シャムロック
SHERLOCK (イギリスBBC、2010年)

製作総指揮:スティーブン・モファット、マーク・ゲイティス
ベリル・バーチュー ほか 

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/sherlock/index.html





第1話 ピンク色の研究 A Study in Pink

原作/Sir Arthur Conan Doyle
脚本/Steven Moffat 監督/Paul McGuigan 
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ジョン・ワトソンはアフガニスタンに赴任中撃たれて負傷する。
そんな夢に魘されるジョンは退役し、松葉杖を突きながらセラ
ピーの元に通っていた。

そんな中、ロンドンの街では自殺が多発。
10月12日には
ジェフリー・パターソンが薬物を飲んで自殺。
妻は涙しながら会見で話をする。11月26日には、18歳の青年が
同様に自殺。1月27日には
ベス・ダベンポートという運輸大臣
政務官が自殺し建設現場で発見される。3つの事件には関連が
有ると、
レストレード警部は記者会見場で話す。全てに共通
するのは行く理由の無い場所で死んでいること。記者達は執拗
に警部に質問を繰り返すが、その都度警部が返答すると、
記者達の携帯に"違う"と何処からともなく返信が送られてくる。

マイクはかつて同じ職場で働いていたジョンに声を掛ける。
ジョンは退役後に年金で生活しているが、ロンドンでは家賃が
高いので引っ越しを余儀なくされていた。
マイクはジョンは自分の職場に連れて行き、シャーロック・ホ
ームズに逢わせる。
ホームズはジョンの事を見ると、すぐに経歴やら全ての事を
言い当てる。しかも自分が松葉杖でいる理由やら、精神的な
傷を背負っていることを言い当ててしまう。
こちら側が何も言わないうちにホームズは、ルームシェアに
ついて語り始め、一緒に住むならば明日の7時に家に来て欲しい
と告げる。ジョンは名前も住所も知らないのにいけるはずは
無いと告げると、ホームズは軽い紹介を語り始める。

ジョンはインターネットでホームズの事を調べる。
ホームズは
"推理の科学"という自分のページを開設しているのを
知る。

ジョンは言われたとおりに
ベーカー街にある家を尋ねる。
ホームズから大家は
ハドソン夫人だが、彼女のことを助けたので
この家を格安で借りられることを語る。
ジョンはホームズが何故自分のことに詳しかったのか尋ねると
ホームズは初めてあったときの彼の洞察力を披露する。
携帯電話から得た情報からジョンの姉
ハリー(ハリエット)
事やそのパートナーの
クララについての事など詳しく言い当てて
いた。

そんな中、"自殺"事件に第4の犯行が起こった事を聞かされる。
今度の被害者は遺書のようなものを残していると警部に言われ
ホームズは心を躍らせる。鑑識が
アンダーソンだと聞くと彼は
幻滅し、ジョンを助手として連れて行くという。ジョンは
陸軍の軍医をしていた。

4人目の被害者・
ジェニファー・ウィルソンの遺体が発見された
現場(
ロリストン・ガーデンズ)にいくと、サリー・ドノヴァン巡査部長
から声を掛けられる。
ホームズの事を良く思っていないサリーは、彼を
"変人"呼ばわり。
そんなサリーとアンダーソンの香水のニオイをかぎ分けるホー
ムズは、昨晩彼の家に泊まっただろうと言い当ててしまう。

現場を見ると、ホームズは服装の湿り気や、左のポケットに
しまってある傘が乾いている事から、地方出身者で
カーディフ
に帰る途中だったのだろうと言い当てる。また現場に残された
ダイイングメッセージ"RACHE"からドイツ語の復讐を思わせる
が、彼は"RACHEL"だと疑う。また装飾品から、結婚歴や愛人が
沢山いること、爪の状況から職業など言い当てる。
携帯電話とスーツケースが無いことに気がつく。スーツケース
を持っていた事の理由に、足のストッキングにスーツケースを
引きずった様な水滴が付着していたのだった。
犯人が持って行ったのか、それとも車で来た際に置き忘れて
行ったのか・・・犯人のミスだとして、ホームズは一人スーツ
ケースを探しに出て行ってしまう。

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コナン・ドイルの原作を大胆にアレンジした「21世紀版シャー
ロック・ホームズ」。2010年、イギリスBBCで放送され大反響
を呼んだ話題作。

