ホームランド
Homeland

オリジナル:Gideon Raff ("Prisoners of War")

http://video.foxjapan.com/tv/homeland/
http://www.dlife.jp/lineup/drama/homeland_s1/




 

Dec. 18, 2011
第12話 決意の果てに Marine One

脚本/Alex Gansa、Howard Gordon 監督/Michael Cuesta
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トムはテロリスト計画の駒に過ぎず、ナジールには副大統領
を狙撃する以外にももっと大きな計画があるはず。暗殺は
ナジールの手段とは違うとするキャリーはその事実をソール
に訴え、更にはナジールのここ数年間の行動を分析した結果、
まるで活動をしていない"紫"の期間がある事を知って、その
時期にイラクに居たブロディに事情を尋ねようとして電話する
が、ブロディはCIAに連絡して、キャリーのことを通報する

1日目
ブロディはガレージ内で犯行声明をVTRに収める。

「私には愛する2人の子と妻が居る。これを見る頃には私の話題
で持ちきりだろう。私の行動を説明しておきたい。真実をと。
2003年5月19日、イラクの自由作戦で狙撃兵の任務遂行中、私は
フセイン側の兵士に捕虜にされ、アルカイダの司令官ナジール
に引き取られた。彼はシリア国境付近でテロ組織を運営していて、
8年以上換金されていた。殴られ・・・拷問され・・・孤独に
耐えさせられた。人は私を人格を破壊され洗脳をされ、テロリスト
にされたと思うでしょう。自由を憎むテロリストに。しかし
私はアメリカを愛している。アメリカの海兵隊員であり、父
や祖父もそうで、海兵隊員としての誓いもたてた。
「国内外両方の敵からアメリカを守る」と。今日の行動は
国内の敵に向けたものだ。副大統領と安全保障担当の閣僚は
大嘘つきの戦犯だ。非道且つ残忍な行為をし、その責任を免れた。
私は正義を全うした。彼には82名の子を殺して事実を隠蔽し、
彼らの残虐な好意は国家の恥だ」と

ソールはキャリーの容体が心配でマギーの家に行く。
現在キャリーは深刻な状態で食事も取らずに部屋から3日間も
出てこないのだという。薬がそろそろ効き始める頃ではない
のかと問うが、躁状態から続く鬱状態になっているという。より
治療が難しい状況だと。ソールはチキンスープを持ってきた
事を告げ、これは神様の万能薬だと語る。
キャリーはソールに管理休暇とは何なのか?と問うと、刑事責任
には問われないがCIAには復帰できない処分だという。
ソールはキャリーがベッドに横たわり不調だと聞くと、長居は
しない事を告げる。キャリーはソールにナジールがしばらく悪事
を働けない理由を話してというが、機密事項だとして話せない
事を語る。とにかく元気になれと告げるソールに、キャリーは
この件の調査だけは続けてくれているのでしょと問う。決して
投げ出さないと約束してと。
キャリーはソールにブロディはなぜ私のことを掴まえさせたのか
と問う。ブロディがエスティスに告げ口したが、その理由は
たくさんあり、最も重要なことは彼は選挙に出るので彼には
君が最も邪魔な存在だという。君は彼に毒されてすべてを
失ったのだから忘れるべきだとするが、キャリーは無理だという。

ブロディは撮影したVTRのSDカードを持って取引場所に行く。
SDカードを石垣に隠すと、ベンチにチェークで合図を描く。
その頃、トムはコミュニティセンターを訪問しているイザベル・サミュラ
の車の後部座席に密かに潜り込んでいた。

副大統領は関係者を集めてパーティーを開く。
その席で三年前にエリザベスが私を副大統領の座に背中を押して
くれた事に感謝を示す。リチャード国防長官に対して君は次期政権の
核となる存在であることを告げ、自分は明日大統領選挙に出馬
するとみんなの前で公表する。我々は一致団結してアメリカを
再び世界のリーダーにしようと。
そこにはエスティスやウォルトも居た。エスティスは副大統領の
ウォルデンに対して、せめて明日の発表は場所を変えて発表して
欲しいと頼む。しかしウォルデンはトム一人を恐れすぎだと
告げる。君には国土安全保障省もついているのでうまくやって
くれとエスティスに頼む。

