続ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所
Harry's Law (アメリカNBC 2011年〜) シーズン2

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17 Dec. 2012
第9話 危険な伝統 Head Games

脚本/David E. Kelley
監督/Stephen Cragg
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トミーは地方検事補のキム・メンデルソンと面会する。
トミーは自分が担当するクライアントの件で、キムとの取引
を打診にいったのである。トミーが担当したのはシングルマザ
ー・エレーン・リスターで、彼女は不況によって職を失い、
住宅ローンが支払えず家を差し押さえられた挙げ句、子どもを
養うことが出来ずに差し押さえをしたJPモルガン傘下の銀行・
ヘリテージ・ユニオン銀行銀行強盗に入ったのである。
キムは同情に値するが、刑期は20年だと語る。トミーはこの
女性は子どもたちを飢えさせないようにする為仕方が無かった
事を語り、5年の刑期に減刑して欲しいと語る。過去に犯罪歴
もないし、子どもたちと引き離すのは不憫だという。
しかしキムは手を開くアクションを見せると"ファイナルオフ
ァー"だと語る。

トミーは事務所に戻るとハリーたち弁護士全員を集めて、
独創的アイディアが必要だと語る。そんな中キャシーは、
「悪いのは政府だ」抗弁をしたらどうかという。普通は不当な
おとり捜査などで使う手口だが、住宅ローンの危機を起こした
のは政府だと訴えかけるのだという。トミーはキャシーのアイ
ディアが素晴らしいとして、自分と組むよう求める。

ジョンスーザン・ダギンは、16歳の息子・フィリップ
フットボールの試合中に亡くなった件で、訴えを起こす為に
ハリーの元を尋ねていた。学校側は一切の和解に応じず一セント
も出さないと言ってきていること。自分たちに非があることを
認めれば責任が大きくなりすぎると思っているのだという。
しかしハリーはダギン夫妻が、フットボール部があるという
だけでマッキンリー高校を訴えようとしていることに対して、
ちょっと無理がある事を告げる。ダギン夫婦はそれでも裁判で
負ける方が良いとして、訴えを起こして欲しい事を告げ、
世間にフットボールの危険性を知らせたい事を告げる。
しかしハリーはスーザンの証言録取をした後に相手は略式起訴
での判決を求める筈で、そうなると陪審員の前でさばかれる
以前に判事は訴えを却下してしまうのだという。しかしダギン
夫婦は息子を失った事を告げ、これ以上に状況が悪くなること
などないとして、このまま訴えを続けて欲しいと頼む。

銀行強盗の裁判が始まる。
検察側のキムは、銀行の防犯カメラ映像を元に、当時の状況
を説明する。当時銀行の窓口にいたマーニー・ラッサート
被告であるエレーンから窓口でメモを渡された事を告げ、
そこには、「銀行強盗に来た、銃を所持している、金を渡せ」
と書かれていたという。彼女は以前からこの銀行を利用して
顔見知りであり、マスクもかぶることをしていなかったので
何かの冗談だと思ったという。しかし弾が入っているとして
銃口を突きつけてきたのだという。
トミーは反対尋問で、エレーンが2年前まで毎日この銀行に
通ってきていたことをマーニーに確認を取り、何故来ていた
のかを問う。支店長でローン担当者と話す為に通ってきて
いた事を告げ、彼女はローンを支払えず銀行に自宅を差し押さえ
されたのだという。マスクをかぶっていないということは
逃げるつもりはなかったとは考えられないかと問うと、寧ろ
現状を社会にアピールする為の犯行とは考えられないかと
問う。

