アガサ・クリスティー ミス・マープル
(イギリス 2004年〜) シーズン4

演出:ヘティ・マクドナルド
脚本:スティーブン・チャーチェット
原作:Agatha Christie





ポケットにライ麦を Marple: A Pocket Full of Rye

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マープルの家で家政婦をしていた17歳の田舎娘グラディス
この日お化粧をして家を出て行こうとする。広い世界を体験して
みたいとの理由で、山小屋でのメイドの仕事をする事にした
グラディス。マープルはくれぐれも用心してねと告げると、
グラディスはとてもお世話になったとして出て行く。

9ヶ月後。
マープルはいつものように新聞に目を通す。
"タンカラーカでウラン鉱床発見"との記事が目に留まる。
マープル家にグラディスの変わりにやってきた家政婦・ティリー
はグラディス以上にそそっかしく、今日も置物を壊していた。

投資信託会社では社長のレックス・フォーテスキュー卿は、
秘書のグロブナーにお茶を入れてもらう。

レックス家の次男のランスパットと一緒にパリの
ホテル・
ドゥラコロング
のベッドで楽しんでいた。
ランスは父・レックスとは疎遠の関係に有ったが、これまで
半人前扱いされて来たのに父の事が好きなのだという。

そんな中でレックスはオフィスの椅子に座って紅茶を飲んでいる
際に亡くなってしまう。
ニール警部ピックフォード刑事は捜査の為に会社へとやって
くる。秘書のグロブナーから事情を聞くと、自分は社長のお茶
に毒など入れて居ないと否定する。社長は専用のカップとポット
を使用していて、これらを入れる事が出来るのは私だけだという。
そして水を入れたのはグロブナー本人だと語る。お茶は中国の
ものだと。
検視医のバーンズドーフによると死因は毒で、
毒の種類はタキシ
ンだという。タキシンは
イチイから採れるものだが、この毒には
即効性が無いので、飲んでから1時間から2時間、長ければ3時間
程度かかるのだという。朝食の際に口に入れたのではないかと
推察される。社長の邸宅はイチイ荘と呼ばれている事を知り、
明らかにそこで毒が盛られたのだろうという。
被害者の服を調べると、ポケットの中から何故か
ライ麦が出てく
る。

ニール警部は豪邸へといくと、ハウスキーパーをしているという
メアリー・ダブが室内を案内してくれる。
レックスは後妻のアデールと結婚しており、ブライトン出身の
ネイリストだという。最初の妻との間に息子2人、娘1人を
授かっているという。
長男はパーシバル。家業を継いで妻のジェニファーとこの家に
住んでいた。現在は出張中とのこと。
長女のエレインは現在個人教授・ビビアン・デュボアと一緒に
ゴルフに出ているとの事。エレインは菜食主義で本を読むのが
好きだという。次男はランスロットで、現在
アフリカ・ケニア
という。前妻の競馬好きのアンスティス卿だったが、
拳銃自殺
しており、ランスがケニアに居るのは、数年前に
偽造小切手
事件
を起こして父から勘当同然で追い出されたとの事だった。

ビックフォードは料理人のクランプ夫人から話を聞くと、傷んだ
食材など絶対に出さないという。お茶を出した後に残ったお茶は
給仕たちも飲んでいるので毒は入っていないと否定する。クラ
ンプ夫妻以外に屋敷に住んでいるのは小間使いのクラディス
とのことだった。

ダブからこの家で起きている事を尋ねると、
最近長男のパーシバ
ルと父親のレックスとの間にちょっとしたもめ事が発生している

のだという。パーシバルはとても慎重な人で、最近もの凄く
父親が浪費し、無謀な投資をしていると避難していたと。
ニールはライ麦の事を口にするが、理由は全くわからないとの
事だった。

