ダウントン・アビー 〜貴族とメイドと相続人〜
Downton Abbey

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18 Oct. 2011
第2話 招かれざる客

監督/Ben Bolt 脚本/ Julian Fellowes
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20世紀初頭のイギリス。クローリー家が住む田園地帯にある大
邸宅"ダウントン・アビー"。当主のグランサム伯爵ことロバー
トは、その爵位の継承者として、長女・メアリーの夫になる
べきハズのパトリックが豪華客船タイタニック号に搭乗して
おり、沈没したことで消息を絶っていた。遺体が発見されぬ
まま絶望視される。
結婚前に彼を失ったメアリーだが、次女・イーディスに対して
メアリーは彼は婚約者とは言えなかったとし、良い人が現れない
時の保険だったと語る。
一方ロバートとは戦友だったジョン・ベイツは脚を負傷して
おり、職にも困っていた為にロバートは"ダウントン・アビー"
に招き従者の一人として雇うことになる。しかし外部から来た
ベイツのことをトーマスやオブライエンを中心として受け入れ
ようとはせず嫌がらせをする。
そんな中クローリー家の遠縁にロバートの又従兄弟がいる事が
分かり、中流階級の医者の息子で現在はマンチェスターで弁護士
をしているマシューに爵位の所領の相続権があることを知る

ロバートの母・バイオレット中流階級で一度も会ったことの
ない見ず知らずのものに資産の全てを奪われることを心良く
思わなかった。ロバートの妻・コーラは本来は渡すべきハズで
はない持参金までロバートとの結婚の際にロバートに譲渡する
形を取っていたので、全てを奪われることに懸念を示していた。

一方マシューとその母・イザベルの元に一通の手紙が届く。
マシューは母に人生が一変することが起きたとして、一連の
ことを報告する。
テイラーがマシューたちを迎えに来ると、二人はクローリー
ハウスに連れて行かれることになる。マシューは断れば良かった
と告げるが、イザベルは爵位の継承問題などは断れるものでは
ないのだと語る。
クローリーハウスに一時的に滞在することになった二人の元に
従者としてモールズリーが派遣されてくる。
マシューは母に対して、後継者が中流階級の医者の息子となっ
たことでグランサム卿にとっては悪夢のハズだという。ボクを
貴族に変えて、最低限の被害を食い止めようとしているのだろ
うと語る。

コーラやバイオレットはマシューの事を気に入らないとするが、
私たちが気に入ろうが気に入るまいが決まったことだとして
ロバートは語る。

クローリーハウスには、モールズビーだけでなく、エレンベス
など使用人につく事になるが、マシューはコックとメイド以外
は不要だと考えていた。イザベルはクローリー家は私たちの
ことを貴族の作法も知らない人物だと思っているとし、そう思わ
れたくはないとして、面会するまでに少しでも作法を身につけ
ようとする。マシューは自分を失いたくはないし、恐らく
このまま爵位を引き継ぐことになれば、一家の誰かと結婚させられ
るのだとし、自分の結婚相手は自分で決めると語る。
そんな中クローリーハウスには、長女のメアリーがやってきて
一部始終会話を聞かれてしまう。メアリーは母からディナーの
招待のことを言いつかってきたことを語る。

一方トーマスたちはマシューの話をしていた。
オブライエンは特にマシューを嫌っており、侍女を雇っていない
貴族の相手などしたくないという。ベイツはエレンが就いている
と語る。第二下僕のウィリアムがやってくると、オブライエンた
ちにマシューたちのことを後継者として応対するのかと問うが、
相手はマンチェスターの医者の息子であることで褒め言葉の一つ
も出てこないという。それを聞いたメイド長のアンナは、貴方が
誰かを褒めたことなどあるのかと皮肉る。カーソングエン
対して小包が届いているとして手渡す。

限嗣相続制を打ち破るのかどうか。
それをやろうとしているがロバートはすっかり諦めていること。
コーラはメアリーに対してマシューたちはどんな人だったのか
と尋ねると、夫人は良い人みたいだが、息子は自惚れやみたい
だと語る。下に行って自分で判断してみたらどうかと語る。