アダムはハリーと共に帰宅するとチュンホアから、ボストン大
アイラ・ゴールド博士から電話が有ったと聞かされる。

口頭弁論の場にハリーとアダムは向かう。
原告のスーザンはフィリップが亡くなった試合のビデオを
流しながら状況を訴える。息子はマッキンリー高校のフットボール
選手でクォーターバックをしていたこと。試合中にタックルされ、
倒れているがなかなか起き上がれず蹲っていること。一度は
立ち上がったが5分後に倒れて病院に運ばれ亡くなったということ。
被告側弁護士のギルデアは、コーチたちは選手に対して適切な対処
はしたかどうかをスーザンに問う。スーザンたちはマッキンリー
高校は危険なことをしているのだという。しかしギルデアは
フィリップ本人も両親もフットボールが危険なスポーツである事
は予め認識している筈であり、責任免除の書類にもサインして
いる事を告げる。しかしスーザンたちはタバコなどを例に挙げて
最初は危険なものだとは知らなかったものだと告げる。
するとギルデアは貴方が問題にしているのはマッキンリー高校
ではなく、フットボール自体を非難しているのか?と問う。
スーザンはフットボール自体も問題だが、コーチの元で活動を
していた限り、マッキンリー高校自体も問題に含まれると語る。
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●フットボール裁判

罪状・フットボールは危険なスポーツだ
担当・ハリーとアダム

初めから負け戦のような案件だった。
今回トミーが担当する事件もこの事件も、基本的には裁判
に勝利をするのは難しいけど、一石を投じたいとする
両親の切実な思いというものが有ったのではないかという
感じのものだった。

最近のアメリカの裁判ドラマを見ると、訴訟社会であるが故に、
事前にリスクが知らされる状況の中、家族もそれを承知だ
とする書面で署名が有るにもかかわらず、そういう契約書が殆ど
意味を成していないという部分が有るなぁと感じる。もちろん
その免責書がなければ、もっとすんなりと法廷に持ち込まれたもの
なのかもしれないけどね。

フットボールは見ていても本当に危険そうなスポーツ。
ただ判事が語っているように、このスポーツ自体が危険性
を含んでいるということはアメリカでも度々議論に上がる
もので珍しい主張ではないということ。これまでと違う
ところは科学の発展によって、亡くなることへの仕組みが
解明されたということだ。この手の訴えが通ると、
フットボールプレイヤーの体を守る為の防具等を作る企業
にさえも訴えようとすれば可能ではないかと思えるところがあって
きりがない。そしてどんなスポーツも法律の前では
リスクが高すぎてまともに競技が出来なくなるような気がする。
一番説得力があるのは、頭の良いアメリカの大学・UCLAなどでも
危険性は十二分に承知でも、フットボールという部活自体がどの
学校にも存在しているということだろうね。

ハリーらしさが出たのは判事から証人は一人だけと言われたのに、
そんなの関係無いとばかりに二人目を呼んでしまうところかも。

統計的には車の運転の方が危険だとして統計からの論者に皮肉を
言ったり、ハリーが放送禁止用語を語るというシーンも描かれた。
私が神が存在すると知る事の出来ることは、オハイオ州大が
ミシガン大をXXXしたときだ」と。

上述したようにフットボールが危険だとされる主張は珍しくない
ようで、重要な場面で度々引用されることが多かった。
ハリーはマルコム・グラントウェルという作家がニューヨーカー誌
に寄稿した「フットボールと闘犬」という記事を引用。
判事もルーズベルト大統領やシカゴ大教授の話を引用して
フットボールに対して視線を語っていた。

●銀行強盗事件

罪状・武装強盗
担当・トミーとキャシー

これまた凄い案件だった。
政府が悪いと言えば確かにそうなのかも知れないし、銀行や
投資会社のせいで市場が混乱しているのも事実。普通の不況と
違って政府の規制緩和とサブプライムローンやリーマンショック
なども重なり、多岐にわたって被害者が出てしまっていることだ。