BAFTA(英国アカデミー賞)ベスト・テレビドラマ賞受賞
エミー賞(2011年)ミニ・シリーズ部門 脚本賞、ほか 
ノミネート中。


といった感じの話題作が日本でもいよいよ放送された。
NHKは結構イギリスとのパイプラインがあるのか、話題性のある
作品をよく放送してくれますね。
現在第二シーズン制作中との事だけど、一話の内容を見た限り
ではかなり期待できるものかもしれない。

一話は連続殺人事件を追ったもの。
なんの情報も無く、当初は自殺の線で処理されていた事件だが
三件、四件目と来て同じ薬の存在が明らかになり、ホームズに
白羽の矢が当たる。

CSIなどの影響で最近は証拠固めのドラマが作成されるけれど
どちらかというとこのドラマでは、ホームズの瞬間の観察眼
やら洞察力によって、あっという間に論理立てて事件を解決
していく。

冒頭から見事に視聴者を惹き付けるだけのキャラクター像を
描き出しており、その能力の一端が分かるというもの。
心を閉ざしていたワトソンがそんなホームズに心を奪われていく
のもよく分かるが、ドノヴァン刑事が語っているように、
犯罪に興奮する変態は、退屈する物で、その内自分から人を
殺し始めるという主張が、なんとなくホームズというつかみ所
の無い人物をより不気味な所に追いやっている気がする。
ただそんな彼と一緒に居るという選択を見せるのも、陸軍の
軍医をしていたワトソンの肝の据わり方にも一因なのかも知れ
ないね。最後に見せた彼の銃の腕が全てを物語っていた。

タクシー運転手が犯人。
都会の中で誰にも疑われずに連れ去ることが出来る人物。
何故この運転手はこれまでの被害者に対して自分から毒を
飲ませることが出来たのかが、ドラマの最大の興味として
映る物の、その辺のツメはやや甘かったような気がする。
確かに天才肌のホームズならばあの場面で飲んでも別におかし
くはないが、それまでの4人は何故そこまでして薬を飲んだ
のかイマイチ説明が不足する。

また犯人のタクシーを追いかける際のロンドンの地理を
把握したようなホームズの行動は確かに面白いのだけど、
ちょっぴり滑稽に思えたシーン。なんとなく優男のような感じ
がする割に運動神経にも長けた部分があるのかな。

ドラマに共通して、ワトソンが何故怪我を装っているのか
謎として残るし、またホームズ家の兄弟の葛藤も謎として
存在する。そして犯罪者を影で操っている"組織"の存在は、
果たしてなんなのか。最後に犯人はモリアーティという名前を
口にしていたね。

シャーロック・ホームズ (Benedict Cumberbatch) コンサルタント
Dr.ジョン・ワトソン (Martin Freeman) 軍医
レストレード (Rupert Graves) スコットランド・ヤード・警部
Mrs.ハドソン (Una Stubbs) 大家
モリー・フーパー (Loo Brealey) 研究室の女性、口紅
サリー・ドノバン (Vinette Robinson) 巡査部長
エラ (Tanya Moodie) 精神科医
ヘレン (Siobhan Hewlett)
ジェフリー・パターソン (William Scott-Masson) 自殺
マーガレット・パターソン (Victoria Wicks) 妻
ゲイリー (Sean Young)
ジミー (James Duncan)

--- (Ruth Everett) 政治の補佐官
--- (Syrus Lowe) 政治の補佐官
ベス・ダベンポート (Katy Maw) 1/27自殺、運輸大臣政務官
--- (Ben Rufus Green) リポーター
--- (Pradeep Jey) リポーター
--- (Imogen Slaughter) リポーター
マイク・スタンフォード (David Nellist) ワトソンの元同僚
ジェニファー・ウィルソン (Louise Breckon-Richards) 4人目被害者
アンダーソン (Jonathan Aris) 鑑識、ホームズは気に入らない
アンシア (Lisa McAllister) マイクロフトの秘書?
アンジェロ (Stanley Townsend) 店主、杖を届ける
--- (Peter Brooke) タクシー乗客
ジェフ (Philip Davis) タクシー運転手、犯人
ジミーの母 (Alison Egan)
マイクロフト・ホームズ (Mark Gatiss) 兄、英国政府に関与?


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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