LAW&ORDER:クリミナル・インテント
Law & Order: Criminal Intent シーズン3





Sep 28, 2003
第2話 ゆがんだコンプレックス Gemini

脚本/Rene Balcer、Jim Sterling
監督/Frank Prinzi
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目のコンタクトを入れるブレント。青い目の色のコンタクト
レンズを入れると店員からは"新しいあなた"になったと言われ
る。
ブレントは、兄・スペンサーと喫茶店出会うと、封筒を手渡さ
れる。渡すのは義務だが、話す義務はないとしてスペンサー
は弟を冷たくあしらう。ブレントはこれを渡したいとして、
封筒を渡し返す。
ブレントはニューヨークの公立図書館にいくと、本を読んで
いたが、司書のシェリルは彼に対して、本には線を引かないよう
頼む。すると突然ブレントは彼女に対して、「君らは自分の
どだいを知っている」と語り「黒い肌、厚い唇、太い髪の毛、
輪(リング)の向かう出身だ」と語る。黒人のシェリルは差別
されたのかと感じて嫌な思いをする。
ブレントは、自分のこぶを取りたいとして、鼻の整形手術を
行う。
ブレントは売春婦の女性と逢うと、彼はホテルの窓から行き交う
人々を眺めつつ、"君は変わらないで"と語る。

そんな中、メガネ店に勤めているアーニーは殺害され、同じ
店で働くレンズ調整師のグレゴリは遺体を発見する。
メガネ店・店員が9mm弾によって殺害される。
ハガーティ刑事サンセットパークのメガネ店での殺人事件
と同じ手口の犯行であることをゴーレンやエイムズに語る。
現場を調べるゴーレンは、犯人はアーニーのことを上から
頭にめがけて発砲している事を告げる。
ゴーレンとエイムズは強盗目的であるならば、向かいに有る
店の方が店内がブラインドになって外から見えないので犯行
は行い安いのに不自然だと告げる。
サンセットパークで起きた店員殺害事件の現場へと足を運ぶ
と、マーティは当時僕は学校に通い、父がここで働いていたが、
犯人によって殺害され、平穏だった15年間が消えたのだと語る。
ゴーレンは現場写真を見て、現在の状況との違いを見比べて
みる。すると"青い目の"コンタクトレンズを開発しているビジ
ョンスタイル社の宣伝用パネルに血が付着していないことに
気が付く。前のメガネ店にも同様のパネルが有ったことを
思いだし、犯人は射殺した後に、このパネルを置いていった
事を知る。これは犯人の主張だとゴーレンは語る。

4月7日(月)・ビジョンスタイル社
犯人の主張がビジョンスタイル社の広告と関係があることを
知り、会社を尋ねるとビジョンスタイル社らが対応に出る。
青い目をした女性の代名詞としてマリリン・モンローが上げら
れるが、この会社が開発したコンタクトとは何ら関係がない
事を語る。この会社を解雇されたものの仕業も考えられる為に
解雇手順に関することや、脅迫を受けていることはないかと
尋ねる。"青い目の人間が優秀と思う企業は奴隷売買人や手枷
製造人と同じで見苦しく金に汚い人種差別主義者だ"とする
脅迫状が届いている事を知る。

その頃、ブレントは美容室にいた。
美容師の女性から、色々と髪の毛の染め方や染める際
の薬品は有毒ではないのかと問う。美容室の宣伝文句には
"あなたも金髪に・・"と書かれていた。ブレントは金髪に染める
と美容師からは"新しいアナタよ"と言われる。

4月9日(水)・ダグラス高校
ブロンクスにある高校の生物教師・キャンベルを尋ねる。
ビジョンスタイル社に送った手紙の送り主だと分かる。
生物学者であるのならば、青い目は社会的に有利で支配者に
なる特別な傾向があることを知っているのではないかと問うと
確かに自分はその事を生徒や地元経済団体に知らせている
という。ゴーレンは蜂の習性に関して、ケープミツバチが
アフリカミツバチの真似をするという習性について尋ねると、
彼は攻撃的擬態という事を口にする。

そんな中、再び9mm弾を使った事件が発生したとの知らせを
受ける。殺害された人物は美容整形外科医で、犯人はレントゲン
の写真を全て剥がしていた。しかし造鼻術のものだけが何故
か残されている事を知る。
ゴーレンはこれまでの一連の事件を見て犯人の主張が分かった
事を語る。診療所の出入り口を調べて、犯人がどのように殺害
したのか、その方法論も分かる。ゴーレンは看護師にここ二ヶ月
の患者リストの提出を求める。

ゴーレンたちは署に戻るとディーキンスやエイムズたちと
犯行について話合う。
一件目の事件はヒスパニック系地域、二件目は近所にユダヤ
教会が有る。美容整形医の患者の多くは10歳代のユダヤ人少女
であること。犯人は白人であり、白人に姿を変えようとしている
者たちに恐怖を抱いている人物である事を語る。リストの中から
ジョン・ウェッブの名でクレジットカードを使用したものが
容疑者だろうと語る。看護師から話を聞いて容疑者の似顔絵を
作らせるよう語る。

4月11日(金)・ニューヨーク公立図書館
ウェッブのクレジットカードが盗まれたのは図書館だと知り
ここで使われたのが初めてだと知って聞き込みにやってくる。
司書のシェリルから、ここに来る人間の中で、人種問題や動物の
行動に関する本をよく読んでいた人はいないか?と問うと、
恐らく"リングマン"の事だろうと語る。一週間前に本に線を
引いている男性が居たので注意したところ、突然私のことを
"リングの向こうの人間"と言ったのだという。輪状種について
のことを指摘していたのだろうとゴーレンは、その意味は"人種
の差は異環境での異なる進化の結果"のことだという。
彼が読んでいた本は、"生存戦略"と"無限の闘争"という本だと
知る。自分はニセモノたちに囲まれると思い込んでいる人物
だろうと語る。世界の秩序は崩壊していると被害妄想による錯覚
を起こしているのだと語る。

