォードの新作映画でも見に
いかないかとつげる中、町中では女性・アリス女性の参政権
を求める運動をしている事に気が付く。憲法修正第19条が今度
の選挙で批准されれば女性たちは参政権を持つことが出来る
だとしてアリスは先頭に立って主張する。しかし男性社会故に
街行く男性たちは女性はキッチンにいろとして、物をぶつけて
いく姿も有った。フランシスはそんなアリスたちを見てとうも
勇敢な人たちだという。
1919年6月23日。フランシス・メイ・ストーンは自宅で殺害され
て発見されるのだった。

2007年現在
フィラデルフィア市警の殺人課のリリーを尋ねてエマがやって
くる。エマはペンシルベニア大女性学の授業でリリーの事を
知った事を告げ、男性社会で活躍する女性の一例として取り上げ
られているという。フィラデルフィア市警の殺人課で唯一の
女性刑事だとするが、ヴェラは今は二人になったとしてミラー
を紹介する。エマは私の祖母の叔母のフランシスが1919年に
殺害された 事を告げ、ひいひいお爺さん(高祖父)の家の

二階から突き落とされた事を語る。20世紀初頭に名門で資産家
でフィラデルフィアで大邸宅を構えていたが今では家も金も
ないという。祖母は先週亡くなる前に、私にロケットをプレゼ
ントしてくれたとして、そのロケットをリリーたちに見せる。
そこには殺されたとするフランシスと共にローレンス・ウェイ
クリーの姿が写真で映っていた。彼はフランシスの婚約者だった
人で、叔母が殺される直前に婚約解消をしているのだという。
そんな中、隠されていた手紙を発見したのだとしてそれを見せる。

そこには・・・
「最愛なるフィル、私たちの密かな思いが知られたら命が
危ない、身長に振る舞いましょう、あなたのフランシスより」

と書かれていた。ラブレターなのか。そして婚約者にこの事を
知られて殺害されたものなのか。エマは解決して欲しいとする
が、ヴェラは例え解決しても昔の栄光が戻る事はないと告げる
が、フランシスの事を祖母は気にしていたのだとして、母変わり
だった祖母の為にも犯人を見つけて欲しいという。
これはコールドケースというよりもアイスケースだなという
ヴェラに対して、リリーは殺人課が扱う中で、今までで一番古い
案件だと語る。

当時の調書を倉庫から調べるリリーとスコッティとスティルマン。
1919年6月23日。フランシスは自宅の二階から転落死しており
首の骨が折れたこと。前腕には擦り傷が有ったとする所見が
書かれていて防御創ではないかとスティルマンは語る。
目撃者はなく、父親はフィラデルフィアで一・二を争うほどの
ビール会社を経営しているが、捜査が相当おざなりだったこと
が見て取れる。捜査資料の中に当時のゴシップ記事が挟まれて
おり、そこには派手な場でローレンスとフランシスが婚約を
発表したという記事が書かれていた。

--当時--
ローレンスはフランシスにロケットをプレゼントすると共に
彼女に指輪をプレゼントして結婚しようと語る。しかし18歳
だったフランシスはヴァッサー大学に合格しており、そこで
勉強したいと考えていた。ローレンスは本を読んだりして
自分で勉強すれば良いと語るが、彼女は実際に世界を見て
文章にしてみたいのだと語る。ローレンスは僕は理想の花婿
だと言われている事を告げ、一緒に家庭・子育てをしようと
言われる。そんな中、メイドをしているフィリッパ・アブルージ
(フィル)が二人の元にやってくる。二人の両親からの使いで
結婚の発表はしないのかと問われるものだった。フランシスは
答えに迷うがとりあえず結婚する事を語る。その瞬間、
新聞社の記者は二人の写真を撮り、結婚の記事を書くのだった。

--現在--
記事を見ると、メイドの女性は目に青あざをつけており、フィル
という名前だと知る。あのラブレターの相手だとして、フランシス
はゲイだったのではないかと疑う。
そんな中リリーの元に電話が鳴ると、急用なのでちょっと席を
外すとして出て行く。

リリーは泥酔して留置場に運び込まれている母・エレンの元を
尋ねる。ジャッキーに捨てられたとしてエレンはこんな姿を
娘に見せたくないとして顔をあげることを拒む。しかしリリーは
もう何度も目にしている事を告げ彼女を自宅アパートに連れて行く。

フィルの娘のオードリーを署に呼んで話を聞くジェフリーズと
ミラー。母・フィルの事を尋ねると、10年間ストーン家でメイド
をしていて私はあそこで育ったのだという。禁酒法で制定され
破産するまであの家にいた事を告げ、母とフランシスは親友の
ような関係だったという。フランシスはモダンな人で進歩的
思考の持ち主で、階級意識もなく接してくれた人だったという。
ジェフリーズたちは二人は姉妹以上の関係だったのではないかと
問うが、そんな関係ではないと告げ、私の母とフランシスには
秘密があったが、そんな色っぽいものではないと語る。
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リリーの元を尋ねてエマという大学生がやってくる。
祖母が亡くなった際に祖母からもらったロケットと遺品の中
から発見された一通の手紙を通して、1919年に殺害された
フランシスの件で、何かヒントになるのではないとして
捜査依頼をしてくる。1919年という月日を考慮すると
フィラデルフィア市警殺人課史上最古の事件だとして、
捜査を開始する。