いよいよマシューとイザベルがダウントン・アビーにやって
くる。ロバートは家族に二人を引き合わせ、そして家族を
紹介するが、予想通り反発するものたちが多かった。特に
バイオレットは相手を見下しては嫌みな態度を取る。
ディナーの際、話題はイザベルらの血筋の話になり、イザベル
の夫が医師をしていたことを知ると、この村にもクラークソン
医師
が病院を運営しており、聖トーマスに次ぐ病院だと思って
いると語る。しかしコーラはそれを否定しコテージ病院みたい
なところだが一応設備は整っていると語る。病院はロバート
の父が寄贈し、そして運営費もまかなっていることを語る。
ロイド・ジョージの保険法も運営の手助けになっているとして
ロバートはイザベルに気を遣う。
マシューはリポンで弁護士の仕事を見つけたのでそこで働く
ことを報告する。共同経営の会社で、ハーベル&カーターだと
いう。産業法が分かる人を募集していたが、仕事の大半は医者
や譲渡証書の作成だろうと語る。ロバートは仕事も良いが、
所領の運営を手伝って欲しいとマシューに告げると、週末ならば
大丈夫だという。貴族のバイオレットには"週末"の意味が
分からなかった。
本当の紳士とは働かないものだとメイドたちの間でも話していた。

イザベルは是非この村の病院を拝見したいと語る。
自分も戦時中は看護師だった事を語る。

一方下僕やメイドたちは、マシューたちの噂話をする中で、
トーマスはバイオレットのことを"婆さん呼ばわり"している
のをメアリーは聞き激怒する。
そんな中、カーソンはトーマスたちの給仕の仕方のまずさを
指摘すると、誇りの品格の精神を持つことを決して忘れるな
と語る。誇りの品格の精神によってご奉仕することによって
ご家族にも反映するのだという。ウィリアムに対しても服の
肩の綻びが出来ている事を指摘すると、二度とそんな姿で
ご主人たちの前に出るなと激怒する。カーソンは代々執事の
家系なので心構えに於いても次元が違うとスタッフたちは
呟く。
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ロバートの爵位と資産を引き継ぐ男性は親戚の息子であり
長女と結婚するであろうと思われていた、彼の乗ったタイタ
ニック号がまさかの沈没によって再び相続問題に関して
は五里霧中の状況が生まれていた。資産を引き継ぐもの
として金目当てのものが来る事も想像される中、ロバート
自身も昔はその一人だったことも有り、今回の件では
冷静に状況を見つめていく。マシューという一度も遭った
ことのない遠縁に当たるものがその権利を有するという
ことで、クローリー家を守る為には、なんとかしてメアリー
と結婚する必要が有るのだが・・・

相続に於ける明確なルールを理解している訳ではないので、
意外と分かっているようで分かっていないことが多いかも。
男性の家系にしか引き継ぐことが出来ないということで、
結果的にはマシューのような人物かいないと、婿養子の
ような形でクローリー家に入ってもらい、引き継ぐことが
出来るというものなのだろうか?
マシューは継承順位こそ低いけど、その順位が高い人物
は誰もいないということでなんとかロバート家の家系図を
広げて見つけ出してきたというところだけど、もしも
相続を受けたマシューがクローリー家の誰とも結婚を
しなければ、結果的には全員が追い出されてしまうという
ものなのだろうか。
相続するものがいない状況ではどういう事になるのか。
その辺の事情もよく分からないし、やはり年功序列の形で
マシューが結婚するには長女のメアリーしか居ないという
ことなのか。イーディスは比較的マシューを気に入っている
ようにも見えたし、メアリーには隠し球とも言える
イブリン・ネイピア閣下と呼ばれるブランクサム子爵の息子
の存在が明らかになった。
今の所マシューが相続権を握っているけど、メアリーが
ネイピア閣下と結ばれたら相続権の問題はどうなるのか。

田舎の田園風景にたたずむ豪華なお城。
ロバートとマシューが二人で散歩する中で、城について
語り合う姿が有った。
「君の目に映るのは崩れそうな煉瓦と水の氾濫を防ぐ
水路とパイプ、連鎖でひび割れた石だろうが私に取っては
人生の結晶が見える」という。
このプライドや物に賭ける情熱は、執事たちの仕事に対する
プライドとか」誇り、品格にも繋がっていて、それぞれの
役割というものをドラマでは主張していたけど、誰にも
その仕事をぞんざいに扱うことは出来ないものが有るんだよな
と改めて感じさせる。
そんなプライドとか誇り、品格に於いては位の高いものほど
意固地になって固守しているものがあり、バイオレットや
コーラたち、そしてここで働く物たちが、中流階級の男達に
対して見下したようにして接する姿には、ある程度想像は
出来てもやはり今時の価値観からすれば、無意味なものの
ように思えてしまう。