国務省では明日副大統領が大統領選に出馬発表する為に、
物々しい厳重な警備が行われていた。警官隊は近隣住民たちに
対して交通規制・検問を行う。国務省近くに住んでいたイザベル
もその検問で取り調べを受ける一人だった。イザベルの車に
乗り込んでいたトムも一緒に厳重な警備をくぐりエリアの中へ
と入っていく。

一方キャリーの元にはマギーに頼まれてヴァージルがやってくる。
君が眠るので監視に来た事を告げる。

その頃ブロディ家では、息子のクリスが野球の試合があるのに
父・ブロディが来られないという事を聞いて残念がる。
ジェシカは選挙があるので仕方がない事を告げ、試合はまた
次があるでしょと説得する。
家族が食卓に付く中、ブロディが食事のお祈りをして、神に感謝
する。デイナはそんなブロディの姿を見て、不安が少しずつ増大
していく。

みんな眠れない夜を過ごす。

ブロディはナジールからの言葉を思い返していた。
「死は運命で決められている。そして生には意味があること。
人生は定められた道を探す旅であり、魂を清めるのだと。肉体
の世界は忘れて残りの時間を意義有ることに使え!無意味に過ご
した人生は最早過去の物だ。進む道は見えている。君はよく
分からないまま戦いに挑んだ。そして真実を知ったのだ」と。

ブロディは一人ガレージで祈りを捧げる中、そこにデイナが
やってくる。デイナはブロディがアラビア語で不自然な行動を
取っていることに益々不審がるが・・・
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■ほぼ想定内の展開

意外性のある展開というのはそんなに多くはなかったような
気がするけど、シーズン2が既に日本でも公開されている状況
だし、更に次のシーズンへと進んでいくのでどうなるか気に
なるものが有った。

24のCTUのジャック・バウワー同様にキャリーが政府組織から
はじき出された状況の中で、一番正確に状況を把握しているのが
彼女であるという点ではまさに女性版ジャックって感じだけど
あまり銃で首領蜂しないところが有り、無差別テロではなく
ターゲットが決まっている状況の中でも攻防ということも有って
心理戦の方に重点が置かれている分、面白いところがあるね。

■行き違った運命

トムとブロディ。
二人共に家族がアメリカに存在し、実行する直前いずれも
家族と一度は会話して心を通わせている部分もある。
ただブロディの場合、アメリカに戻り家族と過ごしていた分だけ
情が発生しているところも有って、容易には踏み切れない部分
が有ったのだろう。

取調室に於ける「悪い警官・良い警官」作戦のようにして、
トムは悪意有る生還者、ブロディは英雄的扱いを受けて帰還した
とする状況もまた対照的な感じだし、トムがアクションを起こして
ブロディがアクションを起こせなかったところもまた、トムは
銃器を使った殺害であり、ブロディは自爆する形の殉職者的扱い
だったこともあるのだろう。

前回の展開の中でデイナ頼みと書いたけど、まさに彼女の役割は
大きかった。展開上うまかったのはデイナの心に訴えかけたキャリ
ーに功績を挙げさせずに益々キャリーを異常者として扱い、
一拍おいた状況の中、デイナ自らの声を使ってブロディに訴えかけた
点だ。