シーズン3の19話に登場したリリーの母・エリーが二度目の
登場。当時ジャッキーと結婚するのでブライズメイドをして
欲しいとリリーに頼みに来たわけだけど、残念ながら
別れてしまったようで、現在は酒に溺れて相当グダグダな
生活を送っていることが分かる。
前回エリーが登場した際も古い案件(1928年の事件)だったけど
今回は更に古い1919年の事件を扱うことになる。

禁酒法時代のことと、女性の参政権が絡んでくるエピソード。

この事件当時の名家で起きた事件ということで有る意味資料が
残っていたので解決に導くことが出来た案件だけど、普通の家で
起きたのならば絶対に分からない事件じゃないかな。
何よりも女性の参政権問題でアリスという女性に関して
調べている教授が居た事も有って、当時の状況が描かれた
訳だし、当時7歳だった少女が辛うじて生きているという
ことで、それを除くとほぼ日記と警察の調書を頼りにした
ものが有り、当時の警察が正式に機能していなかったところ
を見ればどれだけ信用出来る情報なのかどうかも分からない
ところがある。

ドラマを冷静に見ていると、想像の域で語られている所も
多く、一番有力な情報はフィルの娘のオードリーが当時
政治的なことで母と被害者が精通していたことを知っていた
事と、日記の内容やアリスとの証言からフランシスがどんな
人物像だったかを想像するくらいで、留置場から戻った後
の記載に関しては、正直何処にも書かれているものが
ないので想像に頼るしかない部分が多い。
それともあのレコード盤にはその事実を告白する全てが
刻まれていたということなのか。

禁酒法時代のネタというとどうしても映画「アンタッチャブ
「ワンス・アポン・ア ・タイム・イン・アメリカ」
を思い出す。アッタッチャブルに関しては、昔書いた感想が
見つかったのでアップして起きました。
時代の変革によって奔走させられる人たちの様子が伺い
知れるものが有り、当時の家庭に対する実情と、現在の
ラッシュ家に於ける家庭の事情がへんな形でマッチング
しているところが皮肉でもある。

娘の方がしっかりとしてしまっているという辺り、当時の
フランシスの精神を脈々と受け継いでいるのがリリーであり
そして理想と現実との間によって押しつぶされてしまう
ところをエリザベスとエリスという二人の母親によって
面白く描かれた話だった。

女性の参政権を求める運動と黒人の人権を求める運動を描く
素材はアメリカでよく見られるな。
当時の女性がどれ程肩身の狭い思いをしていたのか。
この街の半数以上の女性が夫に暴力を奮われているとする
辺りの事情を聞くとゾッとするものが有るね。

当時の女性には選択権がなく自分が選んだ結果で家庭を守る
という選択をすれば母親も自信をもって主張出来るところが
有るし、こんな結末を迎えることも無かったのだろう。
自分がもっとも大事にしてきたものを自ら壊してしまうという
のだから皮肉な結末だったね。

奇しくもこのドラマを見た数日前に南アフリカで同国初の黒人大
統領となり人種隔離政策闘争の指導者として知られるネルソン・
マンデラ氏が死去されました。

■使用された曲


リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から

アンドレ・ハルステッド (Oren Williams) バスケ少年
トニ・ハルステッド (Sonja Sohn) 看護師、アンドレの母
フラニー・チン (Susan Chuang) 検死官

2007年
オードリー・アブルッチ (Ellen Albertini Dow) フィルの娘
エマ・ストーン (Tyler Kain) エリザベスの孫、大学生
ジャニス・ワーナー (McNally Sagal) ペンシルベニア大、女性学教授
エレン・ラッシュ (Meredith Baxter) リリーの母

1919年
フランシス・ストーン (Erin Cahill) 18歳、娘、転落死
アンブローズ・ストーン (Zach Grenier) フランシスの父、ビール会社
エリザベス・ストーン (Carolyn McCormick) アンブローズの妻
ローレンス・ウェイクリー (Judson Pearce Morgan) フランシスの婚約者
フィリッパ・アブルッチ (Angela Sarafyan) "フィル"、メイド
アリス・B・ハリス (Rebecca Wisocky) 女性参政権を求める
オードリー・アブルッチ (Rachel Nicole Hamilton) フィルの娘・7歳
--- (Alex Demir) Man
--- (Rob Elk) Policeman
--- (Paul Grace) Policeman
--- (Katie O'Hagan) Suffragette


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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