LAW & ORDER
(LAW & ORDER) シーズン18





January 9, 2008
第3話 遺伝子の秘密 Misbegotten

監督/Michael W. Watkins 脚本/David Wilcox、Stephanie Sengupta
--------------------------------------------------------
ビルの警備員のロジャーは、営業を停止したビルの警備を
行う。"酔いどれ相続人を逮捕"とするゴシップ紙に目を通す
中、警備員の一人・ロリ・エマーソンは、運ばれて来た白い箱の
荷物を上層階のオフィスに運ぼうとしてエレベーターに乗る。
しかし荷物が倒れると、突然エレベーター内で爆発が起きる。

すぐに警察が捜査に入る。
コーマックによると、荷物を上の階に運搬中に爆発し、ロリは
現在瀕死の状況でERに運ばれたと報告。鑑識のバーンズは、
パイプ爆弾が使われているとのこと。ビルに入って居るテナント
のリストとカメラの防犯映像をエドは求める。ロリが妊婦だと
いうことを聞く。

ロリが入院している病院に行く。
ロリの同僚のロジャーから話を聞くと、彼女は二階の研究所で
使う衣料用サンプルを運んでいたという。
しかし普段は6時から2時のシフトに彼女が入ることはない
だという。ロジャーはすぐにロリの夫のライアンにも電話で
連絡を入れたが通じないとのこと。
そんな中手術を終えたナジュバディ医師がやってくると、重度
の脳卒中によって昏睡状態が続いているという。回復する確率
は5%とのことだった。

ロリの夫・ライアンが病室にやってきた為に話を聞く。
ロリは出産に際して金が必要なので時間外勤務をすると言って
いたという。しかしロリの両親である父・デビッド母・ジョーン
はライアンが酒臭い事を知って、彼が電話に出なかったのは
バーに行っていたからでしょと語る。ライアンの兄・ディーン
はロリは数週間実家に戻っていたのだとし、金と子供の件で
ライアンとケンカしていたのだという。ジョーンは口論をしていた
ら胎教に悪いと思って忠告した事を語る。デビッドはディーン
に対して嫌悪感を示し、あんな奴の仕事をしているのが悪いの
だと語る。

9月11日(火)・爆発物処理研究所
ジェラルドによると使われた爆薬は配合ミスで起爆剤に使った
ニトロの量が多すぎたのだという。主爆薬のチェダイトより爆発
速度が早かったので先にパイプの先端が吹き飛んでしまった
のだという。
テナントを恨んでいたものなのか。ビルには主に医師や研究所
が入って居るという。脅迫されていたとか、議論性のある研究
治療が有ったか話を聞くよう告げる。

ルーポは防犯カメラの映像を見ていた。
すると白い小箱がB&C宅配によってビルに運ばれて来ている事を
知る。

9月11日(火)・エドワード・チェードリー医師のオフィス
医師に話を聞くとウチがいつも使うサンプルの箱とは違うとして
防犯カメラに写る箱はウチのものではないという。普段は6時から
7時に集荷されるとし、このオフィスにはジマー医師、ベラミー
医師、スターン医師
などのオフィスも有るので多くの人が
行き来するのだという。普段よく使う研究所を問われると、ジェナ
テックだという。爆発のあったビルの9階にある所だった。

ジェナテックの研究員のブリルに話を聞くが、私たちは所定の
検査をしているだけだという。主に肝臓の検査、血液検査。尿弁
検査・遺伝子検査・・・。幹細胞研究などはしているのかと問う
がそれは行っていないとのこと。研究所ではホフマン博士
働いていた。
ブリルに最近誤った検査などをしたことはないかと尋ねると、
数ヶ月前に羊水穿刺に失敗したことがあるという。胎児はダウン
症だと診断したが、1週間後に誤診だと分かり依頼人に報告した
ところ、中絶した後だったという。しかしホフマンは2週間前に
既に示談が成立していると語る。

9月11日(火)・メリーナ&マイク・フレミング宅
誤診されたフレミング邸で話を聞く。自分たちは7年間不妊治療
をしていたが、この試みを最後にしようとして授かった子供
だという。これまで2度流産し、妻の年齢も42才なので誤診には
失望したとのこと。5時〜7時のアリバイを尋ねると養子の斡旋所
にいたという。我々は金の問題では謝罪が欲しかったのだという。
しかしエドは例え検査でダウン症だとする遺伝子結果が出た
としても生むことが出来たのではないかという。結果として、
相手の弁護士からも中絶を決断したのはフレミング夫婦だとして
その件で示談金はかなり減額されていた事を知る。