今回の案件に於けるトラブルでは、弁護士をしている
マシューには活躍する場が沢山有るのではないかと思わせる
ところが有ったけど、活躍したのはマシューではなく
寧ろ母・イザベラだった。

マシューやイザベラのような人のアドバンテージと言えば、
クローリー家のような田舎町で育ったのではなく、マンチェスター
という土地で過ごしていたことでの近代的感覚を持ち合わせている
持ち合わせていることだろう。

外者が信頼を得ていくためにはこういうエピソードの積み重ね
しかないとは思う。医者としての先端性の誇示に関しては、
ナイフやフォークを使う作法以上に都心部のマンチェスター
で暮らしていたとするマシューやイザベルの方が近代的感覚
を持っているので、"週末"って何よと語る、貴族ボケしている
バイオレットたちに一矢報いた感じはするけど、それでも
ロバートがマシューに語ったように、役割の必要性を唱える
ことは格式を守るだけでなく、領主として村人のことを
考える義務感があるのだろうね。

プライドは高いし、古き良き時代の名残をいつまでも引きずり
栄華な時をいつまでも残して起きたいとするのは、金持ちや爵位
を持つ物ばかりの論理だ。日本でも財閥なり華族制度が廃止
されたことによって、上流階級にいたものたちは一気に社会の
荒波に流されることになる。

そんな展開を見ていると、まるでエミリー・ブロンテの「嵐が
丘」を見ているかの様だ。日本でもその作品をベースとした、
愛の嵐などが描かれているけど、村人のこともどれだけ
考えられるのか。そして時代が変わり価値感が変わった際に、
金持ちで傲慢な態度をふるっていたものたちは、必ずや、
命令を下されていたものたちからは逆転的立場によって、
征服されてしまう。金持ちであっても、如何に、その中で、
従者たちに愛情やプライドを損なわずに接しているかどうかに
かかっていると思うし、この手のドラマだと、結婚が決まって
安泰かと思われた時に、死んだと思っていた婚約者が生きて
戻って来たりするので(笑)そうなった時の状況は楽しみなのかも。

執事としてのプライドを持って接していたカーソンに意外な過去
が有ったというのは驚きかも。というかこの一家はずっと、
執事の家系ではないのか?一時期はそんな仕事とは無縁の演劇
"お茶目な二人を"演じていたとのこと。
執事として完璧だとされた人物にも過去があるということで、
印象としては柔らかくなったし、ベイツが彼らを救おうとしたことで、
カーソンもまた彼のことを少し見直したのかも。
問題はトーマスとかオブライエンか。
主人の前であんな口をたたいてよく首にされないなと思う。
まぁオブライエンの場合、大きな顔をしていられるのもバイオレット
の侍女だとする後ろ盾があるからなんだろうけどね。

・The Chamber Orchestra of LondonのDownton Abbey - The Suite


ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
シビル・クローリー (Jessica Brown Findlay) 三女
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
マシュー・クローリー (Dan Stevens) ロバートの遠縁
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母

Mr.カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
サラ・オブライエン (Siobhan Finneran) 侍女
アンナ・スミス (Joanne Froggatt) メイド長

ウィリアム・メイソン (Thomas Howes) 第二下僕
デイジー・メイソン (Sophie McShera) メイド・新人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 第一下僕
グウェン・ドーソン (Rose Leslie) メイド
Mrs.ヒューズ (Phyllis Logan) 家政婦長
Mrs.パットモア (Lesley Nicol) 料理長
テイラー (Lionel Guyett) 運転手

ジョセフ・モールズレイ (Kevin Doyle) マシューの執事兼従者
チャールズ・グリッグ (Nicky Henson) 犯罪者
ジョン・ドレイク (Fergus O'Donnell) 患者
Mrs.ドレイク (Cathy Sara) 患者の妻
クラークソン (David Robb) 医師
リンチ (Andrew Westfield) 従者
--- (Peter Brown) Villager



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