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フォーテスキュー家で突然毒殺され次々と人が殺されていく。
最初の殺害されたレックスは、マーマレードの中に入れられた毒
によって亡くなり、遺体のポケットにはライ麦が入っていた。
再婚した30歳以上離れた年下の夫人・アデルも毒殺され、
更には小間使いのグラディスもクビを絞められた挙げ句、
洗濯ばさみで鼻を挟まれて発見される。果たしてフォーテスキュ
ー家では一体何が起きているのか。

マザー・グースの童謡の歌詞どおりに殺人が起きるいわゆる殺人
事件。いわゆる「見立て殺人」をテーマにした作品。
6ペンスの唄というものが題材に有り、歌詞の中では、最初に
黒ツグミが殺され、王様は金勘定に明け暮れ、王女はスイーツ
にハマり、小間使いが洗濯物をしている中で、メイドの鼻を
黒ツグミがついばむという歌詞になっている。

日本でも数え歌を題材にして殺人が起きる横溝正史原作の金田一
耕助シリーズの中でも取り上げられているし、日本でもこのドラ
マを踏襲したような内容のドラマは数多く作られている。

基本的に悪くは無いのだけど、シーズン4からミスマープルに
変更が有り、その辺で違和感が有ることと、6ペンスの唄の歌詞
を知らないとイマイチ内容がピンと来ない部分も有るところが
有り、何故ライ麦なのか、何故ツグミなのかという言葉の意味
が分からないままその事だけに引っかかって物語に集中できない
可能性も有る。

ドラマとしては復讐殺人なのか、それとも相続争いなのかという
ありがちなものだけど、各々のキャラクターたちの性格が
噂に聞く人物像と何処が違うのかを精査しながらドラマの推理
を楽しむという意味ではとても面白いものだし、ケニアから
戻って来たという次男やとてもキレ者のホウスキーパーの女性
ダブの存在など、一筋縄ではいかないキャラクターの登場と
有ってなかなか真相もわかりづらいような工夫がしてある。

少々マープルが土足で他人の家に入りすぎるところが鼻についた
り、容易にそんな人物を信じすぎるキラいがあるけど、アガサク
リスティー原作の作品はこれまでにも何度も撮られているので
一度見て見るのも良いのかも。

自分はどちらかというとアメリカで映画化されたアガサ・クリス
ティーシリーズの方が馴染みがあるので、そちらのイメージの方が
強いかなという感じ。


使用された曲

・"Sing a Song of Sixpence"
・Ray Hendersonの"Bye Bye Blackbird"

ミス・ジェーン・マープル (Julia McKenzie) 探偵好き老婦人
グラディス (Rose Heiney) 17歳、家政婦
Miss グロブナー (Laura Haddock) レックスの秘書
レックス・フォーテスキュー (Kenneth Cranham) 父・投資信託会社社長
ティリー (Thea Collings) 投資信託会社
パット・フォーテスキュー (Lucy Cohu) ランスロットの妻
"ランス"ロット・フォーテスキュー (Rupert Graves) 次男
パーシバル・フォーテスキュー (Ben Miles) 長男
ジェニファー・フォーテスキュー (Liz White) パーシバルの妻
エレイン・フォーテスキュー (Hattie Morahan) 長女
ニール警部 (Matthew Macfadyen)
バーンズドーフ (Edward Tudor-Pole) 検視医
ピックフォード (Ralf Little) 刑事
メアリー・ダブ (Helen Baxendale) ハウスキーパー
クランプ (Ken Campbell) 夫、怠け者の執事
Mrs.クランプ (Wendy Richard) 食事係
アデル・フォーテスキュー (Anna Madeley) レックスの後妻、30歳以
上年の差
ビビアン・デュボア (Joseph Beattie) 教授
ビリングズレイ (Paul Brooke)
ジェラルド・ライト (Chris Larkin) エレインの恋人、大学教授
Mrs.マッケンジー (Prunella Scales) レックスに夫を殺されたと
--- (Rachel Atkins) Sanatorium Sister
--- (Greg Bennett) Police Constable
--- (Andrew Care) Doctor

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