9月14日(金)・ハドソン大学
9月14日(金)・キリスト教団・青年部
9月14日(金)・ベラミー医師のオフィス
9月17日(月)・ディーンの家
9月19日(水)・ライカーズ島の拘置所
9月25日(火)・ジョシア・ベル判事の執務室
11月7日(水)・ベル判事の家
--------------------------------------------------------
医療関係のテナントがあるビルで爆発事件が発生する。
ロリ・エマーソンは宅配業者から受け取った荷物を目的の
オフィスに運ぼうとしてエレベーターに乗るが荷物は
崩れ落ち、そしてエレベーター内で爆発が起きる。
なんとか一命を取り留めるが昏睡状態で助かる見込みは
少ないことが分かる。果たして誰を狙った犯行なのか。

遺伝子ネタが取り上げられた今回の事件。
遺伝子レベルのマーカーの研究が進んでいくごとに、次々と
人間の成長・性格を司るものが発見されて、人々が生まれ持って
きたものに対する警戒心が強くなる傾向にあるけれど、殺人や
暴力的遺伝子を持った人物が必ずしも殺人鬼として成長するのか
と言われれば、そうなる訳ではないとする反論も同時に言われる
のが今日の主張である。人は生まれながらにして悪人ではない
とする性善説と同時、環境的素因なり道徳的選択があるという
のが大勢を占める。
「CSI:科学捜査班」でのシーズン9から登場したレイモンド・ラン
グストン博士はMAOA遺伝子という凶暴性を持つ遺伝子を自分が
持っているということを知って、苦しんでいるという役柄を演じて
いたのは記憶に新しいところだ。

こんなやりとりが、今回の遺伝子研究をしているホフマン教授
がかつて在籍していたハドソン大学の中でも行われている。
キリスト教団青年部のルークは、かつてホフマンに対して
「お前のような異教徒とゲイは一緒に火あぶりの刑だ」とする
脅迫状を送っていること。
しかしその後ルークがその考えを改める過程で、
「悪に負けず善を持って悪に勝て」とするロマ書12章21節を
引用して語っていた。

乳がんの遺伝子があると言って乳房の除去をしても発病しないと
は限らないとするエドの主張は、アンジェリーナ・ジョリーに
宛てられたものなのかなと思っていたけど、ドラマの放送された
時期を考えると、彼女が乳房切除を決意した時期よりもかなり
前に放送されているので、元々有った議論なのかな。
日本ではその件は昨年辺り取り上げられた気がする。

さて事件は意外と早く容疑者が逮捕された。
ジェナテック社から配送された荷物の中に爆弾が入って居た
とされる防犯カメラ映像が発見されたこと。

事件の真相を究明するのを阻害する守秘義務という名の堅い
ガードが今回の事件を難儀にさせるものかと思ったけど、コートニー
という研究員の金髪学生から、ジェナテック社のホフマンはこの
大学で教えていたホフマンと同じ人物なのかと聞かれる電話が
有ったというもの。
それを受けてベルミー医師の元に通っている患者の中に容疑者が
居るハズで、荷物を集荷する火曜日と木曜日の5時前後にこの
病院に通っている患者のリストを要求。
当然守秘義務から医師が話すハズもなく、ルーポが凄い勢いで
医師の目を盗んで患者のリスト(スケジュール)を自分の携帯に
メールし、ディーンが通っていたことが判明。
ディーンの実家の令状を取り、父親が心臓病を患い、ニトログリ
セリンが処方されていることを知って、それが爆薬に混入されて
いた事を知る。一体どれだけの量の薬を集めるとあれだけの
爆破のニトロを集められるんですかね。
昔服毒自殺について書かれた「完全自殺マニュアル」という書籍
が出版されたことを思い出すな。

冒頭からディーンの方が悪人で弟のライアンの方が気が弱そうな
感じだったのですっかり騙されていたけど、ライアンの方に
加重暴行罪の前歴があったこと。

しかし起訴する過程で、どのようにしてディーンが医者に通って
いたのかが分かったのかが問われることになり、ルーポが
医師のスケジュールを自分の携帯にメールしたことを語る。
相手の弁護士も違法性を突いて、証拠の排除を求める中、
特権の侵害だとルビローサ自身も認めていたけど、カッターは
逆に、「善意の例外」「不可避的発見の法理」を唱えて、机の上
に置いてある携帯の画面から見えたとする主張をすることになる。
マッコイとはこの見解を巡り対立する構図だったけど、愚痴る
カッターに対して、ルビローサが「私の前で彼の悪口は禁止よ」
と語る姿がとても印象的だった。