どちらの主張にもそれなりに筋の通った言い回しだけど、
トミーがキャシーからの助言で戦略を変えて政府に責任を
擦り付けようとした弁護士のやりとりを見た分、司法制度の
嫌な側面を見せられた感じがするし、裁判に勝つためには
なんでも有りかって気がしてちょっとこの件はトミーが担当した
ことで不利な面も多かったかも。本当に被告が同様のメッセージ
性をもって行ったかどうかに関しても、かなり疑問点が残るし。

最終弁論はキムもトミーも上手かった。
キムはやたらと自信を持っていたのが印象的。
トミーの主張や戦略が上手かった分、負けるかも・・って
感じだったけどね。ハリーが担当していたら無罪だろうな。

キムの主張は・・
被告がごく普通の人間であること。
シングルで悩みを持ち、お金に困り、善良な市民が容疑者である
ということが寧ろ犯罪に於けるリスクがあるということ。
社会不安が増大する状況の中で、誰もがそんな罪を犯した人物に
同情的でまるで犯罪者ではない立ち回りをしていることへの
警鐘を鳴らすものだった。

一方トミーは・・
政府は金融業界に救済のために公的資金の投入をしたにもかかわらず
一般市民には何の恩恵もない(と感じる)ところ。
ハリーと同様に放送禁止用語を使って、「ウォール街の泥棒がXXX
し尽くした」として、銀行や投資家に逮捕者は出ていないのに、
市民にだけ責任を課すのかとするものだった。

ただ正直銀行強盗を英雄として転化している辺りはちょっと
引いたかも。


■その他

チュンホア

いよいよ事務所で働き始めた彼女。
アダムの秘書という面目で雇われていたんだね。
チュンホアはオリーに目を付けられてコーヒーに誘われる
も、アダムがそれを阻止しようとする。これぞハリーが
恐れていたことなのか。まぁチュンホアがビシっと私生活
にまで関わるなとアダムに語ることでこの問題は解決しそう。
子供じゃないんだから、人を見る目は彼女にだって有るし
その上が傷ついたのだとしたら、それは本人の責任だよね。

■使用された曲



■検索用キーワード



ハリエット・“ハリー”・コーン (Kathy Bates) 特許法弁護士
アダム・ブランチ (Nathan Corddry) 若手弁護士
キャシー・レイノルズ (Karen Olivo) 新人弁護士・元検事
トミー・ジェファーソン (Christopher McDonald) ハリーと共同
オリバー・リチャード (Mark Valley) ハリーを認める弁護士
ジョシュ・ペイトン (Paul McCrane) 検事から弁護士へ
チュンホア・ラオ (Irene Keng) アダムの元恋人
ファン・ラオ (Kaidy Kuna) クリーニング店
リサ・スワーツ (Dana Sorman) トミーのアシスタント
ヴィニー・デルガド (Frank Renzulli) 探偵

キム・メンデルソン (Camryn Manheim) 地方検事補
レンモンド・ギロット (Dan Lauria) ハリーの裁判での判事
Mr.キルデア (Omar Metwally) マッキンリー高校側弁護士
スーザン・ダギン (Clare Carey) 息子・フィリップを試合中失う母
シャーリー・フランクリン (Judith Moreland) 判事
エレーン・リスター (Alison Martin) 銀行強盗、シングルマザー
シャープ (Jonathan Adams) Phillip Duggin's Treating Physician
アイラ・ゴールド (Rob Brownstein) ボストン大学教授・脳の研究
マーニー・ラッサート (Melissa Tang) ヘリテージユニオン銀行・窓口
Mr.グレイ (Matthew Arkin) ヘリテージユニオン銀行・ローン担当
ジョン・ダギン (Jeff Corbett) フィリップの父
--- (Patrick Falls) Foreman
--- (Alexandra Amadio) Duggin's Friend
--- (Seth Bailey) Juror
--- (Dingani Beza) Loft Assistant
--- (Allan Graf) Referee
--- (Courtney Hart) Cheerleader
--- (Monika Kirkland) Courtroom Observer
--- (Chance Moore) Football Player
--- (Caroline O'Neil) Juror


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