■ブロディそしてトム

やはりこの二人の存在を無くして語れないシーズン1。
海兵隊員として戦場の友は家族・兄弟以上の関係にも思えるけど、
海兵隊精神以上にイスラム教徒としての信念が勝ったというところ
なのだろうか。
トムが何故ナジールに荷担することになったのか。
ブロディはナジールの子供の面倒を見て、目の前で82名の学生が
亡くなっている事実を目の辺りにしたから、それなりの肩入れする
だけの事情は存在する。
ブロディが養育していたのはナジールの10歳の末っ子だとしていた
けど、トムもまた別の場所でナジールの子を育てていたするような
事実があるのだろうか。一夫多妻制のイスラム教徒であるならば
その可能性は十分にある。
ナジールが学校の近くに潜伏していたとするのも、アメリカ軍は
子供や学校に攻撃することは無いと考えてのことだろうけど、
なんともこざかしい人物だ。アメリカの副大統領の行動は確かに
非道だけど、それ以前にナジールがどれだけテロリストとして
被害者を出していたのか、そして子供を盾にしている現実を考えれば
被害が子供に及ぶ可能性を知りつつ、隠れ蓑にしているナジール
も十分に憎むべき物がある。
洗脳されていないと冒頭のVTRで語ってはいたけど、十分にブロディ
はテロリストの掌で転がされている。

■君の脳が好きだ

恋愛に於ける文句の一つに「骨まで愛して」というフレーズが
有る。検索してみると1966年に発売されたCDのタイトルの様だけど
キャリーが自分に幻滅して過去の記憶を消すために脳に電気信号
を送るとする治療法を試す直前、駆けつけたソールはキャリーに
対して君の脳が好きだと語っていた。

現在鑑賞中のグレイズ・アナトミーのフェロモン男・デレク医師
は脳外科医であり、シーズン4ではメレディスと共に脳腫瘍に対して
ウィルスを使って相殺させるということを行っていたことがある
けど、今回の実験的な記憶除去の方法論を見ると、平成のロボトミー
手術のようで脳に対する治療・精神疾患の患者に関してはまだまだ
怖いものがある。

ただここ数年のアメリカのドラマでは度々PTSDの治療法などに記憶
を都合良く消せるような治療法のことが取り上げられているので
そんな時代も来たということなのだろうか。

■気になる要素

キャリーが国防省に駆けつけた際に、私を中に入れてくれとソール
に告げた際に、ソールはベントン捜査官(シークレットサービス?)
に掴まえるように指示していたけど、これって建物内に入れる為の
作戦なのかと思って見ていたのだけど、やはりソールはキャリーが
暴走しないか心配して拘束しようとしていたのかな。

また一連の事実を知っているのがソールだけってところも気になる。
一度掃討作戦時の資料を調べろとガルベス捜査官に電話していたけど
キャリーがCIA内部と精通する為の唯一の存在がソールだけだし、
ソールが追い払われると、なかなか問題は難しいところにいきそう
だね。生きた証人であるソールを処分してしまうということも考え
られなくはないので、唯一の命綱って感じがする。

■アイサ・・・

キャリーの記憶がある最後に放った言葉がアイサだった。
第9話「クロスファイアでブロディとキャリーが一夜を過ごした
際に寝言でブロディが語ったのがこの言葉だった。
なかなかナジールの息子の名前がアイサだというところにたどり着か
なかったので、死刑台に立つ直前に真実が明らかにされたようで
なんとも酷な状況で次期シーズンへの橋渡しとなった格好だった。

忘れてはいけない・・・。視聴者もまたこの時の状況は忘れずに
いる必要があるのかも。

記憶が無くなる直前にブロディとの関係を思い描くというのがまた
なんとも言えないところだったね。
ソールはブロディはキャリーの全部を壊した男だとして説いていた
けど、一度愛した相手の事は他人には理解が及ばないほどに
固執するものが有るんだろうね。

■かく乱作戦

トムとブロディが行ったのは、トムが狙撃で囮で混乱させている間
に、自爆テロスーツを身につけたブロディに対して、セキュリティゲー
トに於ける金属探知機をすり抜けるために工作する為のものだった。
被害者は副大統領主任政治顧問のリジーだったけど、副大統領を
あの場で射殺することも可能だった訳で、最後まで残したのは
ブロディの復讐心を削がない為の行動だったのだろうか。
この辺はなかなかうまかったし、一度目に爆発しなかった辺りの
フェイクの流れは、「運命」って感じがして、上手いこと逆にブロディ
の気持ちの切り替えに上手く利用出来たなという感じだった。