4月15日(火)・ニューヨーク銀行
4月18日(金)・アイポーリアム店
4月23日(金)・カーバー刑事補のオフィス
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メガネ店の店員の男が9mm弾によって頭を打ち抜かれて殺害され
る。正面から発砲されたもので、以前にも同様の殺害方法に
よる事件が発生していた事が分かる。第二、第三の事件が発生
し、犯行現場に残されていたメッセージ性から、ゴーレンは
動物の習性の一つとして存在している"攻撃的擬態"を例に挙げて
人間としてのステータスを持つ、白人、青い目、金髪、顔かたち
にコンプレックスを持ち、自分たちのステータスを脅かそう
として、整形医や美容師、メガネ店の店主たちを殺害している
ものだろうと考えていく。

エイムズのお腹が随分と大きいことに驚いた。
普段の彼女はシックな出で立ちをしているのでお腹の様子も
分からなかったし、妊婦特有の顔付きがふっくらとするような
様子もないので、まるで分からなかったけど、銀行員の受付嬢に
扮する際のセーター姿を見て、お腹の大きさが分かった。
ただこんな危険な任務にエイムズのような妊婦の使うなって感じがする
のだけど、「クリミナル・マインド」のJJもギリギリまで仕事
をしていたし、最近NHKのアナウンサーの皆さんは出産・産休が
入るまで普通にニュースを読んでいる傾向が有るので、現代女性は
逞しいなと思う。

擬態というテーマでの犯行が心理的影響を与えていた今回の事件。
整形に対して嫌悪感を持つ人は多いと思うし、2014年の現代に
於いても日本ではかなり閉鎖的視線を持つ要素だと思う。
ただ整形はともかく、髪の毛を変えたり、コンタクトでの目の色
を変えたりする行為自体はファッションの一部・延長という
感覚が有るので、整形とはまた違ったものがあるかなと思う。

アメリカは人種が入り乱れている社会故に、刑事ドラマに於いても
容疑者や行方不明者を知らせる際には、必ず目の色、肌の色、
髪の毛の色などを指して特徴を告げることが有るけど、そういう所
にいないとなかなか今回の犯人の被害者意識というのも感じるのは
難しいのかも知れない。ただ日本に於いても人種という面では、
かなり敏感になってきており、テレビ業界に於いてはかなり
外国の血の入った顔形の人物像を好むようになってきているので、
そのウチ、こういう犯人が出てくるのかも。

現代社会に於いて、誰もが整形して同じような理想の顔を求めていく
傾向に有るというのは、整形の先進国である韓国を見ると
その影響が分かる気がするし、就職に有利にするために
整形をするという感覚は今の所日本ではクレイジーな感覚にも
思えるけど、韓国では普通の感覚になっている向きもあり、
こういう事件の心理もより理解出来るところが有るのかな。

アメリカではよくネオナチとか白人至上主義者などが刑事ドラマ
の素材として扱われることも有るので、そういう人たちの内面
的傾向だけをピックアップして描いたところもあるのかな。

ドラマとしては、何が何に擬態しているのかがポイントだった。
弟は兄に擬態しているのかと思いきや、実際には兄が弟に擬態
しているという「コールドケース」ばりの反転劇が待っていたし、
弟自身も自然と擬態してしまっているという辺りが、なんとも
不可思議な感じのするものが有った。

事件の根底には金とプライドの問題が有るのだろうか。
ゴーレンには兄がいるとの事だけど、随分とこの兄弟に対する
理解度が高かったところを見ると、案外似たような境遇にあるの
かも。

容疑者同士を一つの部屋で取り調べして、仲違いさせるという
方法論は色んなドラマで見られるけど、信頼感に少しでも
風穴を開けると、こういうことになるんだろうね。個人には
必ずエゴが有るので、そういう一面を突き詰めていくと必ず
他人に対する不信感を募らせて対立させられるということなんだ
ろうな。


ロバート・ゴーレン (Vincent D'Onofrio) 天才刑事
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ジェームズ・ディーキンス (Jamey Sheridan) 警部
ロン・カーバー (Courtney B. Vance) 検事
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
--- (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)

ブレント・アンダーソン (Barry Del Sherman) 統合失調症、弟
ベティ・アンダーソン (Anne Bobby) スペンサーの妻
--- (Michael Genet) Brent's Attorney
アーニー (Albert Macklin) メガネ店・被害者
スペンサー・アンダーソン (Michael Gill) 兄、ニューヨーク銀行
ステファニー・パートン (Ann Marie Lee) ビジョンスタイル社
--- (Stephen Zinnato) Singer
ドライデン (Lee Michael Buckman) メガネ店
キャンベル (Teagle F. Bougere) ダグラス高校・生物学者
--- (Sunita Param) ペルシャ系・美容師
グリゴリ (Jeff Blumenkrantz)メガネ店
シェリル (LaTonya Borsay) ニューヨーク公立図書館司書
クラウディア (Natalie Gold)
マーティ・オルテガ (Rafael Sardina) サンセットパークのメガネ店
Dr.ミシャラ (Milton James) 整形外科医
ナオミ (Melissa Hickey)
Mr.ピット (Bob Sorenson) 向かいにあるメガネ店
--- (Roma Torre) TV Reporter
ハガーティ (Steve Lebens) 刑事
トーマス (Robert J. Jimenez) 刑事


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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