結果として、ディーンがゲイだった為に、被害者のロリの父親
に嫌悪感をもたれていたこと。ディーンの弟のライアンは
ディーンの味方であり、自分がゲイであることを認めてくれている
ものとばかり思っていたが、いざ自分の子供がゲイだと分かって
生まれてくることに関しては許せない事情があるようで、
それも今までディーンが世間から受けて居た仕打ちのひどさという
ものを知っていたからこそのものが有るとは思うけど、遺伝子
マーカーによる棲み分けに関しては、今後の問題として発展して
いきそうだね。

ディーンが嫌っていた義父がアリバイの偽証をしてくれたことに
関して、ロリのお腹の子がゲイの素因を持っているということを
知ったので堕胎することを条件にしていたみたいだけど、ロリを
助ける為に堕胎する選択という名目が存在する限りは、なかなか
ライアンの決断に対する正当性の是非を問うのは難しそうな感じ
にも思えた。

そういう意味では、不妊治療をしていた高齢夫婦の出産前検査
でダウン症の子だと判明して堕胎した結果、堕胎後に検査がミス
だと判明した流れを見ると、自然界の法則を無視した流れに
よって踏み込んではいけない領域に脚を踏み入れた事に対する
天罰的事情というのも垣間見えてくるものがあるような気はする。

選択の自由と生まれ持ってくるものの間の葛藤が実に興味深く
描かれたエピでした。


エド・グリーン (Jesse L. Martin) 27分署NY市警
アニータ・ヴァン・ビューレン (S. Epatha Merkerson) NY市警・警部補
ジャック・マッコイ (Sam Waterston) 地方検事
コニー・ルビローサ (Alana De La Garza) 地方検事補
--- (Steven Zirnkilton) Narrator (voice) (archive footage)
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視医
マイケル・カッター (Linus Roache) 地方検事補
サイラス・ルーポ (Jeremy Sisto) 捜査官

ディーン・エマーソン (Kevin Rankin) 長男・ゲイ
Dr.ホフマン (Grant Shaud) 性的指向の遺伝子マーカー研究
パリッシュ (Amy Landecker) 弁護士
ジョシア・ベル (Sherman Howard) 判事
デビッド・ドラッカー (Thomas G. Waites) ロリの父、ゲイ嫌い
Dr.アニタ・チャンダリー (Anna George) 医師
ジェニー・ルーポ (Guenia Lemos) サイラスの義姉
ライアン・エマーソン (Tom Guiry) ディーンの弟、ロリの夫
ロジャー・ブラウン (Matthew Lawler) 警備員
フロイド・エマーソン (Philip Levy) ライアンとディーンの父・心臓病
Dr.ポール・ベラミー (Michael De Vries) 医師
ジョーン・ドラッカー (Susanna Frazer) デビッドの妻
Dr.アンドレア・ブリル (Nicole Alifante) ジェナテック研究員
Dr.エドワード・チェードリー (Kiran Merchant) サンプル箱を送ったが
ブルース・チャン (Steve Park) ハドソン大・教授
コートニー (Amy Rutberg) ホフマン教授の元研究者
ルーク・ドラモンド (Ryan Patrick Bachand) キリスト教団・青年部
マイク・フレミング (Graham Rowat) ジェナテックで羊水穿刺
メリーナ・フレミング (Christy Baron) マイクの妻・42才、和解金
ロリ・エマーソン (Leigh Wade) 被害者、警備員、妊婦
アンナ (Caitlin Muelder) 看護師
マシュー・アルデン (Peter Parros) 判事
マーク・ディアズ (Benim Foster)
ビル・ジェラード (Jayson Williams) 爆発物処理研究所
リック・バーンズ (Todd Wilkerson) 鑑識
ジョー・コーマック (Joe Forbrich) 捜査官
--- (Vincenzo Caiola) Firefighter
--- (Anne Lockhart) Policewoman
--- (Vincent Petrosini) Crime Scene Detective
--- (Jonah Triebwasser) Scientist


inserted by FC2 system