■気になる今後

シーズン2を見る時に忘れない為にメモ。

・キャリーの扱いがどうなるのか。記憶は本当に消えるのか。
・政府関係者、またはCIAの内部の内通者の存在
・ブロディの残したSDカードの行方
・大統領選挙とその後のブロディの政府内の立場。人を殺さず思想を殺せ作戦。
・イスラム教徒に改宗したブロディ
・テロリスト掃討作戦の資料 (特にイラク攻撃決断時のDVDが残っていた)

■使用された曲

・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland Main Title
・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland End Title
・Foster the PeopleのPumped Up Kicks


■検索用キーワード



キャリー・マシソン (Claire Danes) CIA
ニコラス・ブロディ (Damian Lewis) 2003年行方不明、軍曹
ジェシカ・ブロディ (Morena Baccarin) 妻、マイクと不倫
クリス・ブロディ (Jackson Pace) 息子
デイナ・ブロディ (Morgan Saylor) 娘
ソール・ベレンソン (Mandy Patinkin) キャリーの上司
デビッド・エスティス (David Harewood) CIA副長官・黒人
マイク・フェイバー (Diego Klattenhoff) ニコラスの同僚、メガネ
ピーター・クイン (Rupert Friend)
ヴァージル (David Marciano) 盗聴、ハゲ
アブ・ナジール (Navid Negahban) アルカイダの長
マックス (Maury Sterling) 盗聴、弟、尾行、メガネ

エリザベス・ゲインズ (Linda Purl) "リジー"、副大統領主任政治顧問
フォスター (Scott Bryce) 海兵隊・上官
ラキム・ファイサル (Omid Abtahi) ブライデン大学助教授
アイリーン・モーガン (Marin Ireland) ラキムのパートナー
ラティフ・ビン・ワリド (Alok Tewari) 皇太子の執事長
ダニー・ガルベス (Hrach Titizian) CIA職員、エステスからキャリー監視を
マギー・マシソン (Amy Hargreaves) キャリーの姉
フランク・マシソン (James Rebhorn) キャリーの父
アフサル・ハミド (Waleed Zuaiter) テロリストの一員
ミラ・ベレンソン (Sarita Choudhury) ソールの恋人、インド系
ルビー・マシソン (Renee St. Gelais) マギーの娘
ジョジー・マシソン (Rachel St. Gelais) マギーの娘

ヘレン・ウォーカー (Afton Williamson) トムの元妻
トム・ウォーカー (Chris Chalk) 海兵隊員、帰還していた
ルーカス・ウォーカー (Jaden Harmon) トムの息子
ウィリアム・ウォルデン (Jamey Sheridan) 副大統領

イサベル・サミュラ (Elizabeth Franz) 国防省近くの高層マンションに住む
リチャード・ハルステッド (Larry Pine) 国防長官
サンダース (Charles Borland)
カンダリアン (Sebastian La Cause) 捜査官
シドニー (Bob Elkins)
--- (Anthony Addabbo) Patrolman
--- (Elena Bargo) Reporter
--- (Juan-Pablo Veza) FPS Officer
--- (Matt Cornwell) FPS Officer
--- (Angelo Datseris) FPS Officer
--- (Jamie Renell) Orderly
--- (Sharon Conley) Nurse
--- (Brian Lafontaine) Anesthesiologist
--- (Caroline Renfro) Announcer
ダニエル・ベントン (Don Calhoun) CIA、キャリーを逮捕させようとする
--- (Miller Carbon) DC Police Officer
--- (Kerry Cashion) Reporter
--- (Harley Castro) S.W.A.T.
--- (Dennis Layden) CIA Tech
--- (Grace Layden) Onlooker
--- (Bill Martin) Secret Service
--- (Linda Phannareth) Mid-Gawker
--- (Memi West) Mid-Gawker
--- (Ebony Wilson) Onlooker


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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